スカイライナーが発車するまで30分弱の時間の余裕があった。
京成線成田駅。
わたしはスカイライナーのチケットを買うと、踵を返して駅前にある立ち飲み屋に走ったのである。
「立ち呑み はっぴぃ」。
その存在は兼ねてより知っていた。
見かけるようになったのはこの2年以内のことだったと思う。
数ヶ月毎に成田に所用で訪れるのだが、いつも家族を引き連れての訪成。
まさか、その帰り道、家族連れで立ち飲み屋に寄ることなどできないから、いつも無念な気持ちでスカイライナーに乗り込んでいた。
だが、とうとうこの日、「はっぴぃ」に立ち寄る好機が訪れた。
仕事の帰りだから、心置きなく立ち寄ることができる。
わたしは威勢よく店に突進した。
店の広さは10坪くらいか。
正面に厨房を構えている。厨房の際のカウンターでも飲めるが、他の客は左右の壁際で頭上のテレビを見ながらそれぞれの酒をあおっている。カウンターには大皿に盛ったおばんざい風の料理が幾つも並び、眺めているだけで実に楽しい。
全品300円均一。どうやら生ビールもその値段のようだ。
「生ビール」と「牛すじ煮込み」(300円)を頼んだ。
客あしらいをするおばちゃんは快活で愛想がよい。一人ひとりの客に声をかけ、仕事帰りの客の労をねぎらう。
ビールが運ばれてきた。ビアジョッキに注がれた量は300円とは思えない。
グイっと飲む。「ん?」
もう一度飲む。「ん?」。
もしかして、これってビール風飲料か?
「道理で」と呟きながら品書きが書かれた頭上の短冊メニューに目を遣ると「樽生」の文字。どこにも「ビール」とは謳っていない。それはなんとなく不自然だ。そして、そう書かれているということは、やはりこれは「ビール」ではないのかもしれない。
「牛すじ煮込み」は薄醤油味。しっかりと煮込まれていた。肉の量も及第点。いい仕事をしていると思う。
「樽生」を飲み終え、「酎ハイ」(300円)に切り替えた。これも中ジョッキにいっぱいに注がれている。
テレビは夕方のニュースを流している。そのニュースは五輪のゴールドメダリスト、Qちゃんこと高橋尚子選手の引退会見を報じていた。
実を言うとわたしは高橋選手の大ファンだ。
それも、初優勝した98年の名古屋国際女子マラソン以来のである。
この年のアジア大会、タイのアユタヤを走る高橋選手の姿を早朝に起きだしてテレビに釘付けになった。
「この選手は相当凄いランナーになるだろう」と。
その後の活躍は今更ここで述べることもない。
高橋選手の所属していた積水化学は千葉県の佐倉市を本拠としていた。
当時、わたしは成田市の片隅で暮らしており、密かに積水化学の練習を見に行こうと画策した時期もある。
成田の片隅とは、佐倉藩の義民、佐倉宗吾郎を祀る宗吾霊堂と目と鼻の先のところである。
高橋選手がシドニーで優勝した歳、ユニフォームに縫い付けていたのが、この宗吾霊堂のお守だった。
なんという偶然か。
Qちゃんの引退会見の日にわたしはその成田にいたのだ。
「はっぴぃ」の目の前にはバスの停留所がある。
この停留所こそ、かつての成宗電気鉄道の停車場跡。
成宗電気鉄道とは、成田山と宗吾霊堂を結ぶ千葉県唯一の路面電車で、戦前まで営業していた路線のことだ。
高橋選手がすがった宗吾霊堂を結ぶ旧路線の停車場の前にある酒場でQちゃんの引退会見の報を聞いているというこの偶然。
だが、これに気がつくものはこの酒場には誰一人いなかったようだ。
わたしは、興奮しながら「酎ハイ」をお代わりし、つまみには大皿に盛られた「ほうれん草ベーコン」(300円)だ。
成田は野菜がうまい。
近隣の富里村では露地物の野菜がわんさかとれて、それはそれはうまい。
この点、東京の居酒屋には負けないだろう。
もうひとつ言えば、魚だってうまい。
日本随一の漁獲量を誇る銚子漁港はもうすぐそこだ。
酒だって都内には負けない。
なにしろ、「長命泉」(滝沢本店)は成田の地下水から醸造した地酒である。
「はっぴぃ」はその「長命泉」も飲ませてくれる。
成田山に参詣した折は、参道の「川豊屋」で鰻を食らい、「はっぴぃ」で一杯やってから宗吾霊堂に向われることをお奨めする。
京成線成田駅。
わたしはスカイライナーのチケットを買うと、踵を返して駅前にある立ち飲み屋に走ったのである。
「立ち呑み はっぴぃ」。
その存在は兼ねてより知っていた。
見かけるようになったのはこの2年以内のことだったと思う。
数ヶ月毎に成田に所用で訪れるのだが、いつも家族を引き連れての訪成。
まさか、その帰り道、家族連れで立ち飲み屋に寄ることなどできないから、いつも無念な気持ちでスカイライナーに乗り込んでいた。
だが、とうとうこの日、「はっぴぃ」に立ち寄る好機が訪れた。
仕事の帰りだから、心置きなく立ち寄ることができる。
わたしは威勢よく店に突進した。
店の広さは10坪くらいか。
正面に厨房を構えている。厨房の際のカウンターでも飲めるが、他の客は左右の壁際で頭上のテレビを見ながらそれぞれの酒をあおっている。カウンターには大皿に盛ったおばんざい風の料理が幾つも並び、眺めているだけで実に楽しい。
全品300円均一。どうやら生ビールもその値段のようだ。
「生ビール」と「牛すじ煮込み」(300円)を頼んだ。
客あしらいをするおばちゃんは快活で愛想がよい。一人ひとりの客に声をかけ、仕事帰りの客の労をねぎらう。
ビールが運ばれてきた。ビアジョッキに注がれた量は300円とは思えない。
グイっと飲む。「ん?」
もう一度飲む。「ん?」。
もしかして、これってビール風飲料か?
