kotoba日記                     小久保圭介

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きれいだった

2014年03月16日 | 生活
せまい部屋
窓なし
荷物で囲まれた
ピアノ(オルガン)の先生
アルバムに
出生の写真
かなりさかのぼった
過去の記憶
この人は誰なのだろう
わたしが生まれるもっと以前から
わたしと関わりがある人
おしゃれでヨーロッパ的
母と面識があり
「金銀を持つ人を見るでない 金銀を見つめよ」
という言葉が
絵画に添えられていた

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ぼってりとした朝日
線香花火の玉のようです

カラスが枝をくわえて
北へ向かった

身よりなき人々
目を閉じて
風の音
ページがめくれる音

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彼は体が大きくて
陽にやけていた
体の
左半分か右半分が
ちょっと不自由で
デリケートな人だった
こちょこちょ笑い
おどけることもあった
いつだったか
ある夏
三人で
駅まで
15分か20分かけて
歩いて帰った
話しながら


彼は公園の横に
腰かけていた
それを見つけ
話をした
うれしそうに
僕らは
話していたはず

思えば
彼が怒っているところを
見たことがない
いつもまわりを見て
少し話した

誰もが彼のことを
知っていた
大きな体と
小さなハートが
きれいだったから
誰もが彼の名を知っていた
彼のフルネームを
ケータイのアドレスで見る
見なくても
フルネームを記憶していた

彼は顔をゆがめて
冗談を言った
コソコソするのが
彼の剣翌セった
僕は笑った
おそらく
誰もが笑った

彼は繊細なこころを使い果たして
家に帰って
一杯のお酒を飲んだ
その時
初めて
深く息をした

あなたは本当に
素敵な人
こころがきれいで
体が大きくて
いつも心細そうにしていて
「大丈夫、心配ないよ」
と確か僕は一度
言ったように思う

あなたは
真面目で
静かだ
人に気を遣い
くたくたになっていたはず

今日は日曜だけれど
僕は労働で
ここにいます
ここにいますよ