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取引先のPモコムが引っ越しをしたため、やたらと西新橋に行くことが多くなった。そのおかげで、見つけた立ち飲み屋もあり、新たな世界が広がったことは確か。今回、行ってみた「裏ちゃん」もその店の一つである。
西新橋といっても、エリア的にはもはや新橋というより内幸町である。居酒屋エリアといった風情の新橋とは違い、内幸町はビジネス街だ。「裏ちゃん」はオフィスビルの地下に店舗を構えていた。第一印象は裏ぶれた店。だから、「裏ちゃん」かなと思うほどに暗い。ビルの地下だから、暗いのは仕方ないのだが、店主も暗い。「こんにちは」と言って、カウンターについたが、一瞬目を合わせただけで、何も言わない。客は自分より年配のサラリーマン風おっさん2名のみ。店としての賑わいもなく、「つまんね~店に入っちまった」と正直思った。
まずは「ホッピー 白」から。厨房に向かって、「ホッピー 白」と告げたが、何の返事もない。オーダーが通じているのか分からないので、もう一度コールすると、やがて厨房の店主は黙ってホッピーセットを置いた。
なかなか気難しい店主なのかな。つまみのメニューが短冊とホワイトボードに書かれ、バリエーションは意外に多い。和洋折衷、様々なメニューがあり、眺めているだけで楽しい。さて、何にしようかな。まずは「ポテトサラダ」。
いきなりお手並み拝見と頼んだポテサラから度肝を抜かれた。玉子とじゃがいもとマヨネーズのバランスが絶妙。しかもボリュームがあり、これが抜群にうまい。お手並み拝見が逆に強烈なカウンターになって自分に戻ってきた。もしかすると、店主は自分が一見の客だと見込んで仕掛けてきたのかも。
この名刺代わりのポテサラが、店主の技量を象徴していた。次に頼むのは、「カリカリチーズ」。「晩杯屋」の「チーズカリカリ」とは逆の単語の並びである。280円の金額は「晩杯屋」のほぼ倍だが、ボリューム感では圧倒。しかも皮も含めてうまい。この店、一体何なんだ。
メニューを眺めていて、「つくね」という文字を見つけた。この店はいわゆる焼き鳥、焼きとん店ではない。その店が放つ「つくね」とはどういうものか。とにかく気になった。
「つくね、下さい」。
厨房に向けて、肥をかけたが、またもや返事がない。こうなったら、こっちも意地だ。もう二度と言わない。
随分前に西東京市の「たなきん」という立ち飲みに行った。あの店主もとにかく寡黙だった。だが、「たなきん」の店主は、オーダーに対し、一応了解の返事はした。けれども、この「裏ちゃん」の店主は何一つ言わない。言ってる気配も感じられないのだ。
そうするうちに、「つくね」が来た。
自分のオーダーは受理されていたのだ。その「つくね」、焼き鳥屋のそれとは異なる形をしていた。串に2個刺され、それが2本。つくね一個はゴルフボール大。一口食べたら抜群にうまい。焼き鳥の店ではないのに、この旨さはただ者ではない。「ホッピー」の「ナカ」もこのように気前がいい。
余りにもいろいろおいしいものだから、もう一品追加してしまった。「ほくほく揚げじゃが」(300円)。
フライドポテトとは違う!という気概を見せてくれるつまみ。これがまた本当にうまかった。いや、「ホッピー」に抜群の相性のつまみである。
うまいつまみの数々に圧倒された1時間だった。そもそもお手並み拝見という姿勢で入店した自分。しかし、その心を見透かされて対応された自分はまるでマスターの手の平で遊ばされた孫悟空だった。マスターの方が一枚も、いや三枚も四枚も上手だった。これはものすごい立ち飲み屋だ。
私はでもなるべくなら座って飲みたいかなぁ(^_^;)
実は和歌山にはもうかれこれ15年は行っていません。「居酒屋さすらい」もまだ和歌山は未踏なんです。
その一軒の立ち飲みを目指して、行けたらいいなと夢想しています。