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お風呂さすらい 63 「湊湯」(船橋市湊町)

2016-03-02 13:45:48 | お風呂さすらい

「庄や」を出て、突如、ボクは風呂に入りたくなった。

往復6kmも歩いて、かなりの汗をかいたからだろう。汗を流してさっぱりしたかった。

だが、東葉高速線沿線に銭湯はないだろう。この路線は新しく、駅の周囲は新興住宅地である。

西船橋まで出るしかない。

西船では以前、「湯~とぴあ」という銭湯に行った。けれども悪趣味な風呂で、どうも落ち着けなかった。

今度は昔ながらの銭湯に行ってみたい。そう思って、不本意ながらスマホで検索した。

すると、船橋駅の南側に「湊湯」という銭湯が検索で出てきた。駅からちょっと遠いが、時間もたっぷりとあることだし、そこへ向かうことにした。

 

西船橋から乗り換えて、船橋駅下車。

そこからひたすら、南下した。

京成船橋駅を過ぎ、京葉道路を越えた。千葉市内では京葉道路以南が埋め立てされたといわれている。

多分、船橋市においても同じだろう。案の定、街並みが変わる。

 

「湊湯」という銭湯はすぐに見つかった。

だが、そのロケーションを見て、ボクは浦安の「松の湯」を思いだした。

風景が似ているのである。

 

銭湯の前に川がある。

いや、「湊湯」の前は川といっても途中でせき止められており、厳密にいえば、船溜まりである。

一方の「松の湯」も堀江川は船溜まりになっていて、シチュエーションは驚くほど似ていた。

きっとこの銭湯も仕事を終えた荒くれの漁師らが、ひと風呂浴びたのだろう。

三番瀬で漁をした帰りに。

 

そういえば、湊湯の所在する町名は湊町だ。

恐らく、埋め立てられる前は文字通りここが湊だったのだろう。

船橋という地名も含めて、三番瀬を要する海の町なのだ。

 

風呂は広くて清潔で、おまけに人がいない開放感で気持ちのいい風呂だった。

ペンキ絵は富士山。その天晴な風景がまたいっそう風呂を気持よくさせる。

 

それにしても、だいぶ歩いた。

JR船橋駅からたっぷり20分。多分、往復3kmはあるだろう。それだけでもこの日9kmを歩いたことになる。

 

この銭湯は最近建て直しをしたのだろう。

外観はレンガ造り。番台はセントラル方式。浴槽には泡状の風呂をあつらえ、今風だ。

暖簾も新しく、青く染め抜いた色彩はまるで大漁旗。

 

風呂の湯はもちろん加温だが、それでも海に近いということで、若干塩気を帯びているようだ。もちろんミネラルも多く含まれていることだろう。

湯温は若干熱い43℃。

血気盛んな漁師には恐らく調度いい湯加減に設定されている。

 

16時を過ぎたあたりで、ようやく人が入ってきた。

貸し切り状態で超リラックスしたのだから、これほど気持ちのいい盆休みはない。

ここは是非、再訪したい銭湯である。

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