蔵前で打ち合わせして、昼飯をどうしようかなと怪鳥に連絡したら、「そろそろ『太白楼』が開く時間だよ」と教えてくれた。年に数回しかない、貴重な蔵前。これは行かない手はないだろう。昼だけの営業となり、その貴重度は上がっている。行かねばと思う一方、急いで帰って送信しなければならない案件もあった。ご飯食べる時間くらいいいだろうと思う一方、早く帰らねばと焦る。結局、「太白楼」はやめて、帰宅することにした。ところが、春日で乗り換える際に気が変わった。
「せっかく、外に出てきたんだから」。
大江戸線から、外に出て、メトロのビルを散策した。ラクーアの方に行けば、もっと飲食店もあるだろうが、ここは選択肢は多くない。
消去法で決めたのが、「カレーの王様」だった。そういえば、久しくカレーを食べていない。フリーランスになってからというもの、お昼は大抵、家でかみさんの作ったお弁当をいただく。
さて、店頭の券売機で、直感的に押したボタンは、「フォンドボーカレー」。
カレーソースにフォンドボーを使っているのか。
チケットをカウンターに出すものの、店員さんはテイクアウトのお客さんに時間をとられている。お昼の時間なのに、ワンオペのようだ。絶対君主制を敷く国の王様って、大抵独りだもんな、とまずは納得。しかし、それだけではなかった。詳しくは、書かないが。
先日の田町駅近くのカレー屋さん、「伊豆美」もどちらかといえば、不愉快だった。ワンオペの店員さんは大変だと思うし、ましてやお昼どきは忙しくて、イライラもするだろう。気持ちは分からないでもない。
すると、自分は市民か、或いは下僕か。
アキバに「カレーの市民 アルバ」というお店がある。2回ほど行ったが、さすがアキバの激戦区で揉まれているだけあって、カレーも雰囲気も良かった。さながら、「アルバ」は立憲君主制だ。
そんな気分でいただいたカレーに、さしたる感動はなかった。これならば、蔵前で、うまい炒飯をいただいておけば良かったかと後悔した。カレーにスパイス感はなく、その名の通り、カレーソースは欧風だった。そういえば、フォンドボーの国も絶対君主制だったっけ。
ただし、その後に入ってきた年配の女性2人組への対応は違った。言葉も物腰もとにかく優しいのだ。何故にこんなに違う? という感じで。
これを見て、自分の判断は気のせいかなとも思ったが、食べ終わって、お店を出る時も、やはり何の声がけもなかった。
さて、家に戻るかと思って気がついた。あぁ、やっぱり自分はここでは市民だったのだ。税金を払って、カレーをいただく。それか重税なのかは分からないけど。少なくとも、カレーが王様ではなかったし、客も王侯気分にはなれなかった。
さぁ、南北線に乗って、王子に戻ろうか。
まあ、つい自分もやっちゃうけどね!
どんなに忙しくても、ご飯はしっかりしないとね。
その瞬間を生きる!