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「じんちゃん」にたどり着くまでには、実はかなりの葛藤があった。店のルールを知らない一見客は、確実にマスターに怒られるだろう。いや、怒られないまでも窮屈に、びくびくしながら酒を飲むというのは気が重い。しかし、その酒場、一度は行ってみたいという思いはあった。
17時30分開店、しかも並ばなきゃ入れないという店に行く機会など、当分ないだろうと思っていた。だが、その機会は呆気なく訪れた。
湯島に本社があるIサカのプレス懇談会の終了が16時半。そこから、本郷三丁目までは、徒歩で30分もあれば行くだろう。17時に並べば、店に入れるかもしれない。「じんちゃん」に行く、またとないチャンスが訪れた。
かくして、ボクは「じんちゃん」へと向かい、予定通り、17時に店の前に着いた。思惑と外れたのは、並ぶ人が誰一人いなかったことだ。誰か並んでいれば、その後ろに並べばいいだけ。だが、誰もいないともなれば、何処に並んでいいか分からない。並ぶ場所を間違えて、いきなり叱られるのも嫌だ。こうなったら、誰かが並ぶまで時間を潰そう。ボクは辺りを散策しに出かけた。ところが10分ほど経って、再び戻ってきても、まだ誰も並んでいない。これは参ったな。もう一度、一周してくるか。
行列の先頭に立つこと。すなわち、ポールポジションをとることは、「じんちゃん」にとって重要な要素らしい。何故ならば、希少なもつ焼きの部位、1日数食の限定メニューにありつけるからだ。
ボクはかなり悩んだ。いっそ、面倒だからと違う店にでも行こうかと思案した。
うむむ。ままよ!と意を決して店の右側のドア側に大通りを背にして並ぶことにした。誰か後続の人が来たら、この場所でいいか、聞けばいいじゃないか。しかし、店が開店するまで、ボクの後には誰も続かなかったのである。
やがて、店が開き、マスターが現れた。意外だったのは、マスターが自分よりも若いことである。てっきり、偏屈なカミナリ親父が経営しているのだとばかり思っていたが、そうではなかった。彼は自分の方を見て、「いいよ」と言った。さらに、「閉めて」と続けた。ドアを閉めろということらしい。ボクの後ろには誰もいなかったから、言われなくとも、そうするつもりだった。言葉使いは乱暴だが、思うほど態度が悪いという感じではない。
ボクは一番奥のカウンターに座り、マスターはごにょごにょと何かを言った。
「飲みものは?」。
「注文は一回。これに書いて」。
「飲みもの、一杯だけだったら、席料500円ね」。多分、そう言ったと思う。
飲みものは、「ホッピー 」(380円)をオーダーし、渡された伝票には、「もつ煮込」(350円)、「煮玉子」(100円)、「きゅうり」(150円)、「マカロニサラダ」(200円)、「ハツ」(110円)、「つくね」(110円)、「テッポウ」(110円)、「タン」(110円)と書いた。
自分としては珍しく、「食べログ」の口コミ欄を見たりして、「じんちゃん」のルールを勉強した。前述したように、注文は最初の一回のみ。それを紙に書く。だが、ここでもう一つ重要なことがある。注文を書いた紙の渡し方だ。マスターは書き終えた伝票を指差し、「置いといて」と言った。
店には静かにビートルズの曲がかかっていた。マスターは曲にあわせて鼻唄を歌いながら、料理の準備をする。それを見て、ボクは店主は意外にシャイなんじゃないかと思った。
はじめに出てきたのが「きゅうり」、間髪入れず、「マカロニサラダ」。前者は、焼き物の付け合わせで頂く、生きゅうり 。後者は一般的なそれとは異なり、やや黒みがかっている。食べると若干辛い。繊維質な食感がある。
料理は、客の飲むペースで出されている。次に出てきたのが「煮込み」。大きな肉の塊と煮玉子がともに皿で。350円とは思えないすごさ。最近では、「秋元屋」以来の衝撃。「秋元屋」の「煮込み」の方が味が濃いが、「じんちゃん」の「煮込み」も強烈にうまい。間違いなく当たりだ。
安価な金額で、うまい酒と肴。もしかすると、「じんちゃん」も、飲ませてもらう酒場なのかも。
「ホッピー」を速攻でやっつけて、ふと頭上のドリンクメニューを眺めていると、なんと「梅割焼酎」(350円)があることに気がついた。はじめから、そうすればよかったと思ったのも束の間、この頃から、記憶が薄れていく。
串焼きが出始めて、カウンターに皿と「タン」が置かれるや、ボクは皿ごと取って手元に置いた。すると、隣の先輩が、「皿はこっちに置いたままの方がいいですよ」とアドバイスをくれた。そこから、記憶がぷっつりとない。
その後、もしや「梅割」を3杯いってしまったか。最後、自分がどのように店を出たのか、記憶がない。翌日財布を確認したら、使ったお金は3千円ちょっと。安すぎだ。
マスターの対応は素っ気なく、そして冷たい。けれど嫌な思いはしなかった。気持ち的には「また行きたい」という気持ちが強い。
ここの煮込みは秋元屋の社長も認める美味しさですからね。
マカロニサラダがあったのもラッキーでしたね。
注文してないものでは、あぶらがオススメです。
煮込みは、抜群ですね。
「マカロニサラダ」は思っていたものと違うので、戸惑いました。すぐに売り切れちゃうものなのですか。
「あぶら」は個人的に苦手なんですよ。
「大根酢」はいかがですか?
「四文屋」から進化を遂げていますか。
大根酢はそんなに味の差が出る料理じゃ無いのであれですが、四文屋の倍くらい量があります。
あと、ナンコツ刺身をお勧めするのを忘れてました。プルプルとさっくりが混ざってて美味しいです。
「マカロニサラダ」、レアものでしたか。
「だいこん酢」、刺しもの。ハズレなしですね。
「秋元屋」、「鳥勝」、「じんちゃん」。いずれも、甲乙つけがたいですね。次は、いつ行けるかなと悩ましい問題が浮上してきました。ありがとうございます。