駿河台に降り、カレー屋を探す。第一希望は、「お茶の水 大勝軒」。「神田カレーグランプリ」の2017年覇者。しかし、店舗は真っ暗で、人の気配がない。中華やラーメン屋さんは、月曜日の定休が多い。
それならば、仕方がない。「エチオピア」にでも行くか、と踵を返し、交差点を渡ろうとした、その刹那、見覚えのある看板が目に飛び込んできた。
「ビストロべっぴん舎」。
思えば、2017年の「神田カレーグランプリ」で、出会って以来、その別嬪なカレーをもう一度と思い、胸を焦がす毎日だった。
2017年のグラチャンに振られ、2年続けて、「神田カレーマイスター賞」を受賞した店に辿りつくとは。これも何かの縁。
ボクは、階段を駆け上がり、店に入った。手前がカウンター。奥がテーブル席。そんなに大きなお店ではない。こんな小さな店で、これだけパワフルなカレーを作るのかと、思わず感心する。
カウンターはいっぱいで、ボクはしばし待った。待つ場所にも困るほど、そんな小さな店である。5分ほど待って、カウンターに座った。「赤のべっぴん薬膳カリー」にするか、「黒のべっぴんカシミールカリー」にするか、結論が出ない。結局、オーダーする最後の最後まで、悩んだ。さぁ、オーダーする際に、口を衝いて出たのは、「赤のべっぴん薬膳カリー」(880円)。1から6まで選べる辛さは3で。
オーダーから、カレーが出てくる時間は、短くない。14時前、店が混んでいるというのもあったが、ゆうに10分は待った。その間、店内の動きを観察した。厨房にいる男性が、志賀さんだろうか。柏の「ボンベイ」のGMと名高い。実に丁寧に、一皿ずつカレーを盛り合わせていく。その動きに合わせて、スパイスの香りが、微かな風の動きに流れてくる。期待はどんどん膨らんでいく。
はじめに、付け合わせが、配膳された。マッシュポテトとアチャールに似た葉もの野菜の酢漬け。この組み合わせは珍しい。
次にご飯が登場。頼んだ後に知ったのだが、ご飯は無料で大盛ができる。そして、真打ちのカレーソースが登場し、役者が揃った。
しゃばしゃばのカレーソースは、スパイシーなのに、かなり爽やか。この不思議な爽やか感はどこかで感じたことがある。そうだ。上野の「デリー」だ。なるほど、だから、カシミールか。納得。とある雑誌によると、20種類のスパイスを投入してるという。だが、この爽やかの源泉が分からない。一口掬って、食べた後の清涼感。独特のコクは、赤ワインか。これは、本当にうまい。
あっという間に完食。最後のデミタスコーヒーで、ボクはノックアウトされた。
惜しむらくは、ボリューム感。成人男性には、物足りないだろう。
あぁ、それでもついつい通ってしまうだろう。男は別嬪に弱いから。
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