厚生労働省は3月25日、特別養護老人ホーム(特養)への入所を希望している待機者が、今年3月の全国集計で約52万2千人に上つたと発表した。
2009年12月の前回集計の約42万1千人より約10万人増えた。
食事や排せつに介助か必要な要介護3~5の中重度者は約34万4千人で、待機者全体の6割強を占めた。
急速な高齢化の進行で、自治体が特養を整備するペースを入所希望が上回り待機者が増加した。
政府は施設入所から在宅介護への移行を促しているが、特養での介護を望む高齢者が依然多いことが示され、ギャップが浮き彫りとなった格好。
高齢者が安心して暮らせるよう、施設整備とともに、在宅介護の体制充実が急務と言えそうだ。
厚労省は、都道府県に昨年10月1日時点の待機者数の報告を求めた。
14府県は独自の基準で集計。
一部で重複や未集計、調査時点のずれがある。
待機者のうち、要介護4~5の重度者は約21万8千人。
うち在宅の人は4割近い約8万6千人で、家族の介護負担も重いため、厚労省は「迅速な対応が必要」とした。
要介護3は約12万6千人。
比較的軽度の要介護1~2や要支援1~2の人などで入所を希望しているのは約17万8千人だった。
政府は2015年度から特養入所を原則、要介護3以上に限定する方針。
今国会に「地域医療・介護総合確保推進法案」を提出しており、成立すれば、これらの人はやむを得ない場合を除いて入所できなくなる見通しだ。
自宅以外にいる待機者は、老人保健施設(約9万人)、病院や有床診療所(約6万2千人)、グループホーム(約2万人)が多かった。
特養は入浴や食事などの世話を受けられ、終身利用できる。
有料老人ホームなどより低料金のため入所希望者が多い。
厚労省は待機者について「自宅で暮らしたいが自信がなく、入所を望む人が多い」と分析。
「なかなか入所できないから、要介護度が低い段階で申し込む人もいる」と指摘している。
政府が、どうして自宅介護が進まないのか理解・把握できていないのでは解決しない。
現実の社会環境、介護環境の実態をよく理解してほしいものだ。
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