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オレたちの「深夜特急」~インド編 ジャイプル 3 ~

2017-05-29 22:23:49 | オレたちの「深夜特急」

クルマのけたたましいクラクションで目が覚めた。窓辺から射し込む朝日は強烈で、わたしは額に、じっとりと汗をかいていた。

時刻はもう、9時を回っていた。

退院後の移動にしては、ハードだったが、体調は悪くない。きっともう大丈夫だろう。

 

わたしは外に出てみた。

昨夜は全く 気づかなかったが、「ジャイプルINN」は、繁華な通りにあった。巨大な門扉をくぐり抜けると、たくさんのリキシャーワーラーがたむろしている。

5台や6台ではない。10数台のサイクルリキシャーが列をなしていた。わたしが、その門扉から出てくると、彼らは競って、わたしを囲み、「どこへ行くんだ」、「ちょっと、乗ってけよ」と、腕をつかまんばかりに、わたしにたかった。


わたしは、腕を大袈裟に振って、「No!No」と彼らをかわした。だが、彼らはそんなことであきらめたりはしない。それでも、わたしにつきまとい、離れることはない。だが、しばらく無視して歩くと、数人いたリキシャーワーラーは、一人減り、二人減り、やがて追いかけてくるインド人はまばらになる。

結局、最後まで、ついてきたのは、紫のスカーフを巻いた男だった。

わたしは、行くあてがなかったが、どこかで飯を食べようと思っていた。

最後まで残ったリキシャーワーラーは、そんなわたしを見透かし、「飯屋を紹介するぞ」と叫んでいる。柄の悪い男だった。

「いや、いい」とわたしは断り続けた。

それでも、紫のスカーフの男は、サイクルリキシャーをゆっくり漕ぎながら、わたしの後をついてくる。かなり、しつこい男だった。

繁華な通りに出たところに、ちょっとした店があった。どんな店か、よく分からなかったが、とにかくわたしは店に逃げこんだ。テーブルについたわたしは煙草に火を点けて、その男をやり過ごした。彼はしばらく、うろうろしていたが、わたしが出てこないと見ると、姿が見えなくなった。


店は、ターリー屋だった。

数人の男どもが、ターリーを食べている。その男どもの手つきが素晴らしい。

店の主人が来て、わたしに何か言った。

わたしは「ターリー」と言ったが、どうやら通じていない。種類がいくつかあるのだろう。メニュー表もないから、指差しで示すわけにもいかない。わたしは、後ろの男のプレートを指差し、「セイム、セイム」と言った。


どうやら、店は地元の男どもが来る、ローカルな店のようだ。英語が通じない。考えてみると、インドに来てから、約2週間、わたしは本当のローカルな店に来たのは初めてだった。

デリーのパハルガンジで食べたターリー屋には、英語のメニューがあった。チベタンキャンプでは、ホテルに併設されていたレストランで飯を食べていたし、マトゥラ―、アグラーも外国人が来る店で食べていた。

 

長く旅をしていると、ついつい面倒になって、疲れない店を選んでしまう。カオサンでぬるい暮らしをしてたからだろう。わたしもそんな癖がいつしかついてしまっていた。

 

だいぶ、元気になったのだろう。

わたしは、自分を顧みられるくらいに回復した自分に気がついた。

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2 コメント

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ジャイプル (ふらいんぐふりーまん)
2017-06-01 14:48:52
改めて俺がどんな風にジャイプルを過ごしたか自分のオレ深を読んでみた。

ブログにも書いてんだけど、ほとんど全くと言っていいほど覚えてないんだよなあ・・・。(苦笑)

ただ、観光客慣れしていて、多くの観光客目当ての奴がいて、それも一様にすれていたのだけは印象として強く残ってるよ。

さて、師はどんなジャイプルを過ごすのかな?楽しみにしてるよ。
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Unknown (熊猫)
2017-06-02 14:44:38
自分の場合、要所は覚えていて、細かい部分を思い出す作業が結構楽しいよ。
記憶がよみがえってくることもあるけど、思い出せないことがほとんどだね。

インドでやりとりしたレシートやチケットなんかは全部とっていて、当時の地球の歩き方を参照しながら、思い出すようにしてるよ。

ただ、思い出せないことのほうが多いね。
ジャイプルINNの間取りが思い出せないし。

また、インド行きたいよ。
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