その前日に、ホッピーの広告も兼ねた巨大トラックを見た。(恐らくホッピービバレッジの輸送トラックと思われる)そして、この日も幕張メッセ付近で、やはり、ホッピーの瓶が大きく描かれているトラックを発見したのである。まるで、フォルクスワーゲンのビートルを3色見れば、その日一日は幸運。に似たような不思議な気分にとらわれる。
こんなサブリミナルのような刷り込みが潜在意識の片隅で静かに暴れていて、だから秋葉原から徒歩で神田駅付近を歩いているとき、ちょっとした立ち飲み屋へふらりと入ってしまったのだろう。
神田川を渡り、昭和通りから靖国通りを斜めに横断。一八通りから神田一番街通りへ。ガード下は多くの飲み屋が軒を連ねる。
一軒一軒、店頭のメニューなどを見ながら冷やかしていくと、格子戸のノスタルジックな店に辿り着いた。
「開運横町」。これが店の名前。
ノスタルジックな風情を醸す立ち飲み屋さんのようだ。
店頭には「ホッピーあります」の文字。
店にはお客が一人しかいないようだが、入ってみることにした。
引き戸を開けると店内の裸電球の柔らかな光に包まれた。
床は板張り。立ち飲みのテーブルには巨大な樽が代用されている。店の中はホワイトアッシュのような木材が使われて、古臭い店を演出している。
そういえば、店の看板もブリキのような素材を使っているようで、店のコンセプトはやはり「昭和ノスタルジー」のようである。
先日の「半兵ヱ」(居酒屋放浪記NO.0056)といい、この手の店が流行っているのだろう。
このお店には女性の店員がいて、その都度注文を伺いにくる。
店の一番奥のカウンターにわたしは陣取り、まず生ビールを注文した。
生ビールのジョッキが運ばれてくる頃、先客で陣取っていたおっさんの一人客が店を出た。お客はわたし一人だけとなった。
ビールは冷えててうまい!ビールの量は少なくもないが、一杯400円。
立ち飲みにしては少し高い。
つまみのオーダーを聞きにきた、ややハスキーボイスの店員に「この店お奨めのメニューは?」と尋ねると、店員はやや間を置いて、「赤いウインナー炒め」と答える。
どうやら、昔懐かしい、赤いウインナーにおっさんたちは郷愁を誘われるらしく、随分と売れているとのこと。
それと、もつ煮を貰うことにした。
一人で飲みに来て、しかも店内に客が自分しかいない、というのはなかなか辛いもの。店内をきょろきょろと見回したり、持っていた日経新聞に目を通してみたりして、なんとか時間を稼ぐ。店に流れる音楽はさっきからずっとビートルズだ。
そうこうすると、くだんのウインナーが運ばれてきた。
何の変哲もない、昔ながらのウインナー。別段、蛸にあしらうわけでもなく、野菜と一緒に炒めるわけでもなく、ただただ赤いウインナー。
これが、この店の一番のお奨めか?と頭に疑問符をつけていると、流れてくるのはビートルズの「Drive My Car」。
ウインナーの懐かしい味をかみしめながら、と~っても、アンニュイな気分になってくるのだ。
ビールを一撃でやっつけ、次なる飲み物は待望のホッピー。いやぁ、ホッピー研究会の延期などがあり、久しくこの麦芽飲料を飲んでいなかったが、これこれ!おお懐かしき香りよ、懐かしき味よ。
頼んでいたもつ煮も運ばれてきて、ホッピーと一緒に頬張ると、実に味が染みたいい風味。ウインナーは普通だったが、煮込みはかなり、いいお味。
だが、いかんともしがたいのは相変わらずお客が入ってくる気配なしという点。 だって、今宵は金曜日でしょ。
保冷機には食べられるあてのない焼き鳥が整然と陳列している。
大丈夫か、この店。
とにかく、ひとりぼっちのオイラ、手持ち無沙汰のため、東海林さだおの「独り酒の作法」のごとく、店のあらゆる掲示物を読み漁る。
