モリアオガエルの産卵が始まり、白い卵塊をあちこちで見かけるようになった。
今朝も田んぼの畦際に、10個以上の新しい卵が産み付けられていた。
卵塊の形や大きさは様々だが、直径10センチほどの半球形が多い。
マシュマロのような真っ白な泡の中に、数百個の卵が入っていて、10日ほどで孵化しておたまじゃくしになる。
モリアオガエルは、普段は森の中に住んでいて、産卵期になると沼や池に張り出した木の枝や、田んぼの水際に卵を産む。
孵化したおたまじゃくしは、雨が降るのを待って、卵塊のかけらと一緒に水面に落下して蛙に育っていく。
数百個の卵がすべて育つわけではなく、天敵のイモリが水中に潜んで、孵化する時を手ぐすね引いて待っている。
去年は孵化を待ちきれず、何匹ものイモリが卵塊に頭を突っ込んで卵を貪り食う姿を見た。
今朝も、新しい卵に寄って来たイモリを見かけたし、食い漁った後の壊れた卵塊があちこちに残っていた。
せっかく安全な木の枝や畦の上に産み付けられた卵も、無事蛙に育つのは1~2匹だと言われている。
蛙夫婦は卵を守るために、懸命に分泌物をかき回して泡の揺籃を作っているが、自然界の掟には敵わない。
梅雨時はイノシシの動きも活発になるようで、休耕田や林道の脇を派手に掘り起こしている。
ぼつぼつジャガイモの収穫期に入るので、畑に囲いを作る家も増えてきた。
今朝も近所に仕掛けてある箱罠に、イノシシが入っていた。
妊娠をしていた雌イノシシは、哀れな姿になってしまったが、山里の田畑を守るためには止むを得ない処置である。
今日も静かな山里で、命の攻防が繰り広げられている。