「BBB」

BASEBALL馬鹿 BLOG

読書日記 2013- 12 「ティファニーで朝食を」

2013-12-11 20:25:53 | 読書日記

「ティファニーで朝食を」の村上春樹訳はまさに村上春樹ワールドが炸裂した一冊といえる。

龍口直太朗訳を読んでいないので、なんともいえないが、間違いなくテイストは村上だ。

狂言回し的存在のポールは「ノルウェイの森」におけるワタナベ君であり、「海辺のカフカ」におけるカフカである。 

 

さて、何故この作品が今も読者を魅了してやまないのは、主人公ホリーの魅力ではないだろうか。

一見すると、奔放ともいえるホリーの言葉だが、実はひとつひとつの言葉が重く、多くの意味を示唆している。

このホリーの言葉が、作品の骨格をなしているともいえるのだ。

例えば、ある日、川べりで出会った子猫と自分を評し

「わたしたちはお互い誰のものでものない」。

そして、表札のかわりに「旅行中」と記す。

「結局のところ、わたしが明日どこに住んでいるかなんて分かりっこないでしょう」と。

 

そして、スキャンダルが発覚し、警察に追われる身となり

「あいつらになんかぜったい捕まりっこないわ」

と旅に出る決意をする。

 

それは誰にも所有されない」と科白する彼女の生き方そのものとティファニーという所有する願望の象徴を二項対立として作品全体のテーマを謳っているようでもあるのだ。

 

and someday, I'll try to get around to it; but if it happens, I'd like to have my ego tagging along. I want to still be me when I wake up one fine morning and have breakfast at Tiffany's.

なんと素敵なたとえなのだろうか。

ホリーの言葉は今の我々にも通じる。

僕らは本来自由な存在のはずである。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 居酒屋さすらい 0702 - 京町... | トップ | 居酒屋さすらい 0703 - 京都... »

コメントを投稿