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恵比寿の立ち飲みは独特だ。
「縄のれん」を除けば、ほぼシャレオツ系。渋谷とは違うし、目黒とも違う。独特の進化を辿っている。昔は居心地は悪かったが、それはそれで楽しさもある。独立してから、初めての恵比寿だった。概ね、1年半ぶり。新しい、立ち飲みが出来ていないか散策したが、目新しいお店はなかった。
駅北側の小路に入ってみた。
すると、「恵比寿スタンド富士」という店を見つけた。この店、知らないなと、店内を覗き込むと、立ち飲みではなく、座飲みだった。店頭にメニューを飾っており、読んでみると、なかなか安価で魅力的なメニューを揃えていた。
実は自分には行き先があった。スマホで検索して、ヒットした「Melt 恵比寿」という立ち飲み。名前からしてもうシャレオツ系だ。溶けるという意味の店名は、どうもチーズが売りらしい。
「スタンド富士」をスルーして、「Melt 恵比寿」を目指し、店に辿り着くと、なるほど入りにくい。これなら、「スタンド富士」の方が楽しく飲めそうだと踵を返して行ってみると、「満席です」と断られた。確かに、店は満員だった。行き場がないので、また「Melt 恵比寿」に戻り、階段を上がって店に入った。つまらなければ、一杯で帰ればいいのだ。
店はお客が皆無だった。適当なところにポジションして、メニューを眺めた。やはりメインはワインか。これは困ったな。とりあえず、ビールでお茶を濁しておくか。「ハイネケン」の樽生があるし。
「ハイネケン」と「ポテトサラダ」をオーダーしてみた。
店員さんは男性2人で、そのうちの若い店員さんが、話しかけてきた。
「会社はこの近くですか?」
「いえ、今日はたまたまこの近くに来て」と返した。自分の言葉が妙に刺々しいのが分かった。このような店ではあまりお店の人から話しかけてくることがない。正直、自分は戸惑っていたのだ。数週間前に訪問した、浅草の「洒落者」でも、同じことを聞かれた。近所に勤めていれば、常連さんになってもらえる可能性があるからか。それとも話しのとっかかりとして言いやすいフレーズなのか。
ここは「ハイネケン」を飲んだら出よう」。
そう思った。
「ポテトサラダ」はじゃがいもだけで作られている独特のものだったが、それがかえって、素材だけの味で勝負していてうまい。
次に話しかけてきたのは、もう一人の店員さんだった。
聞くところによると、彼は恵比寿の立ち飲み店を幾つも渡り歩いてきたようだ。この店の近所にある、「buri」。そして、恵比寿の立ち飲みの顔ともいえる「Q」。いずれも、自分は一回ずつ行った。いずれも来店は12年前に遡る。もしかして、その時、この店員さんとはお会いしていたかもしれない。
店員さんと話しをするうちに、お店のコンセプトなども分かってきた。ならば、ワインでもいただこうかとお店の人におすすめを尋ねると、「チャンキーレッド」という赤を出してもらった。お店でも人気のワインらしい。一杯800円。自分が普段飲んでいたワインのボトルが1.5本買える。
普段、飲んでいた安ワインとは全く違った。まろみがあって、おいしい。これは確かに飲みやすいし、当たりだった。毎日、同じものを飲んでいると、その違いがよく分かったりすることを実感した。
最初に話しかけてきた店員さんとまた会話が始まった。彼は大学生でアルバイトの店員さんだった。来春からは社会人になるらしい。期待と不安が入り混じっていると言った。彼の大学生活はコロナに翻弄された4年だったという。通学できたのは最初の一年だけ。あとはオンラインが中心だったという。自分の大学生活もほぼオンラインのみだったから、孤立すると途端に辛くなった。自分は社会人だったから、世界の全てが大学だった訳ではないが、現役世代の大学生はさぞ辛かっただろうと想像する。
シャレオツ系の店だが、なかなかハートウォームな雰囲気だった。ただ、お店としてはやはり2軒目以降に使うのが正解か。小腹も空いたし、何か腹にたまるものでも食べに行くか。
次回は是非お店のウリのチーズをいただきたい。
店員さんの常套文句なんでしょうね。
来春に社会時になるバイト君は、熊猫さんに昨今の会社動向を聞きだしたかったのかも。
マヨネーズの好みとか知ってもらってますし。
バイト君は確かに、なんとなく聞き出したいことがあるようにも感じました。
残業とかどのくらいあるのかという情報とか。でも、それは職種によって異なるし、なんともいえないので、適当に答えましたが。
社会に出る時って確かに不安でしたね。