昨日は、西の空を茜色に染めて夕日が沈んでいった。
秋の夕焼けほど透き通った鮮やかさは無いが、田んぼも水路も赤く染める風景は、ドラマのシーンのように印象的だ。
今日は薄日はさすが、それほど暑くはならないようなので、近所の人から使わなくなった「中耕除草機」を借りて田んぼの草取りをすることにした。
1条引きのこの機械は、2輪のドラムに前輪は30本、後輪に24本の鉄の爪が付いていて、押したり引いたりしながら草を取っていく。
機械を引くと15センチほどの鉄の爪が草をかき取り、前へ押すとかき取った草を泥の中に埋め込んでいく。
この機械は優れもので、草を取ると同時に泥を天地返ししながら、有毒ガスを除去し酸素を供給して、丈夫な稲を育ててくれる。
3分の1ほど終わった
それ以外にも泥を攪拌することで、太陽熱を吸収し水田の温度を上げて稲の生育にも役立つ。
草を取った後の田
泥をかき混ぜながら、3歩進んで2歩下がる作業は根気の要る仕事で、終わった時は腕に力が入らなくなってしまった。
草のない美田
田んぼジムの筋トレは、365歩のマーチを口ずさみながら、午前中の4時間で条間の草取りは終了した。
むかしは、田植えが終わると男たちは、仕事を求めて出稼ぎ行った。
その間の野良仕事は、おばあさんやお嫁さんが主役で、日の出から夕暮れまで草取りに励んだといわれる。
当時は、手で抜き取ったり泥の中へねじ込んだりしていたので時間が掛かり、一番草を取り終わった頃には、前に取った田の二番草取りが始まる。
三番、四番草と美田を競いながら、女たちの草との戦いは収穫の時まで続いた。
そんな時に出現した「中耕除草機」は、過酷な作業を軽減し、稲の生育にも効果があるので、全国の農家に普及して行った。
その後、農薬の普及によって除草機を使う人の姿は田んぼから消え、今は無農薬にこだわった米作りをする人や、除草剤の耐性が出来た草を取る時に使われる程度である。
高齢者によって支えられている米作りは、効率の良い農業機械や農薬によって支えられている。