もう4月も半ばだというのに、仙台は異常に寒かった。
東京の自宅を出る際も「寒いな」とは感じたが、仙台はそれ以上に寒かった。
仕事を終えて、21時過ぎ、わたしは杜の都へと繰り出したのである。
まずは、仙台の立ち飲み屋から、ということで、昼間に市内を散策して、探し出した立ち飲み屋「酒蔵 大沼」に足を運んでみた。
大きな看板を掲げた店頭は東京の立ち飲み屋にはない雰囲気を醸し出す。すりガラスの向こうは凄い熱気。勢いよく、ドアを開けると眼前に超満員の店内。わたしは少したじろいだ。だが、狭い間隙を求め、わたしは目線だけで店を物色した。
すると、店内から店員と思しき人が現れて、「今日、満員なんスよ」とわたしに向かって言った。
まさか、立ち飲み屋で断られるとは思っていなかった。そもそも立ち飲みに満員なんてあるのかね。ちょっと動揺しながら、わたしは少し待てば空くのではないかと思い、留まっていたが、その店員さんに再び注意されて店を後にした。
なんか、あまりいい感じの立ち飲み屋ではなかった。
さて、その後わたしは延々と仙台市内を歩いた。
青葉通り、広瀬通り、そこにある細い筋。太田和彦氏の「居酒屋放浪記」によると、東北で一番規模の大きい盛り場があるという、そこがどこなのか、わたしはただただ彷徨うように歩き続けた。
しかし、時刻は刻一刻と過ぎていく。
気がつけば、10時も近くなっている。そろそろ、どこかに入らなければ、速攻でラストオーダーになってしまいそうだ。
そこでわたしは、あたりをつけていた、さくら野百貨店の裏側にある少しひなびた小路にある店に入ることにした。
「第三酒蔵 呑ンベエ」。
看板のロゴは一風変わった字体。赤提灯には「ホルモン」と書かれている。
ここなら牛タンはありそうだなと思い、ドアを開けた。
すると、予想に反して、カウンターの向こうには随分お年を召したお母さんと、姉妹だろうか、年はやや離れているようにもみえるが、女性が店を守っていた。
客は誰もいない。
こんな寒いのだから致し方ないだろう。
わたしは、カウンターに腰掛けて、「熱燗」を頼んだ。
どこの銘柄のなんて酒なのか、皆目分からない。店の壁にも酒の銘柄は書いていない。
一杯チビチビといってみる。
太田和彦氏の言葉を借りれば「ツイー」。
こんな寒い日はやっぱり熱燗だ。
つまみを「タン」と「カルビ」にした。
やがて、七輪が運ばれ、その奥に炭火が赤々と点っている。ジワーッと体があたたまりかけている。
肉の良し悪しなど、はっきり言って分からないが、厚みがあるカルビを眺めてみるとかなりお腹が空いてきた。
早速、七輪の網の上に乗せ、肉の動向をうかがう。この瞬間が楽しい。
しかし、日本酒の熱燗とホルモンは合わない。
口の中の脂は日本酒では流れない。安い酒は甘いから口の中がべったりする。
でも、肉はとびきりうまかった。
特にタン。さすが仙台というべきの肉の柔らかさ。
これだけでも、この店に入った甲斐がある。
「オタク、どこから来たの?」
店に入ってからしばらく口を開かなかったお婆ちゃんがようやくわたしに言った。
「今日、東京からさ。しかし、仙台は寒いね~」
「いや~、今朝からだよ。この寒さ」。
なんていう会話が始まった。
これが田舎の酒場のいいところ。こうして、夜はゆっくりと過ぎていくのだ。
東京の自宅を出る際も「寒いな」とは感じたが、仙台はそれ以上に寒かった。
仕事を終えて、21時過ぎ、わたしは杜の都へと繰り出したのである。
まずは、仙台の立ち飲み屋から、ということで、昼間に市内を散策して、探し出した立ち飲み屋「酒蔵 大沼」に足を運んでみた。
大きな看板を掲げた店頭は東京の立ち飲み屋にはない雰囲気を醸し出す。すりガラスの向こうは凄い熱気。勢いよく、ドアを開けると眼前に超満員の店内。わたしは少したじろいだ。だが、狭い間隙を求め、わたしは目線だけで店を物色した。
すると、店内から店員と思しき人が現れて、「今日、満員なんスよ」とわたしに向かって言った。
まさか、立ち飲み屋で断られるとは思っていなかった。そもそも立ち飲みに満員なんてあるのかね。ちょっと動揺しながら、わたしは少し待てば空くのではないかと思い、留まっていたが、その店員さんに再び注意されて店を後にした。
なんか、あまりいい感じの立ち飲み屋ではなかった。
さて、その後わたしは延々と仙台市内を歩いた。
青葉通り、広瀬通り、そこにある細い筋。太田和彦氏の「居酒屋放浪記」によると、東北で一番規模の大きい盛り場があるという、そこがどこなのか、わたしはただただ彷徨うように歩き続けた。
しかし、時刻は刻一刻と過ぎていく。
気がつけば、10時も近くなっている。そろそろ、どこかに入らなければ、速攻でラストオーダーになってしまいそうだ。
そこでわたしは、あたりをつけていた、さくら野百貨店の裏側にある少しひなびた小路にある店に入ることにした。
「第三酒蔵 呑ンベエ」。
看板のロゴは一風変わった字体。赤提灯には「ホルモン」と書かれている。
ここなら牛タンはありそうだなと思い、ドアを開けた。
すると、予想に反して、カウンターの向こうには随分お年を召したお母さんと、姉妹だろうか、年はやや離れているようにもみえるが、女性が店を守っていた。
客は誰もいない。
こんな寒いのだから致し方ないだろう。
わたしは、カウンターに腰掛けて、「熱燗」を頼んだ。
どこの銘柄のなんて酒なのか、皆目分からない。店の壁にも酒の銘柄は書いていない。
一杯チビチビといってみる。
太田和彦氏の言葉を借りれば「ツイー」。
こんな寒い日はやっぱり熱燗だ。
つまみを「タン」と「カルビ」にした。
やがて、七輪が運ばれ、その奥に炭火が赤々と点っている。ジワーッと体があたたまりかけている。
肉の良し悪しなど、はっきり言って分からないが、厚みがあるカルビを眺めてみるとかなりお腹が空いてきた。
早速、七輪の網の上に乗せ、肉の動向をうかがう。この瞬間が楽しい。
しかし、日本酒の熱燗とホルモンは合わない。
口の中の脂は日本酒では流れない。安い酒は甘いから口の中がべったりする。
でも、肉はとびきりうまかった。
特にタン。さすが仙台というべきの肉の柔らかさ。
これだけでも、この店に入った甲斐がある。
「オタク、どこから来たの?」
店に入ってからしばらく口を開かなかったお婆ちゃんがようやくわたしに言った。
「今日、東京からさ。しかし、仙台は寒いね~」
「いや~、今朝からだよ。この寒さ」。
なんていう会話が始まった。
これが田舎の酒場のいいところ。こうして、夜はゆっくりと過ぎていくのだ。
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