kotoba日記                     小久保圭介

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関西線

2014年03月18日 | 生活

ずっと一日 雨

僕が以前
見聞きした景
関西線

機関車や
くすんだオレンジ色の
ディーゼル車が
貨物や客車を引っぱって
亀山に向かう
その姿や煙の匂いの記憶を
話していると
彼は
「関西線はなんか暗くて浮ゥった」
と三重の言葉で言った
そう言われれば
祖母は関西線に乗ると
酔うので
近鉄を使っていた

機関車はおもに
貨物を引っぱっていたように
思う
機関車が来ると
「煤(すす)で大変です」
と祖母が言っていたような
気がする

暗くて浮ゥった
確かに薄暗かったおぼえがある
昭和46年の話
「扉は手前に引くようにして、自分で開けたんだ」
彼が言う

記憶がよみがえる
その通りだった
「客車の色は紺と茶色」
僕が言う

それでも
僕は関西線が好きだった
明るい近鉄は
現在の地下鉄みたいに
軽やかで陽気だけれど
言葉がなかった

当時の国鉄は
床が木でできていて
背もたれも木で
車両はアルミではなく
重い鉄だったように思う
おそらく
「銀河鉄道の夜」のアニメに出てくる
車両に
僕らは実際に乗っていた

国鉄には言葉がある
何故か

古い商店街と同じく
過去からの
人々の気配が
残っているからだ
そこで交わされた
たくさんの言葉
すでに声なき人々の
代弁も含めると
膨大だ言葉が次々に わく

プラットホームでも
人々が残していった
気配があって
思いが残っているなら
それを感受して
言葉にすることは
それほど難しくない
受信機と化して
そこにいれば
いい
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