「道理で」と呟きながら品書きが書かれた頭上の短冊メニューに目を遣ると「樽生」の文字。どこにも「ビール」とは謳っていない。それはなんとなく不自然だ。そして、そう書かれているということは、やはりこれは「ビール」ではないのかもしれない。
「牛すじ煮込み」は薄醤油味。しっかりと煮込まれていた。肉の量も及第点。いい仕事をしていると思う。
「樽生」を飲み終え、「酎ハイ」(300円)に切り替えた。これも中ジョッキにいっぱいに注がれている。
テレビは夕方のニュースを流している。そのニュースは五輪のゴールドメダリスト、Qちゃんこと高橋尚子選手の引退会見を報じていた。
実を言うとわたしは高橋選手の大ファンだ。
それも、初優勝した98年の名古屋国際女子マラソン以来のである。
この年のアジア大会、タイのアユタヤを走る高橋選手の姿を早朝に起きだしてテレビに釘付けになった。
「この選手は相当凄いランナーになるだろう」と。
その後の活躍は今更ここで述べることもない。
高橋選手の所属していた積水化学は千葉県の佐倉市を本拠としていた。
当時、わたしは成田市の片隅で暮らしており、密かに積水化学の練習を見に行こうと画策した時期もある。
成田の片隅とは、佐倉藩の義民、佐倉宗吾郎を祀る宗吾霊堂と目と鼻の先のところである。
高橋選手がシドニーで優勝した歳、ユニフォームに縫い付けていたのが、この宗吾霊堂のお守だった。
なんという偶然か。
Qちゃんの引退会見の日にわたしはその成田にいたのだ。
「はっぴぃ」の目の前にはバスの停留所がある。
この停留所こそ、かつての成宗電気鉄道の停車場跡。
成宗電気鉄道とは、成田山と宗吾霊堂を結ぶ千葉県唯一の路面電車で、戦前まで営業していた路線のことだ。
高橋選手がすがった宗吾霊堂を結ぶ旧路線の停車場の前にある酒場でQちゃんの引退会見の報を聞いているというこの偶然。
だが、これに気がつくものはこの酒場には誰一人いなかったようだ。
わたしは、興奮しながら「酎ハイ」をお代わりし、つまみには大皿に盛られた「ほうれん草ベーコン」(300円)だ。
成田は野菜がうまい。
近隣の富里村では露地物の野菜がわんさかとれて、それはそれはうまい。
この点、東京の居酒屋には負けないだろう。
もうひとつ言えば、魚だってうまい。
日本随一の漁獲量を誇る銚子漁港はもうすぐそこだ。
酒だって都内には負けない。
なにしろ、「長命泉」(滝沢本店)は成田の地下水から醸造した地酒である。
「はっぴぃ」はその「長命泉」も飲ませてくれる。
成田山に参詣した折は、参道の「川豊屋」で鰻を食らい、「はっぴぃ」で一杯やってから宗吾霊堂に向われることをお奨めする。
思わせます。しかし、よく見つけますね。
13日の土曜日、王子の「平澤かまぼこ」へ行きました。日の高いうちから、いい気分になりました。
おでん 100~250 おでんの「でん爺」としては
感激と感謝でいっぱいです。
何時頃でしたか?
わたしは土曜日、妻が仕事だったので、子どものお守り。13時半頃、3歳の娘を前のシートに、10ヶ月の息子をおぶって自転車にまたがり飛鳥山に遊びに行きました。
15時くらいまで飛鳥山公園にいたのでニアミスしてたかもしれませんね。
平澤さんのおでんは最高ですね!
ブログの更新、楽しみにしてます。
いたのは、15時10分ごろです。
それから、王子駅の陸橋を渡って、平澤かまぼこに行きましたので。
では、また
おぉ~。
飛鳥山を出るときに妻と電話したので、その履歴を調べてみると、なんと15時08分!
それから3分くらい話しをしてから歩道に出たので、15時11分頃、飛鳥山公園前の派出所目の前で信号待ちしていたはずです。
いゃぁ、もしかしてすれ違っていたかも、ですね。
この店は、私が川崎から成田まで毎日通勤してたときから馴染みの店です。
今は公津の杜なので、あまり来て無いですが。
川崎には、立ち飲み屋は沢山ありますが、成田では珍しいので、ひいきにしてます。
店のママは活気溢れて、めちゃ良い店です!
これからもひいきにしてあげてくださいね
昨夜は「はっぴぃ」だったのですね。
Happyでしたか?
3ヶ月に1度、店の前を通りすぎるだけで、お店には行けてません。
たまには、寄りたいです。
蛇足ですが、成田で気になっている店はヨークマートの前にある「昼間の居酒屋 お母さん」です。
今後ともよろしくです。