「庄や」を出て、突如、ボクは風呂に入りたくなった。
往復6kmも歩いて、かなりの汗をかいたからだろう。汗を流してさっぱりしたかった。
だが、東葉高速線沿線に銭湯はないだろう。この路線は新しく、駅の周囲は新興住宅地である。
西船橋まで出るしかない。
西船では以前、「湯~とぴあ」という銭湯に行った。けれども悪趣味な風呂で、どうも落ち着けなかった。
今度は昔ながらの銭湯に行ってみたい。そう思って、不本意ながらスマホで検索した。
すると、船橋駅の南側に「湊湯」という銭湯が検索で出てきた。駅からちょっと遠いが、時間もたっぷりとあることだし、そこへ向かうことにした。
西船橋から乗り換えて、船橋駅下車。
そこからひたすら、南下した。
京成船橋駅を過ぎ、京葉道路を越えた。千葉市内では京葉道路以南が埋め立てされたといわれている。
多分、船橋市においても同じだろう。案の定、街並みが変わる。
「湊湯」という銭湯はすぐに見つかった。
だが、そのロケーションを見て、ボクは浦安の「松の湯」を思いだした。
風景が似ているのである。
銭湯の前に川がある。
いや、「湊湯」の前は川といっても途中でせき止められており、厳密にいえば、船溜まりである。
一方の「松の湯」も堀江川は船溜まりになっていて、シチュエーションは驚くほど似ていた。
きっとこの銭湯も仕事を終えた荒くれの漁師らが、ひと風呂浴びたのだろう。
三番瀬で漁をした帰りに。
そういえば、湊湯の所在する町名は湊町だ。
恐らく、埋め立てられる前は文字通りここが湊だったのだろう。
船橋という地名も含めて、三番瀬を要する海の町なのだ。
風呂は広くて清潔で、おまけに人がいない開放感で気持ちのいい風呂だった。
ペンキ絵は富士山。その天晴な風景がまたいっそう風呂を気持よくさせる。
それにしても、だいぶ歩いた。
JR船橋駅からたっぷり20分。多分、往復3kmはあるだろう。それだけでもこの日9kmを歩いたことになる。
この銭湯は最近建て直しをしたのだろう。
外観はレンガ造り。番台はセントラル方式。浴槽には泡状の風呂をあつらえ、今風だ。
暖簾も新しく、青く染め抜いた色彩はまるで大漁旗。
風呂の湯はもちろん加温だが、それでも海に近いということで、若干塩気を帯びているようだ。もちろんミネラルも多く含まれていることだろう。
湯温は若干熱い43℃。
血気盛んな漁師には恐らく調度いい湯加減に設定されている。
16時を過ぎたあたりで、ようやく人が入ってきた。
貸し切り状態で超リラックスしたのだから、これほど気持ちのいい盆休みはない。
ここは是非、再訪したい銭湯である。
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