大学のゼミ、昼休みを利用して出かけたのが、伊香保温泉の名物、石段の中腹にある公衆浴場である。
実は、この日の朝、石段を散歩していたのだが、石段の中央に水路があることに気が付いた。水路には蓋がされているのだが、ところどころ、その蓋は透明ガラスになっており、中の様子が見える。
褐色のお湯がものすごい勢いで、流れ落ちていく。
この褐色のお湯はもちろん温泉である。
思わずボクはもったいないと思ったほどだ。
多分、このお湯は、その利権を持つ旅館などに分配されるのだろう。
しかし、見事な石段である。
全365段。
いや、石段だけでなく、その両サイドにひしめき合う、景観も含めて素晴らしいのである。
戦国時代に形成されたという石段街。
やはり一見の価値がある。
その中腹にある「石段の湯」。
瓦屋根が印象的な和風建築の建物である。
入湯料400円。これで温泉に入れるのだから安い。
浴槽は内風呂と野天にひとつ。
決して広いわけではないが、いかにも公衆浴場らしい。
多分、昨夜入った「秋森旅館」と同じお湯のはずだが、それと比べて色が薄いような気がする。ただ、「秋森旅館」の場合、暗がりで風呂に入ったのだから、お湯が濃く見えたに違いない。
ともあれ、褐色のお湯はいかにも気持ちがいい。
濃い風呂はじんわりと体内にしみわたるようだ。
いや、躰ばかりでなく、かたまった心もほぐしてくれるから不思議だ。
ただ気がかりなこともある。
割烹「眞楽」の女将によると、年々お湯の色が薄くなっているという。
古から続くお湯。湯量も豊富な名湯は枯渇するのか。
観光客が減り、街も衰退する伊香保温泉。
東京からも近く、実はGWの穴場温泉かも。
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