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北区王子の大衆酒場といえば、まず「山田屋」が挙げられるだろう。これは異論のないところだ。
次に挙げられるのが、だいたい「一福」。このあたりは浜田信郎さんが著作で書かれていることだろう。いずれの店も歴史が古く、重厚な店だ。もうひとつ、重要な店が王子にある。駅から遠いせいか、実はあまり知られていない。
「やまに」という店だ。
ボクがこの店を知ったのは、3年くらい前。
娘がバレエ教室に通っており、稽古の日に、娘を迎えに行くのだが、その待ち時間の間、この店を知った。
紺の暖簾に年季を感じ、「この店、只者でない」というのが一見して分かった。
残念ながら、外から店内をうかがうことができないため、どんな店かは分からないが、恐らく古い大衆酒場だろう。店自体はビルの1階となっており、比較的新しいが、暖簾に染め抜かれた屋号はその伝統を重々しく表現するのに十分だった。
「いつか入ってやろう」と思い、年月が過ぎていった。
ようやくチャンスが巡ってきたのは、会社から直接娘を迎えに行くという時。30分程度早く着きすぎたことで、「やまに」を訪問した。
店に入った。
よもやコの字カウンターかと想像していたが、店内は1列のカウンターだった。
平日の19時過ぎ。店は満員だった。
辛うじて、ひとつだけ席が空いており、ボクはそこに座らせてもらった。
店の壁にたくさんのメニューが貼られている。
思った通りの店だった。この活気、店内の様子を見るとどうやらいい店なのだろう。
メニューを眺める。
「ポテトサラダ」が200円。「もつ煮込」350円。
まずまずじゃないか。重厚なのに、この価格帯。素晴らしい。
メニューが豊富。 しかも、「ポークソテー」500円、「オムレツ」320円、「マーボー豆腐」400円と食堂メニューが並ぶ。
この感じ、十条の「田や」に近い。
ホッピーセット(380円)と「もつ煮込」をオーダーした。
2人のおばちゃんがカウンターの中央を境にお客のオーダーを聞く。
このおばちゃんの客あしらいが秀逸。テンポがよく、客の会話に軽妙に答える。
この店の雰囲気は確実にこのおばちゃんのグルーブ感で動いていた。
「煮込」はおいしく、簡単にたいらげて、次の展開へ。
メニューが豊富なものだから、選ぶのも熟考が必要だ。
すると、メニューの一群に「くじら」の料理を見つけた。
「くじらステーキ」、「くじら刺身」(730円)、「くじらたつた揚げ」(630円)、「くじらベーコン」(530円)。
ほう。
ボクは「ナカ」と「くじらたつた揚げ」をオーダー。
くじらの龍田揚げなんて、何年ぶりだろう。小学校の給食以来だ。
料理が来る前に店のおばちゃんと話しをした。
店の創業は戦後間もなく。昭和24年か25年頃だという。当時、店はもっと王子駅の近くにあったというのだが、現在は北本通り沿いに移転してきた。
老舗である。
駅から約15分弱。
料理よし、お店よし、雰囲気よし。
できればあまり知られたくない店である。
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