酒都立石駅前の再開発問題で、酒友Y澤さんと話しをしていると意外に開発が進んでいることが分かった。京成立石駅南側を再開発地域とし、巨大なビルが建設される準備が進められている。酒都はどうなるか、あの街並みはどうなっていくのか、現地調査を試みた。
てっきり、駅の南側が再開発地域だと思っていたが、実際はそうではなかった。駅北側の「呑んべ横丁」がなくなりつつある。
葛飾区の町おこしキャラクター、「キャプテン翼」の横断幕が掲げられ、寂寥とした更地が広がっている。それを見て、酒都はいずれ陥落すると感じた。
さて、「呑んべ横丁」の一角にある「江戸っ子」もいつか姿を消してしまう時があるのだろうか。そんな気持ちを抱えながら、Y澤さんと「江戸っ子」の暖簾をくぐった。
久しぶりの「江戸っ子」のカウンター。お隣さんに席をつめてもらい、ピットイン。そしてまずは「ボール」。ほのかに黄色く、スライスレモンが浮かぶ絶妙の焼酎ハイボール。氷はなくとも、しっかり冷えている。濃い口だが、シロップとの微妙な均衡。これだよ。日本最高峰の「ボール」!
「もつ煮込み」(380円)と自慢の串焼きをオーダー。これだけでもうにっこり。
さっき見た、立石駅前の荒涼とした風景は一時忘れることができた。今夜は、あの女将さんはお店には出ていないようだった。せっかく立石に来たというのに。
しかし、この先立石はどうなってしまうのだろうか。再開発の波はいつか、「江戸っ子」にも押し寄せてくるのか。その時、酒都立石は魅力を失ってしまうのだろうか。
Y澤さんと馬かな話しをしながら、3杯目の「ボール」をおかわりしたら、「お兄さん、これで終わりね」とストップをかけられた。プロの目は厳しい。自分の酒の弱さを的確に見抜かれてしまい、思わず恥ずかしくなった。しかし、お店の人から、終了を告げられるなんて経験はあまりない。「江戸っ子」はそういう店なのだ。
2019年夏。再開発に向けた動きは本格化しつつある。出来る限り、立石に通うことが部外者である自分に出来る唯一のこと。酒都の変化を見守りたい。
「ブルータス」9月1日号の表紙を飾る、立石の「ブンカ堂」。本文にはこう書かれている。
「近年、再開発の波が押し寄せるこの街にあって、〈ブンカ堂〉は、昭和から令和への襷を繋ぐ新星だ」。
変化の胎動はもう確実に感じられる。
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