慶応大と名古屋工業大などのチームは2月13日、神経細胞の働きを光で制御する「光遺伝学」という手法を使い、光を受け取る網膜の視細胞が徐々に機能を失い失明につながる目の難病「網膜色素変性症」で失われた視覚を再生する遺伝子治療薬の臨床試験(治験)を始め、1例目の患者への投与を終えたと発表した。
光遺伝学の臨床応用は国内初という。
チームの栗原慶応大准教授は「治療法がない病気のため、患者から大きな期待を受けている。 実用化に向け一歩一歩前進していきたい」と述べた。
国内の推計患者数は約3万人で数年以内の実用化を目指すという。
対象は、既に視細胞の機能が失われた重症の6~15人。
治験では、光に反応する「ロドプシン」というタンパク質を作る遺伝子が入った薬を患者の目に注射し、網膜にある双極細胞と呼ばれる神経細胞に遺伝子を届け、視細胞の代わりに光の検知を担わせる。
半年間経過を観察し、安全性や有効性を確認する。
薬は慶応大発のスタートアップ企業「レストアビジョン」が開発。
2月6日に慶応大病院で1例目を実施した。
投与後に重い合併症はなく、既に患者は退院したという。
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