浦安市北栄は旧い町である。現在の浦安駅も住所は北栄であるが、いわゆる浦安の本町といえば、猫実や堀江、或いは当代島を指す。
このあたりの様子は山本周五郎氏の著作「青べか物語」(新潮文庫)に詳しい。北栄といえば、もっぱら「浦安鉄筋家族」(浜岡賢次 チャンピオンコミックス)の舞台だ。その北栄も3丁目までくると、市川市と市境も迫り、夜は灯りが少ない。商店などもほとんどない中、居酒屋の赤提灯が揺れるのはなんとも意外な風景だ。
「山田屋」のカウンターに座ったわたしと師は、目の前に掲げられている酒肴の札を詮索しながら、まず瓶ビールを頼んだ。
初老の板前は快活に「キリンとサッポロどちらにしやしょう」という。
今や2銘柄のビールを置いているのは何ら珍しくもない。
特にこだわりもないが、何故かサッポロの黒ラベルを選んだ。
日本経済新聞によると、今年1~3月期のビールメーカー各社のシェアは十数年ぶりにキリンが首位を奪回したという。そういや、最近行った店でアサヒが出てきた店は少ない。前回の居酒屋放浪記(NO.0063)の生ビールはサントリーモルツ、瓶ビールはヱビスだった。その後、立ち寄った中華食堂「大勝軒」の瓶ビールは「一番絞り」だ。また、昨日の昼間に食べた南行徳のラーメン屋「えじそん」の生ビールはサントリー、モルツプレミアムだった。
キリンの首位奪取の要因は、いわゆる第三のビールが桁外れに売れたとのことだが、最近のスーパードライの影も薄いような気がする。
さて、話しは脱線したが、瓶ビールで我々は乾杯しながら、ツマミを頼むために、品書きに目をやる。カウンター上に細かい字の札がかかっているのだが、ホント、字が小さく読みづらい。読みづらくとも、値段が3桁なのか、4桁なのかは判別でき、我々の魂を揺さぶる。
どうやら、この店は魚が自慢のようだ。
さすがは海の町浦安よ。
昭和46年に漁業権を全面放棄するまで、この町は漁師町だった。以前、釣り船屋の西野屋さんからそんな話しを聞いた気がする。また、4年に一回の大祭でも、かつての荒くれどもの名残は今でも垣間見える。そんな歴史が米国の鼠の魂をも揺さぶり、とうとうディズニーシーという海物語(パチンコかよっ!)で結実した(嘘)。
またまた、話しは脱線したが、とにかく店の自慢の魚を食べなきゃ始まらない。ここは、値段など関係なく、若い板前さんに「魚は何が入ってますか?」と尋ねた。
すると、若い板前は、これまた快活に「活きのいいのが入ってますから、5点盛りなどいかがでしょう」という。ここはもう迷うことはない。それを頂くことにした。
頼んだ後、品書きを覗くと1500円などと書かれている。
ケチケチにしては奮発した。
5点盛りの鮪、中トロ、蛸、カンパチ、他(失念)は驚くほどにいいネタだった。これは、きっと浦安の魚市場で買ったものではなく、築地へ毎日仕入れに行くのだナとすぐにピンときた。
ネタは新鮮でおおぶり、マジでうまい!
店の雰囲気も申し分なかった。
いいお店には独特のリズムがあるものだ。
板前と客とのテンポ。
うるさすぎず、静かすぎない店内。
客が喜び、少し陽気になれる雰囲気。
そして、うまい酒とうまい肴。
これらの歯車が噛みあって、その店の空気となってこよう。
その点、「山田屋」はそれらの要素をバランスよく兼ね備えていた。
瓶ビール大瓶がすぐに空になって、次のを注文する。
肴も心細くなって、俺たちほんの出来心で、生牡蠣を注文した。
暫くして、カウンターに差し出されたそれは超巨大な牡蠣。貝もすごいが実も立派だ。居酒屋放浪記番外編で俺たちが茨城の大洗にて10個700円で買ったしろもののゆうに倍はある。まさに度肝を抜かれるというのはこういうことをいうのだ。
だが、その巨大な海のミルクは僅か1個。
師が半分喰いちぎったものを半分頂く。
これはすごい!実が引き締まって、なんともいえない食感が堪らない。養殖ものなどではなく、かといって市川大橋下の河口におびただしくテトラポッドに付いている、一応天然物のそれであるはずもない。
とにかく、鮮烈な味わいが牡蛎に満ちていた。
注文した後、わたしと師は品書きを見て息を呑んだ。
なんと、その値段は一人あたり950円の超高級ものだったのである。
熊猫と師の動揺は、かなり大きかった。
これで、 意気消沈したらケチケチは、次に450円のゲソワサを頼んで締めとしたのである。
ビール以外の飲み物にも触手を伸ばそうともしたが(飲み物も各種地酒、本格焼酎など幅広く用意されていた)、そこはケチケチ。我が家に帰ってゆっくりと飲むことにしたのである。
名残惜しい気もするが、ここは自宅から徒歩1分。来ようと思えば、いつでも来れる。言い換えれば、これだけ清清しく、本格的な居酒屋が、家の近所にあるのを幸せに思いたい。間違いなく、今年の居酒屋アワードの最右翼である。
なお、我が家に帰ってからの行動は「鬼飛ブログ」を参照されたし。
このあたりの様子は山本周五郎氏の著作「青べか物語」(新潮文庫)に詳しい。北栄といえば、もっぱら「浦安鉄筋家族」(浜岡賢次 チャンピオンコミックス)の舞台だ。その北栄も3丁目までくると、市川市と市境も迫り、夜は灯りが少ない。商店などもほとんどない中、居酒屋の赤提灯が揺れるのはなんとも意外な風景だ。
