料理とはすなわち旅することである。
その旅を直感的に感じさせてくれるのが、カレーなんだと思う。この「カレーさすらひ」でも最近の例を挙げれば、「マッサマン」でタイに行き、ポークビンダル―でインドのゴアを巡り、オーディオとカレーの店でインドと日本の両国を行き来した。そして今回再びタイに戻った。インドを含めたアジアのカレーは基本的には煮込み、若しくはスープである。カレーという概念は勝手に日本人が作り上げたカテゴリーに当てはめただけのもの。とりわけ、タイのタイカレーはゲーン=スープであり、日本人が捉える本来のカレーなんかではない。ただ、タイのゲーンはインドでもなければ中華でもなく、独特の立ち位置にいる料理でしかもうまい。自分も大好きだ。
けれど、タイ料理は高価だから、最近はそれほど頻繁に行けてない。会社の近所にある「ブルースカイタイランド」はランチが1,000円になってしまった。数年前までは800円だったが、それがいつしか900円になり、そしてとうとう1,000円に。自分にとってランチ1,000円は相当痛い。だから「ブルースカイタイランド」はほぼ行かなくなった。さて、会社の近くにあるもうひとつのタイ料理屋の雄が「はすの里」だ。旧店名は「いなかむら」。いずれもネーミングはしょぼいが、食べログのタイ料理ランキングではトップ5000に入る人気店である。「はすの里」に至っては全国2位だ。店の前を通ると、いつも多くの女性で賑わっている。
「ゲーンキョウワンセット」。
つまり、グリーンカレーセット。1,300円。
店の雰囲気はきれいで瀟洒そのものだ。女性に人気なのもうなづける。「ゲーンキョウワン」も、その整然としたお店のように、雑味のないシンプルな旨さが際立った。適度にスパイシーで、適度に辛く、そしてココナッツミルクの甘味が適度に感じる重層的旨さ。評価が高いのも納得。
ただ、洗練し過ぎているというのが率直な感想である。バンコクは今や世界に誇るビッグシティになりつつあるが、それでもまだ混沌としたアジアの趣きの色合いが強い。自分はタイの洗練よりも混沌を選ぶ。だから、タイ料理は各都市でいただける市場の味がやはり好きだ。
タイ料理の可能性は有望だと思う。「はすの里」の試みはタイ料理をローカルからグローバルにするひとつのアプローチだ。いつかまたバンコクを訪れる時は、これらタイ料理が世界のメジャーになっているかもしれない。
今は我慢の時ですね。
自分は3週間前にカメラを飲みました。何回やっても好きになれませんね。