今日も朝から、荒子観音寺で、円空作
「烏天狗立像」の模刻をした。
昨日で像全体の荒彫りが終わり、先輩の指導で、
細部の修正などを行った。
材料の干割れや節も気にせず、ノミやナタの跡はそのまま残して、
自然の風合いを出すのが、円空彫刻の真髄と言われる。
鋭い眼光の烏天狗であるが、円空らしい温かみのある
表情も出さなければならない。
手練れの先輩は、ノミ1本で、つり上がった厳しい目の表情を、
見事に和らげていく。
飛騨千光寺所蔵の、烏天狗は迦楼羅(かるら)とも呼ばれ、
僧形の体に、尖った嘴の鳥の頭を持つ、仏法守護の神と伝わる。
厳めしい烏天狗も、円空の手にかかると、
少しユーモラスで癒しが感じられる。
これも、常に庶民の中にあった、円空の
人柄からくる温かさだろうか。
予定より作業がはかどり、裏面に銘を彫って完成した。
大きな像を彫る機会は少ないので、暑いさ中の3日間は、
貴重な体験になった。