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居酒屋さすらい 1038 - 優しい常連さん - 「越前屋」(北区上十条)

2016-07-16 21:58:58 | 居酒屋さすらい ◆東京都内

北区は古い酒場のゴールデンエリアだと説いた本があった。

その当時はなんとなく同意したが、今はそう思ってない。

むしろ、隣駅の板橋の方が古い店は多い。

 

この日も酒場を探して、十条駅の周囲を歩いた。

実は酒場の候補はそれほど多くない。

「斎藤酒場」と「田や」以外、選択肢はそれほど多くない。この日は、新規開拓を主眼にしており、ボクは店を探してまわった。

十条銀座も演芸通りもくまなく歩いた。

だが、「これ!」という店はなかった。

 

乏しい候補の中で決めたのは「越前屋」という店だった。

決め手は、なんとなくである。


店に入って、目についたのが、カラオケセットだ。

「あぁ、カラオケ居酒屋か」と落胆した。

これは失敗したか。

そう思いながら、カウンターに座り、生ビールを頼んだ。

 

既に客が数人いた。

皆、年輩の方々である。その上、皆さん、常連さんだ。

多分、常連さんが集まる店なのだろう。

ある程度、予測はついたが、実際そうだと分かると、とたんに心細くなった。

 

生ビールを注文すると、隣にいたおばちゃんがボクに話しかけてきた。

ピンクのワンピースを着たおばちゃんだった。

「どっから来たの?」という野暮な質問ではなかった。

「このマスター、ものすごく料理が上手なの」。

 

意表をついた言葉に、ボクは言葉を失った。

寡黙なマスターである。オーダーに対しても、うんともすんとも言わない。そのかわり、常連らは随分饒舌だ。

次第に他の常連さんも、ボクに話しかけてきた。

 

とにかく、他愛もない話しである。

だが、たいした話しじゃなくても、しっかりと話題になるのは、話術がしっかりとしているからだろう。

 

マスターの料理は確かにおいしかった。

家庭料理の一品料理。

ボクは「肉じゃが」をいただいた。

 

そうこうするうち、お客はどんどん増えていった。

足の不自由なおばあさんも常連の中に加わった。

 

不思議だったのは、この店に集う客に、サラリーマンがいなかったことである。もっとも、この日は冬休みに入っており、勤め帰りの客は絶対的に少なかったかもしれないが、それにしても、客はほとんどが老人だった。

 

北区は23区内の中で、もっとも高齢化率が高い区である。

日本は世界に類をみない速度で、高齢化社会を迎えている。

 

2時間ほど店にいたが、何を話したか、覚えてない。

ただ、時間を忘れて沢山の話しを聞いてもらった。

 

常連の店は、ともすれば排他的だが、「越前屋」は一見に優しい店だった。

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