本格的な秋の到来を告げる嵐なのか。
雨は横殴りに降りつけ、足早に行き交う人びとの足下をすっかりと濡らしている。
わたしの足もすっかり靴下まで濡れて気持ちが悪かった。家はもうすぐだが、今晩はちょっと酒場に立ち寄って帰ろうと思っていた。
仕事の現場から直帰のため、まだ時間が早いのだ。
店に着いたのがちょうど18時頃、JR王子駅を東口に降り、北本通りを北へ。サンダース卿の人形が見えたら、右折。するとややくたびれたお店が右手に見えてくる。
「大衆酒場 一福」。
以前から気になっていたお店で、今夜が初めての入店だ。
何がわたしを気にさせていたのか。それは店舗の看板に書かれた「特製チュウハイ」の文字である。
ご存知の通り、地元民に圧倒的な支持を得ている大衆酒場に特製の酎ハイを出す店は珍しくない。
居酒屋放浪記アワードの05年を飾った江東区住吉「山城屋酒場」はその最たる例だ。しかも職人芸ともいえる早業で器用に酎ハイを作る。それだけでも一見の価値ありだ。
また、熊猫は未訪問だが、立石の「宇ち多」における「梅割」はもはや伝説的とも言われている。
このように大衆酒場に「特製」の酎ハイがあれば、その店を見る目は一気に変わる。「お!頑張ってるな」とステイタスを上げてしまうのだ。
ドアを開けてみた。
店内は意外と広い。そのため、やけにガランとしたイメージを受けた。実際、お客はカウンターに1名、テーブル席に1組2名の客がいるだけだった。やはり、雨降りがたたっているのだろうか。
わたしは、店内右側にあるカウンター席のひとつに腰掛け、瓶ビールと「もつ煮込み」(400円)を注文した。
カウンターの向こうにいるオヤジは「キリンとアサヒ、どっちにする?」とぶっきらぼうに返してきた。
リーマンショックから1月あまり。その余波はいよいよ日本の実態経済にも影響を及ぼしてきた。
居酒屋業界はどうだろうか。
5月21日のNHK総合「クローズアップ現代」は衝撃的な内容だった。
「節約志向の客をつかめ~外食“激安”バトル~」と題された軒並み外食産業がこの世界的不況によって大打撃を受けていると報告した。
そしてその居酒屋の現場も例外ではないというのだ。
そういえば、最近居酒屋の店頭で声を張り上げて客引きする店が増えた。
けっこう、どの店も大変なのかもしれない。
キリンラガービール(530円)を飲みながら、そんなことを思っていた。
店内は大衆居酒屋らしい雰囲気を醸していた。壁には短冊で書かれたメニュー。店内の角にはブラウン管のテレビ。テレビは6時代のニュースが流れており、女優の長谷川京子さんが結婚したことを告げている。
その下には串焼きの焼き台が備えられている。どうやら、この店の看板はもつ焼き(各90円)とカウンター内で仕込まれている「おでん」(各100円)のようだ。
そこで、わたしは「おでん盛り合わせ」(500円)と「チュウハイ」(320円)を頼んだ。
店のオヤジはカウンター越しのお客と熱心に喋っており、なかなか注文を切り出せなかったが、半ば強引に注文した。
そのオヤジの話はなかなか含蓄のある話だった。
「皮膚病っていう分野はさ、まだなかなか解明されていない点が多いんだってさ」。
そして、専門的な用語を使って、逐一それらを説明する。
わたしの「チュウハイ」セットを持ちがてら、オヤジはまだその男との話を続けていた。
眼前に置かれた「チュウハイ」は酎ハイグラスにレモンスライスが添えられている。一口飲んでみたが、何がどうというわけでもなく、特製の味は伝わってこない。
だが、少なくともアサヒの「樽ハイ倶楽部」を使っているふうではなかった。
少なくとも、かなり「チュウハイ」の味を楽しみにしていただけにちょっとがっかりしたというのが本音だ。
オヤジは相変わらず、皮膚病の話に講じている。一瞬、わたしは彼と目があったので、「わたしの手足に出ているカサカサも病院に見せていますが、原因は分からないです」と言うと、一度だけ相槌しただけで、またカウンター越しの客と話し始めた。
余計な首は突っ込まないほうがいいようだ。
「おでん」はとてもおいしかった。
秋の嵐は季節の変わり目を告げるものなのだろうか。
これから、長い冬の訪れとともに「おでん」のうまい季節が到来する。
そして、この不景気が居酒屋にとって厳しい冬にならないように。
そう思いながら、わたしは店を後にした。
雨は横殴りに降りつけ、足早に行き交う人びとの足下をすっかりと濡らしている。
わたしの足もすっかり靴下まで濡れて気持ちが悪かった。家はもうすぐだが、今晩はちょっと酒場に立ち寄って帰ろうと思っていた。
仕事の現場から直帰のため、まだ時間が早いのだ。
