昨夜来の激しい雨も、朝方になってようやく止んだ。
雨上がりの田んぼの中は賑やかで、水面をアメンボが泳ぎ、水中にはイモリやオタマジャクシがいっぱい泳いでいる。
数え切れないほどの小さなおたまじゃくしは、大半がイモリなどに食べられて、蛙になるのはごく僅かしかいない。
稲の害虫をたくさん食べて大きくなった蛙は、蛇やイタチの餌になる。
生まれた時から呉越同舟は辛い話だが、自然界では敵味方の背中合わせは当たり前の姿だ。 厳しい自然界の掟を見ていると、おたまじゃくしに生まれなくて良かったとつくづく思う反面、最近の人間界は弱肉強食の傾向が強くなったように思えてならない。
畑の上の杉の木がずいぶん伸びて、日差しを遮ったり風通しを悪くしているので、込み入っている木を伐採することにした。
今の時期は木が盛んに水を吸い上げているので、含水率が高くて重いし、運搬も大変で用材としても利用し難い。
すぐに木材の必要もないので、「巻き枯らし」をすることにした。
これは近所の人に教わった方法で、ナタを使って樹皮と形成層の部分を帯状に剥いて、木を枯らす方法である。
養分や水分の吸収が止まった木は、残った水分を放出して枯れていく。
その後に伐採すれば、運ぶにも軽くて楽だし、乾燥する手間も省ける。
最近は間伐作業の人手が足りないことや、間伐材が売れないため、手間の掛からない「巻き枯らし」で間引くケースが増えているようだ。
枯死するまでに時間がかかり、そこが害虫の温床になるという問題も生じている。
間伐材の有効利用がされるまで、帯を解かれた哀れな姿を晒すことになる。