また横浜で仕事が終わった。日産グローバル本社から、横浜駅まで歩いても、立ち飲みの一軒も見つからない。今日は野毛まで足を運んでみようか。そう思って電車に乗った。野毛なら、なんとかなるだろうという算段もあった。
桜木町の駅は一種異様だ。東側にみなとみらいを臨み、西側には関東屈指の飲み屋街を擁する。その際立つコントラストは極めて異質だ。鉄道発祥の発着点という点を考慮すると、野毛側は恐らく闇市の跡だろう。しかも、かなり大規模闇市。闇市跡にある雑居ビルはくまなく見る必要がある。
例えば、ぴおシティというビルが桜木町の駅前にある。この一見して近代的なビルなど極めて怪しい。そう思って突撃すると、案の定地下に怪しげな酒場街が展開されていた。
圧巻だった。
雑然さでは、新橋のニュー新橋ビルに及ばないが、個々の店の雰囲気が際立っている。いちいち、店のキャラが濃いのだ。しかも、その多くが立ち飲み。鉄道発祥の新橋と桜木町で、それぞれ闇市跡がビル内に収まるというのが興味深い。
なんか、ぞくぞくしてきた。
フロアの周りを一周してみた。どの店も一癖、ふた癖ありそうだ。
「石松」という店が気に留まった。空色の暖簾が清々しい。鰻の寝床は奥行きを示すが、「石松」は横に長い。
「石松」とは。ガッツか。それとも親分か。とにかく、インパクトのある名前だ。
メニューは黒板にびっしりと書き込まれている。ものすごい数だ。これをじっくり読み込むには時間がかかる。直感的に判断すると、まず刺身の充実に驚く。まぐろ、しまあじ、あじ、すずき、カツオ、かれい、おこぜなんていうのもある。魚だけじゃなく、くじらや貝の刺身も豊富だ。まぐろはぶつだけではなく、中トロ、大トロもあり、それぞれ400円と500円。安さに驚かされる。
うむむ。ここは絶対魚がマストメニューだろう。魚を頼んだら、日本酒が欲しくなる。だが、せっかくの機会だ。この後、もう一軒行くためには、日本酒を頼んではいけない。
そこで、ボクは瓶ビール(500円)と「もつ煮込み」(380円)を頼んだ。
ビールはスーパードライ。煮込みは褐色の味噌仕立て、ねぎだく。これがバカうま。さすが、この激戦区で凌ぎを削ってきただけある。
刺身は刺身でも、「鳥刺し」を頼んだ。このボリュームにして380円。
しかも、新鮮でうまい。
毎日来たくなる酒場。例え、毎日訪れても、この膨大なメニューを食べきるのは、いつのことか。
ギャンブラーに人気の森の石松。その墓の石はギャンブラーに削りとられたという。この店も、もしかするとギャンブラーが多く訪れるのかしらん。
桜木町に来たら、この店は絶対に外せない。
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