店に着いたのがちょうど18時頃、JR王子駅を東口に降り、北本通りを北へ。サンダース卿の人形が見えたら、右折。するとややくたびれたお店が右手に見えてくる。
「大衆酒場 一福」。
以前から気になっていたお店で、今夜が初めての入店だ。
何がわたしを気にさせていたのか。それは店舗の看板に書かれた「特製チュウハイ」の文字である。
ご存知の通り、地元民に圧倒的な支持を得ている大衆酒場に特製の酎ハイを出す店は珍しくない。
居酒屋放浪記アワードの05年を飾った江東区住吉「山城屋酒場」はその最たる例だ。しかも職人芸ともいえる早業で器用に酎ハイを作る。それだけでも一見の価値ありだ。
また、熊猫は未訪問だが、立石の「宇ち多」における「梅割」はもはや伝説的とも言われている。
このように大衆酒場に「特製」の酎ハイがあれば、その店を見る目は一気に変わる。「お!頑張ってるな」とステイタスを上げてしまうのだ。
ドアを開けてみた。
店内は意外と広い。そのため、やけにガランとしたイメージを受けた。実際、お客はカウンターに1名、テーブル席に1組2名の客がいるだけだった。やはり、雨降りがたたっているのだろうか。
わたしは、店内右側にあるカウンター席のひとつに腰掛け、瓶ビールと「もつ煮込み」(400円)を注文した。
カウンターの向こうにいるオヤジは「キリンとアサヒ、どっちにする?」とぶっきらぼうに返してきた。
リーマンショックから1月あまり。その余波はいよいよ日本の実態経済にも影響を及ぼしてきた。
居酒屋業界はどうだろうか。
5月21日のNHK総合「クローズアップ現代」は衝撃的な内容だった。
「節約志向の客をつかめ~外食“激安”バトル~」と題された軒並み外食産業がこの世界的不況によって大打撃を受けていると報告した。
そしてその居酒屋の現場も例外ではないというのだ。
そういえば、最近居酒屋の店頭で声を張り上げて客引きする店が増えた。
けっこう、どの店も大変なのかもしれない。
キリンラガービール(530円)を飲みながら、そんなことを思っていた。
店内は大衆居酒屋らしい雰囲気を醸していた。壁には短冊で書かれたメニュー。店内の角にはブラウン管のテレビ。テレビは6時代のニュースが流れており、女優の長谷川京子さんが結婚したことを告げている。
その下には串焼きの焼き台が備えられている。どうやら、この店の看板はもつ焼き(各90円)とカウンター内で仕込まれている「おでん」(各100円)のようだ。
そこで、わたしは「おでん盛り合わせ」(500円)と「チュウハイ」(320円)を頼んだ。
店のオヤジはカウンター越しのお客と熱心に喋っており、なかなか注文を切り出せなかったが、半ば強引に注文した。
そのオヤジの話はなかなか含蓄のある話だった。
「皮膚病っていう分野はさ、まだなかなか解明されていない点が多いんだってさ」。
そして、専門的な用語を使って、逐一それらを説明する。
わたしの「チュウハイ」セットを持ちがてら、オヤジはまだその男との話を続けていた。
眼前に置かれた「チュウハイ」は酎ハイグラスにレモンスライスが添えられている。一口飲んでみたが、何がどうというわけでもなく、特製の味は伝わってこない。
だが、少なくともアサヒの「樽ハイ倶楽部」を使っているふうではなかった。
少なくとも、かなり「チュウハイ」の味を楽しみにしていただけにちょっとがっかりしたというのが本音だ。
オヤジは相変わらず、皮膚病の話に講じている。一瞬、わたしは彼と目があったので、「わたしの手足に出ているカサカサも病院に見せていますが、原因は分からないです」と言うと、一度だけ相槌しただけで、またカウンター越しの客と話し始めた。
余計な首は突っ込まないほうがいいようだ。
「おでん」はとてもおいしかった。
秋の嵐は季節の変わり目を告げるものなのだろうか。
これから、長い冬の訪れとともに「おでん」のうまい季節が到来する。
そして、この不景気が居酒屋にとって厳しい冬にならないように。
そう思いながら、わたしは店を後にした。
昨日、江東区東陽5丁目にある立ち呑みの店「三国屋」酒店に行ってきました。貴方のブログを見て、店は知っていましたが、入ったのは昨日が初めてです。1時間いて、1200円でした。いい店ですね。
ところで、負けるにしても、ひど過ぎますね。
三国屋さんに行かれましたか。
いいお店です。
わたしはなかなか再訪できません。
何を食べられましたか?
駄菓子のイカげそがとてもおいしかったです。
焼酎もなかなか充実していますね。
昨夜のカープは同感です。
ドーマン投手は怒りっぽい性格のようです。
今後は中継ぎを任せられません。
森投手は気の毒でした。
まぁ、1点差でも21点差でも1敗は1敗です。
むしろ、後に引かない負け方ではないでしょうか。
交流戦の優勝はまだまだいけますよ。