野暮用で赤羽に行き、16時に用事が終わった。さて、ちょっと飲んで帰るか。この時間の行き先はひとつ。「いこい支店」、一択。まずは本店を横目で見遣りながらスルー。あまりお客は入ってない様子。そして、通りを真っ直ぐ歩き、支店を目指すと、店の前になんやら多くの若い女性が。あぁ、ガールズバーね。その女性らの横をすり抜けていかなければお店に入れないからここは困る。案の定、「お兄さん、いかがですか?」と声をかけられる。かぶりをふってスルー。店内へ。
手の消毒と検温。
けれどまたしても検温の洗礼を受ける。どうしてもエラーになるのだ。
「もうちょっと離れて」。
カウンター手前のダンディなおじさんのアドバイスの通りにすると体温は正常に測れた。常連は検温のコツを承知らしい。
そのおじさんの横にチェックインした。とりあえず、おじさんにお礼を言うと、「お兄さん、その髪型いいね」と言われる。ガールズバーのお姉さんにもお兄さんと言われたし、自分はまだお兄さんなのかと思ったりもする。
店員さんは例の怖いおばさんだが、「ホッピー」を告げると、優しく「ホッピーね」と返してくれた。
店内は恐ろしく静かだった。私語をする者など誰一人いない。テレビの音声とジョッキの氷の音が唯一お店の中に響く。カウンターはびっしりと人が並び、それにあぶれた数人の客が多人数用のテーブルでぽつねんと飲む。その大多数は自分よりも歳上だった。ここではまだまだ自分は下っ端なのだ。お兄さんとはまだまだ青いなという洗礼なのか。
その後もひっきりなしにお客が入店する。彼らはすんなりと検温機をパスした。もしや、この機会、常連客と一見やたまに来る客を見極めるマシーンだったりしてね。
まずは「ウィンナー」をコール。静寂の中を自分の声が響く。お姉さんは「あいよ」と答えた。
「ウィンナー」の到着と引き換えに、「カシラ」と「つくね」を2本ずつでオーダー。焼き物は早い仕掛けが必要である。しかし、見事なまでの黙食と黙飲。各御仁が皆、自分の世界で飲んでいる。
この空気感は「たきおか」にはない雰囲気だし、もちろん「晩杯屋」にもない。このある種異様は雰囲気は「いこい 支店」だけではないか。誰も私語をしない立ち飲み屋。
黙々と自分の世界に没入して酒を楽しむ人を人同士が会話するだけが酒の席の楽しみではない。自分はそういう世界は嫌いじゃない。
「ホッピー」の「中」をお代わり。すると注がれた「中」はもうほとんどジョッキの上部まで。濃い〜。
やっぱり、「いこい」の真骨頂は串焼きで、運ばれてきた「カシラ」がもう堪らなくうまい。
右隣のダンディ(右曲がりじゃないよ)が帰って行った。陽気な声で、「ネクスト ウェンズデイ」と言い残し。どうやらダンディは毎週水曜日にお店に来るのかな。
小一時間ほどで自分もフィニッシュ。
やっぱり店内はしぃんと静まりかえっていた。
注文の多い料理店です。
これじゃ若い人は寄り付きませんね~。
そして奢り、奢られもダメ。
禁止事項、盛りだくさんですよね。
自分は時々スマホは触りますが、注意されたことはありません。
若い人を時々見かけますが、おどおどしています。ちょっとなんかしたら怒られそうな雰囲気ですし。
ちなみに自分も十数年前に初めて入ったときはおどおどしていましたが。