居酒屋放浪記 0387 -丸の内にホッピー立ち飲み出現- 「呑んき 丸の内北口店」（中央区丸の内）

丸の内で仕事を終え、ちょっと一杯と思うのだが、丸の内には手ごろな酒場はない。
赤垣屋に行こうとも、なんばの猥雑とした雰囲気は丸の内の店にはない。
「呑うてんき」に行こうとも、八重洲まではちょっと難儀だ。
仕方ない。東京駅北口のガード下にある居酒屋に行こう。

オアゾの前の交差点を渡り、いよいよガード下に入った瞬間、見慣れない店の姿を見た。
なんと！立ち飲みだった！
しかも、新橋にあるそれのような開放感のある店舗。
とうとう、丸の内にも雑然とする立ち飲み屋の流れがきたようだ。
神田と新橋に挟まれた東京。とうとう東京丸の内も神田化する日が来たのか。

そう思いながら、その店に入ったのだった。
まだ17時を回ったばかりで、店内には誰もいない。
黒木のカウンターにつき、わたしはおもむろにまずホッピー白を頼む。
つまみは「特製豚もつ煮込み」（300円）。
「煮込み」はまずまず。薄味ながら、もつに味が沁みこんでいる。大鍋で煮込んだことがうかがわれる。
ホッピーは氷あり。多分焼酎は冷やしておらず、２冷のよう。
焼酎のナカは何か分からないが、満足である。

店の奥にある大型の薄型テレビでは夕方のニュースが始まり、この日日本人の男子としては初めてメダルを獲得したフィギュアスケートの高橋大輔選手の話題で持ちきりだった。

この店は魚もあれば、串焼きもあり、メニューはけっこう幅広い。
それもそのはず、後日同店のホームページを見ると、同店は大庄グループの１業態であった。
大庄グループとはすなわち「はいっ、よろこんで」の「庄屋」グループである。
そのチェーン展開する店のスケールメリットを生かして、豊富な食材が用意できるのであろう。
したがって、五反田の「呑ん気」とは無関係である。

ホッピーといえば、串焼き。
そこで、「カシラ串」、「ハツ串」、「レバー串」（各110円）を頼む。
各１本から頼めるのが嬉しい。

厨房ごしに店のお兄さんから「手作り豚つくね（200円）はいかがです？」と勧められた。
この店はボール状のものではなく、串にのっぺりと伸ばした棒状のもの。見るからにうまそうに見えたが、わたしは断った。

さて、しばらくして出てきた串焼きもまずまずだった。
若干肉は固いかなとも思ったが、特に問題があるわけでもなく及第点。
皿に添えられたレモンとコチュジャンのサービスが嬉しい。
ホッピーがおいしいから、串焼きがおいしく感じる。
やはり、ホッピーには串焼きである。

ホッピーのナカをお代わりしてもまだ飲み足りなかった。
そこで、「焼酎梅割り」（350円）を頼む。
「梅割り」っていうのがいい。立石の下町酒場みたいだ。

このほか、メニューは「さしみ」（350円）、「まぐろ納豆」（200円）など、刺身は静岡県の御前崎で水揚げされたとトレーサビリティも忘れない。
「あげたて厚揚げ」「コーンバター」「ニラ卵とじ」（各380円）といった定番メニューも揃える。

店内は清潔、お店の人も対応がよく、料理も悪くない。
しかし、それよりもとうとう丸の内にホッピーが上陸したことが何よりも嬉しい。
多分、今後利用が増えていきそうな、そんな予感がする。