旭川での講演依頼に胸が踊った。
初めての旭川。いや、それよりも訪問場所最北端の更新が嬉しい。これまでの小樽を超えて、更に北へ。胸が踊るのは、そんな理由だった。
仕事が終わったのが21時。これから酒場を探すのは難儀だったし、地方都市の酒場は早仕舞いするのではないか。そんな思いから、手っ取り早くスマホで酒場を検索した。
「旭川 立ち飲み」。
検索結果は全く期待していなかったものの、「立ち飲み処 ゆきちゃん」という店がヒットした。しかもホテルから、それほど遠くない。
出かけてみると、そこは駅前にあるバスターミナルの地下にあった。その地下はかなり怪しげな雰囲気だった。規模こそ違えども、ニュー新橋ビルみたいな感じ。もしかすると、闇市の名残かも。そう思わせる雰囲気である。数分で一回りできる小さな面積の地下飲み屋街に、「ゆきちゃん」はあった。
暖簾をくぐって入ってみると、そこは立ち飲みではなく、数人のお客さんが椅子に座って酒を飲んでいた。
ちょっとがっかり。
空いてる席に腰かけて、まずは様子をうかがう。意外だったのは、切り盛りしているのが若い女性だったこと。
「この人がゆきちゃんか」。
後で調べて分かったのは、通常は母と娘でお店をやっているらしい。この日は娘さんだけだったらしい。しかし、そんなことはその時の自分には知る由もない。お母さんがゆきちゃんか、それとも娘さんがゆきちゃんか、分からないが、ともかく便宜的に娘さんをゆきちゃんと呼ぶことにした。
ゆきちゃんは、姉御肌の気っ風のいい喋り方をした。ファンになる客はかなり多いとみた。一人でお店をまわしているので、まずは様子を見ることにした。時がくれば、ゆきちゃんから「飲み物は?」と聞いてくるだろう。
店内は薄暗く、独特の雰囲気があった。至るところにキティちゃんのグッズがある。ちなみに店の暖簾もキティちゃんである。
ゆきちゃんはキティラーのようだった。
さて、飲み物は何にしようかとメニューを見ながら検討していると、カウンターに「バリキング」の一升瓶があるのを見つけた。
「ほほぅ、『バリキング』か」。今まで飲む機会はなかったが、ちょっと飲んでみようか。
ゆきちゃんが「何飲みますか」と聞いてきたところで「バリキング」(400円)をオーダーした。
やや、黄色いの「バリキング」。植物由来のエキスが数%含まれている味は、下町のハイボールというより、「ホイス」っぽい。すっきりしてうまい。
お通し(200円)は「切り干し大根」。
気取ってなくていいなぁ。
少しずつ、周囲のお客さんと話ができて、和やかな雰囲気になってきた。
「立ち飲みと思って入ったんだけど」と言うと、ゆきちゃんは、「常連さんの中では、立つ人もいますよ」と。
しまった。立てば良かった。
他のお客さんは計4人。老若男女、様々な人がいた。皆さん、「ほぼ毎日来てますね」と語る。
さて、つまみをどうするか。
「何か適当にお願いします」とゆきちゃんにお願いすると、キティちゃんのプレートで出てきたのが、「ピザ」と鶏肉きのこ。これが抜群にうまい。いずれも手作りのあて。ホッとする味。
東京の立ち飲みにはない、スナックのようなお店。ゆきちゃんとお客さんが紡ぐ安らぎの空間。こういうお店を知っていたら心強いと思う。
「旭川に古い酒場はありませんか」。
常連さんらに、そんな質問をしたら、皆さん真剣に考えてくれた。あそこはどうとか、やんややんやと。
「酒場じゃないけど」と前置きして、若い男性が「抑えといた方がいいラーメン屋さんがありますよ」と言ってきた。
「ラーメンか」と内心思ったのだが、せっかくそう言ってくれたので、興味津々を装おって質問したところ、「これから行きましょう」ということになった。
初めての旭川は、なんとも不思議な展開を見せるのだった。
こりゃまた、たいそう良さげなお店ですね。
オイラ、旭山動物園を楽しみがてら、行ってみたくなっちまったよ。
旭山動物園、大好きなんです。
みーさんのようなヲヤヂが独りで行っても、飽きるところがない。
旭川は立ち飲みでなけりゃ、ぎんねこへご案内したいなぁ。
北海道へお越しの際は、ダメ元で是非ぜひお声がけください。
サクッと休みさえ取れりゃ、飛んでいくからさ!
いつもありがとうございます。
本来は旭川のうまいもんをいただくのなら、立ち飲みではなく、本格居酒屋に行くべきですね。「ぎんねこ」ですか。もう店名からして心踊ります。
旭山動物園に行ってみたかったです。
翌日、駅前のバス停で大勢の人が並んでいました。
また、いつか旭川に行けるのでしょうか。
次回は是非、北海道でお会いできればと思います。