納屋橋河畔にある、老舗のかしわ料理店「鳥久」が、
この春に廃業した。
店の前を通ったら、マンション新築の看板が取り付けられ、
中では準備作業が行われていた。
戦前からある木造建築は風格があり、
堀川端の景観に合っていた。
子供の頃から何一つ変わらぬ、風情のある佇まいや、
かしわ料理一筋の営業スタイルを、守っていた。
ひと頃は接待客で賑わい、黒塗りの高級車の出入りも多く
かしわの「味噌たき」や「白たき」などを看板メニューに、
名古屋を代表する料亭として繁盛していた。
納屋橋界隈には、他にも昭和の香りが漂う老舗の料理屋があり、
独特のスタイルで人気を得ている。
あんこう鍋が名物の「得仙」は、予約を取るのが難しく、
うなぎの「イチビキ」は、いつも長い行列で、鶏料理の「宮鍵」は、
池波正太郎が贔屓にし、親子丼は人気がある。
↑ 鳥久の並びもマンション工事中
名駅地区と栄に挟まれた納屋橋エリアも、再開発によって
街の様相が、少しずつ変わっていく。
昭和の姿が消えていくのは寂しいが、
時代の流れに負けない姿も心強く感じる。