S社との打ち合わせのため鶴見へ。ミーティングの後は、ちょっとした忘年会を開いてくれるという。
様々な人と仕事をしているが、こうして労いの会を開いてくれるのはS社のS原社長だけである。まだ39歳。青年実業家といえるだろう。何か手土産を持っていくと、必ずすぐに何かお返しをくれる。その性格となりがよく分かる。ちなみに、S社で働いていたYちゃんは、何かをあげても、酒代を奢っても、何のおかえしをくれたことがない。もしYちゃんが社長になっていたら、S社はまた違った会社になっていただろう。
さて、S原さんが連れてきてくれた酒場は「とりいちず」という店だった。京急の駅の東側、ビルの壁面にいろんな看板を貼っており、派手な外観で目立つ店だ。だから、以前から自分はこの店を認知していた。でも、自ら好んで入るような酒場ではなかった。
店舗の看板には、「皮串 70円」と書いてあり、これがまさしく看板なのだろう。「とりいちず」との店名から、鶏の店であることはうかがえた。
お店は空いていた。
まずは生ビールで乾杯。ビールはプレモル。一杯218円。S原社長が頼んでくれたのはプレモルの「マスターズドリーム」という銘柄で328円。随分安すぎないか。「マスターズドリーム」は初めて飲んだが、すっきりしていておいしかった。プレモルはホップがきついのだが、このマスターズ何某はどっしりしたコクがあった。
おつまみは「串の盛り合わせ」である。串焼きは値段相応のクオリティで、こんなものだろうと思った。ただ、看板商品の「皮串」は厳しかった。いや、ご馳走してもらったS原社長には悪いがきつい。「新時代」の「伝串」の方が、まだうまいと感じる。
ささやかな忘年会は2人きりだった。本来なら、唯一の社員のMオくんが加わるはずなのだが、彼は翌日から11日間にわたる冬休みに入るらしい。このため、仕事を片付けようと到着が遅くなっていた。
結局、Mオ君は来なかった。ささやかな忘年会を終えて店を出ると、S原社長は会社の方に戻った。
「え? 戻るんですか?」。
自分がそう訊くと、S原社長は「忘れものしちゃって」と言った。多分、仕事をしているMオ君が心配なのだろう。
Yちゃんが社長だったら。恐らくそんな心配はせず、そそくさと帰宅していると思う。
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