「梅割」と「煮豆腐」、そして「煮玉子」を頼み、その「梅割」を二口、三口飲んだところで、テレビ画面に安倍首相が現れ、話し始めた。
「これが緊急事態宣言ですかね」。
そうなんだ。多分、多くの人が分かってなかったんじゃないだろうか。どういう形で、その宣言がなされるか。例えば、高校球児のように、強張った顔をしながら、マイクの前で、「宣誓!我々政府は!この新型コロナウィルスの感染拡大にあって!重大な局面にさしかかっていることから!令和2年!4月6日!18時より!スポーツマンシップにのっとり!緊急事態を宣言します!」とか、そんなセレモニーがあるのかとイメージしていた。或いは、細く鼻にかかった声で、
〽️国民を危機にさらす前に 言っておきたい事がある。かなりきびしい話もするが 俺の本音をきいておけ〽️
みたいに唄いだし、
〽️不要不急の外出してはいけない。仕事は原則、家でしろ〽️
みたいな宣言を唄ったりするのかとも考えた。とにかく何か、これが宣言だ!という演出があるのだと思ったのだが、テレビの安倍は淡々と話しているのである。自分の隣に座る男が呟くのも分からなくもない。
緊急事態宣言という、日本の歴史上、初めて発出される状況をどこかの酒場にて迎えたいという思いがあった。はじめは新橋に行こうかと思ったが、電車に乗るリスクを回避したく、会社から歩ける範囲の居酒屋を検討してみた。そういえば月曜日、船橋の「寅屋」で立ち飲むかと13時過ぎに出かけると、店は閉まっていた。シャッターの貼り紙には15時オープンとある。まいったな。「食べログ」には10時からやってるとあったが、まだ開店まで1時間もある。結局、その日は会社に帰って仕事をした。せっかく、久しぶりに「梅割」とうまい「ハラミ」にありつけるかと楽しみにしていたのに。そんな悔しい思いを、まだひきずっていたのか、どうせなら「梅割」が飲みたいと思った。「梅割」なら、アキバの「四文屋」かと思っていたら、突然閃いた。「ま~ちゃん」があったか。
そして、この歴史的な日、約9年ぶりに「ま~ちゃん」にやってきたのだ。お店到着は17時15分。カウンターには既に3人の客がいる。その間を割って座り、冒頭のメニューをオーダーしたのだった。
しかし、待望の「梅割」は本当においしかった。
「四文屋」のそれは甘ったるくてちょっと苦手だ。「ま~ちゃん」の「宇ち多"」、「寅屋」の「梅割」のように甘くなく、すっきりしていた。「煮豆腐」も「煮玉子」も抜群にうまい。
ただ、本家の「秋元屋」よりも味が薄く感じるのは気のせいか。
「ま~ちゃん」が「秋元屋」からの独立店ときいたのはひざげりさんからの情報だった。
さて、焼き物をどうしようかと思案し、「おっぱい」(150円)、「ハラミ」×2、「レバー」(各130円)をオーダーした。一本あたりの串焼きが本当に安い。昔から、こんなに安かったっけ?と。少し前に、怪鳥と飲む際、この「ま~ちゃん」も候補にあがったが、「若干高い」と却下したことを思いだした。
さて、この串焼き、まずは「ハラミ」から。「寅屋」の残像をイメージしていたのは自分の失敗。やっぱかなわないか、「寅屋」には。ただ、「ま~ちゃん」は一本130円だし。そこも考慮しなければ。「レバー」は臭みがなく、かなりうまい。だが、もっと感動させてくれたのが、「おっぱい」。これは新鮮な身で、弾力、味わいともに抜群だった。「ま~ちゃん」には希少部位が、多く、あれこれ悩むが、いろいろ試せると、なお楽しいはずだ。
安倍晋三の顔を見ながら、約1時間。「梅割」×3はやっぱ効く。だけど、以前来た時よりは断然楽しかった。その時の評価を頼りに随分前拙ブログにて、アメ横にある「おとんば」という店の方が「ま~ちゃん」よりもレベルは上だと書いた。その時は素直に感じたのだが、今はもう段違い。数段先に行ってしまった感がある。いつしか高いレベルの店になっていたことに凄みを感じた。
ちなみに4月9日、店の前を通ったら貼り紙があり、自粛中とお店は閉まっていた。
その時点で秋元屋とさしてレベルは変わらなかったし、値段もちょっと高いくらいだったので今より安かったと思います。
ただ、当時から、ま~ちゃんは外税、秋元屋は内税だったので相対的には高いことは高いです。
記憶違いがありました。
前回訪問が5年前と記憶していたら、9年前でした。光陰矢のごとしです。
しかも2回行ったと思っていましたが、実際は1回でした。
「食べログ」の点数、だいぶ高くなってますね。自分の中では「秋元屋」の方が好みです。