「魚三酒場」について、もはやここで書く必要もないだろう。
東京を代表する人気酒場。
常連さんだけで、店が埋まるというイメージがあって、なかなか寄りつけなかったけれど、BザイのOさんから誘われ、予約までしていただいた。
やっぱりこんな機会でしか行けないハレの店である。
藍染めのでっかい暖簾をくぐって、活気あふれるコの字カウンター。
1階部分はまさに雰囲気抜群の大衆酒場。
実はボクらが予約できたのは3階のお座敷だった。
「魚三」は1階だからこそ意味があると思う。
あのカオスの中に揉まれてこその「魚三」なのだろう。
けれども、ここはそこで文句を言ってはいけない。予約をしていただいたのだから。
でも、この馬鹿でかい刺盛りを見たら、そんな憂鬱な気持ちも一気に吹っ飛んでしまった。
すごい。
まさにギョギョギョ!である。
北海道や東北地方ならば、これだけの刺盛りも日常なのだろうが、東京でこれだけの刺盛りが出てくる店はそうそうない。
さすが「魚三」。
おっさん、これだけでもう感涙である。
身の厚さがものすごく、推定の厚さは約20mm。お皿からはみ出てるじゃん。
赤身、中トロ、鯛。
秋刀魚にアオヤギ。
あっ、ホタテもボタンエビも。
酒も進む。ガンガン進む。
刺し身だけで飲む酒はなんて贅沢なのだろう。
1階は今頃修羅場だろう。肩肘寄せあって、注文のタイミングを見計らいながら、魚をつつく。それに比べて、この3階は寄りかかりながら、だれて座って酒を飲む。どっちが幸せだろうか。
これまで日本人は魚を食べて生きてきた。だが、その魚を食べる量はめっきり減ってきたように思う。魚も高い。大衆魚が高級魚に変わる時代である。居酒屋も魚より、鶏の方が断然に多い。だからなのか、骨のある奴が減った。居酒屋も骨のある店が減ったように思う。
久しぶりに酒場らしい店に入った。それもとりわけ骨太の店である。1階の修羅場で闘うためには野太いパワーが必要だ。魚を食べて骨を太くする。そうして鍛えられた者だけが、コの字カウンターに座る。だから、ちょっとやそっときついことを言われてもへこたれない。
カルシウムを多く摂っているからである。
「魚三」。
魚がうまい地方都市の人に東京で唯一語れる酒場である。
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