「山田屋」のカウンターに座ったわたしと師は、目の前に掲げられている酒肴の札を詮索しながら、まず瓶ビールを頼んだ。
初老の板前は快活に「キリンとサッポロどちらにしやしょう」という。
今や2銘柄のビールを置いているのは何ら珍しくもない。
特にこだわりもないが、何故かサッポロの黒ラベルを選んだ。
日本経済新聞によると、今年1~3月期のビールメーカー各社のシェアは十数年ぶりにキリンが首位を奪回したという。そういや、最近行った店でアサヒが出てきた店は少ない。前回の居酒屋放浪記(NO.0063)の生ビールはサントリーモルツ、瓶ビールはヱビスだった。その後、立ち寄った中華食堂「大勝軒」の瓶ビールは「一番絞り」だ。また、昨日の昼間に食べた南行徳のラーメン屋「えじそん」の生ビールはサントリー、モルツプレミアムだった。
キリンの首位奪取の要因は、いわゆる第三のビールが桁外れに売れたとのことだが、最近のスーパードライの影も薄いような気がする。
さて、話しは脱線したが、瓶ビールで我々は乾杯しながら、ツマミを頼むために、品書きに目をやる。カウンター上に細かい字の札がかかっているのだが、ホント、字が小さく読みづらい。読みづらくとも、値段が3桁なのか、4桁なのかは判別でき、我々の魂を揺さぶる。
どうやら、この店は魚が自慢のようだ。
さすがは海の町浦安よ。
昭和46年に漁業権を全面放棄するまで、この町は漁師町だった。以前、釣り船屋の西野屋さんからそんな話しを聞いた気がする。また、4年に一回の大祭でも、かつての荒くれどもの名残は今でも垣間見える。そんな歴史が米国の鼠の魂をも揺さぶり、とうとうディズニーシーという海物語(パチンコかよっ!)で結実した(嘘)。
またまた、話しは脱線したが、とにかく店の自慢の魚を食べなきゃ始まらない。ここは、値段など関係なく、若い板前さんに「魚は何が入ってますか?」と尋ねた。
すると、若い板前は、これまた快活に「活きのいいのが入ってますから、5点盛りなどいかがでしょう」という。ここはもう迷うことはない。それを頂くことにした。
頼んだ後、品書きを覗くと1500円などと書かれている。
ケチケチにしては奮発した。
5点盛りの鮪、中トロ、蛸、カンパチ、他(失念)は驚くほどにいいネタだった。これは、きっと浦安の魚市場で買ったものではなく、築地へ毎日仕入れに行くのだナとすぐにピンときた。
ネタは新鮮でおおぶり、マジでうまい!
店の雰囲気も申し分なかった。
いいお店には独特のリズムがあるものだ。
板前と客とのテンポ。
うるさすぎず、静かすぎない店内。
客が喜び、少し陽気になれる雰囲気。
そして、うまい酒とうまい肴。
これらの歯車が噛みあって、その店の空気となってこよう。
その点、「山田屋」はそれらの要素をバランスよく兼ね備えていた。
瓶ビール大瓶がすぐに空になって、次のを注文する。
肴も心細くなって、俺たちほんの出来心で、生牡蠣を注文した。
暫くして、カウンターに差し出されたそれは超巨大な牡蠣。貝もすごいが実も立派だ。居酒屋放浪記番外編で俺たちが茨城の大洗にて10個700円で買ったしろもののゆうに倍はある。まさに度肝を抜かれるというのはこういうことをいうのだ。
だが、その巨大な海のミルクは僅か1個。
師が半分喰いちぎったものを半分頂く。
これはすごい!実が引き締まって、なんともいえない食感が堪らない。養殖ものなどではなく、かといって市川大橋下の河口におびただしくテトラポッドに付いている、一応天然物のそれであるはずもない。
とにかく、鮮烈な味わいが牡蛎に満ちていた。
注文した後、わたしと師は品書きを見て息を呑んだ。
なんと、その値段は一人あたり950円の超高級ものだったのである。
熊猫と師の動揺は、かなり大きかった。
これで、 意気消沈したらケチケチは、次に450円のゲソワサを頼んで締めとしたのである。
ビール以外の飲み物にも触手を伸ばそうともしたが(飲み物も各種地酒、本格焼酎など幅広く用意されていた)、そこはケチケチ。我が家に帰ってゆっくりと飲むことにしたのである。
名残惜しい気もするが、ここは自宅から徒歩1分。来ようと思えば、いつでも来れる。言い換えれば、これだけ清清しく、本格的な居酒屋が、家の近所にあるのを幸せに思いたい。間違いなく、今年の居酒屋アワードの最右翼である。
なお、我が家に帰ってからの行動は「鬼飛ブログ」を参照されたし。
さて、カキ高いよねぇ。びっくりだよ。しかし、ふらいんぐふりーまん師とは以前、大洗で安くてうまいカキを食べたので、今回このような巡り合わせになったのかも。やっぱ、世の中うまくバランスがとれてるようなのね。
3年半前は普通に飲めたよ。ビールはタイガービールだよ。
タイガービールは高いかも。ボクはもっぱらアンカービールを飲んでました。
話しは全然違うんだけれど、ふらいんぐふりーまん師はマレーシアのちょうど真ん中西側の僻地リゾート、パンコール島で極貧百葉箱生活をおくった貴重な日本人です。
ただ、スゲエ長文になって、「そのいち」では百葉箱にたどり着いてもないんだよね。(苦笑)
実はまだゆっくり読んでなく、後でじっくり読むが、あんたはやっぱりすげぇよ。
パンコール島だけで旅の3割が凝縮されてるんじゃないか。
インド洋大津波であのハット小屋はどうなっているんだろうか。
いついか、師はパンコール島を再訪しないとね。