あの日と全く同じ感覚だった。
後頭部の隅っこでチリチリとする鈍痛が常にあって、目に映るあらゆるものが、反転した写真のように視界に浮き出てくる。
慣れないクルマの運転をしたせいかもしれない。
まさか、頭の中のガイガーカウンターが強烈な放射線量に反応したってことはないだろうが、とにかく後頭部が異様に重く、誰かがチリチリと囁いているようだった。
ちょうど、2年ぶりの被災地。
2011年、震災から3週間たった4月3日、知り合いのつてでボクはまだデコボコだった東北道を北上した。
それから2年、復興に立ち向かう業界人の話を聞こうと企画した取材は、どういう因果か、ちょうど2年後にスケジュールが組まれることにになった。
福島に入り、ナビゲーションを頼りに東へ。
激しい雨はごうごうと降りかかり、最速のワイパーでもフロントガラスは拭ききれない。
電話で事前に問い合わせた南相馬市の取材先は「ガイガーカウンターをお持ちですか」と尋ねてきた。
福島第一原発まで10km地点まで迫る。
そこから先は帰還困難区域だった。
地の果てまで来たと思った。
いや、地獄の入口まで来たと思った。
取材先の南相馬市小高地区もこの世の終末を思い起こさせた。
誰も人がいない。
家は朽ち果て、どこもかしこもお化け屋敷のようだった。
ボクらがニュースで見る復興の足音はそこにはなかった。
どこにもかしこにもそんなものはなかった。
多くの人が知らない現実があった。
取材先の方の話には心が洗われた。
そして誰もいなくなった現実の中で、初めて繋がる人への感謝を実感できたという。
微かに、わずかながら、光明が見えている。
荒涼とした小高地区を抜け、飯舘村へ。
人家に一軒も灯りが点ることもない暗闇の中をクルマを走らせる。
チリチリと頭の鈍痛が激しくなる。
チェルノブイリよりもひどいのではないか。
すれ違うクルマは警察か、自警団か。
パトライトがあたりの景色を回転しながら赤や青に染める。
この現実は果たしてどこまで伝わっているのか。
どこまで伝えられているのか。
ボク達は。
ボク達が。
2011REPORT1 ◆ 被災地ルポ 震災に負けないゾ! 福島編
2011REPORT2 ◆ 被災地ルポ 震災に負けないゾ! 仙台編
後頭部の隅っこでチリチリとする鈍痛が常にあって、目に映るあらゆるものが、反転した写真のように視界に浮き出てくる。
慣れないクルマの運転をしたせいかもしれない。
まさか、頭の中のガイガーカウンターが強烈な放射線量に反応したってことはないだろうが、とにかく後頭部が異様に重く、誰かがチリチリと囁いているようだった。
ちょうど、2年ぶりの被災地。
2011年、震災から3週間たった4月3日、知り合いのつてでボクはまだデコボコだった東北道を北上した。
それから2年、復興に立ち向かう業界人の話を聞こうと企画した取材は、どういう因果か、ちょうど2年後にスケジュールが組まれることにになった。
福島に入り、ナビゲーションを頼りに東へ。
激しい雨はごうごうと降りかかり、最速のワイパーでもフロントガラスは拭ききれない。
電話で事前に問い合わせた南相馬市の取材先は「ガイガーカウンターをお持ちですか」と尋ねてきた。
福島第一原発まで10km地点まで迫る。
そこから先は帰還困難区域だった。
地の果てまで来たと思った。
いや、地獄の入口まで来たと思った。
取材先の南相馬市小高地区もこの世の終末を思い起こさせた。
誰も人がいない。
家は朽ち果て、どこもかしこもお化け屋敷のようだった。
ボクらがニュースで見る復興の足音はそこにはなかった。
どこにもかしこにもそんなものはなかった。
多くの人が知らない現実があった。
取材先の方の話には心が洗われた。
そして誰もいなくなった現実の中で、初めて繋がる人への感謝を実感できたという。
微かに、わずかながら、光明が見えている。
荒涼とした小高地区を抜け、飯舘村へ。
人家に一軒も灯りが点ることもない暗闇の中をクルマを走らせる。
チリチリと頭の鈍痛が激しくなる。
チェルノブイリよりもひどいのではないか。
すれ違うクルマは警察か、自警団か。
パトライトがあたりの景色を回転しながら赤や青に染める。
この現実は果たしてどこまで伝わっているのか。
どこまで伝えられているのか。
ボク達は。
ボク達が。
2011REPORT1 ◆ 被災地ルポ 震災に負けないゾ! 福島編
2011REPORT2 ◆ 被災地ルポ 震災に負けないゾ! 仙台編
一説には、原発発電コストに組み込まれるのが嫌だから、わざと莫大な費用がかかるであろう除染作業を遅らせて、その費用計上を阻んでいるとかいう噂もあったりするからね。
原発を使うと電気が安いっていうのは、ほんと今回の事故の処理や、使用済み核燃料の処理費とかも全て含めてもそうなのかなって、心の底から思う今日この頃だよ。
ぼくはなんにも悪くない
ぼくは病気?病気じゃない?
みんなあいつのせいなんだ
ブランコゆれた、気のせいか
風が笑って過ぎてった
子どもの声はもう聞けない
子どもの声はもう聞けない
郡山市立赤木小学校6年 金子健君 「聞けない」
「ふるさとはフクシマ 子どもたちの3・11」(文研出版)