「まず、メニューを読む。すみからすみまで読む。メニューのおしまいのところの、「チェーン店一覧のところまで読む。(中略)メニュー精読が終了すると、店内の貼り紙を一つ一つ、はじから点検していく。『冷えてます!生』(そうか、『冷えてます!生』か、そうか、そうか。なかなかいいじゃないか。(中略)と『冷えてます!生』だけで3分はもつ。さらにもう一枚。『整理整頓』とある。(中略)(うん。これは従業員向けの貼り紙だな。うん。店長かなんかが自分で書いて貼ったんだな。)(中略)『整理整頓』だけで4分はもつ」(東海林さだおの弁当箱、朝日新聞社)
といった具合に店のあちこちの貼り紙を読んでみるのだ。
すると、以外にこのお店はメニューが多く、酒の種類も多いことが分かった。
例えば、日本酒には銘酒の誉れ高い「開運」が置いてある。
また、つまみには北海道から獲れたてのヤリイカなども用意されている。
ほう、けっこう居酒屋然とした店なのだナ、とは思ったりもするのだが、しかし、 この閑古鳥はどうなのよ。
結局、ホッピーの中身を2杯飲む間、お客は一人も現れず、ビートルズの奏では延々と続いた。さすがに一人で飲むと、酔うのは早いらしい。帰宅の途に着こうとコートを着ようとしたら、ちょっとへべれけになっていることに気づく。
そんな酔客を心配してか、店主と思しき若い兄ちゃんと女性店員が店先まで見送ってくれた。
そうそう、この本も怪鳥に返さないと。
お客が入らないっていうのは、どうもあの雰囲気にあるかもしれません。
とにかく、行ってみないければその雰囲気は味わえないねぇ。
そういえば、今年初めてホッピー飲んだんだ!
怪鳥は今年、ホッピー飲んでる?
私も、いつぞや一人飲みで手持ち無沙汰の時、さっき取引先から貰ったばかりの約束手形をしみじみと観察しながら飲んでいた事があります。3分は持ったな。あんなもんしみじみ見る機会って無いでしょ?結構危ない人に見えるだろうなあ・・・・。一人呑みの極意の「ぼんやりする」って意外と難しいよね。怪しまれずに・・・・。
一人で焼鳥屋って、
まだ奥さんも生まれたてのお子様も保育容器に入れられて(って、それも1日だけでしたっけ?!)
まだ退院できないからですよね・・・?!
なんか一人、変なこと突っ込んじゃってごめんなさい(汗)。
んでもコメントいただいてから心配でして・・・。
いねぇよ。そんなやつ。しかし、気持ち分かるなぁ。
「本の雑誌」編集長の目黒氏(怪しい探検隊)は読むものがなく、割り箸の袋の文字を読むという暴挙に出ていました。
さて、まき子さん。
カミングアウトはまだですよ~っ。
実はこの一人飲みの日は3月10日なんです(書くネタが溜まっているんです)。
だから、まだこの頃は生まれていないんです。
赤ちゃんは3月29日に産まれました。
元気な女の子です。
3月30日から4月2日まで娘のところに行ってましたが、これがもう離れられないくらいに可愛い!
いや、つい。失礼しました。
親バカです。
ご心配おかけしました。
ありがとうございます。
ほらね。みんな妙なモノ読んでるでしょ?ま、最近は携帯電話でかなり持つよね。久しぶりのヤツにメールしちゃったりとかしてね。今日、怪しい探検隊のメンバーの一人に会う予定なので、「どんなものを読んだ事があるか?」トークしてきます。
本日、母子ともども退院いたしました。
全ての人に感謝です!
今晩、「怪しい探検隊」に会うとはいいですねぇ。是非、いろんな話しを聞いてきてください。
「旅チャンネル」に入ろうかと、迷っているうちにどんどん時間が経ってしまった。
来月から視聴します。
「ふらいんぐふりーまん、世界を飛ぶ」っていう番組作ってみないか、売り込んでみてよ。
ひとつ、怪鳥お願いします。
しかし一昨日は楽しかったね。携帯や店の張り紙で時間を潰す必要はなかったなあ。時間が足りないくらいだったよ。
という訳で、早速暇な時に書いた、居酒屋「熊猫」の店内の様子をブログにアップしたよ。
あと、世界を飛ぶの企画は多分難しいと思うよ。だって、パラグライダーが飛んでるのを動画にしても、何の緊迫感もスピード感もなくてただ、プカプカしてるだけだからね。
パラで何とか絵になるのは、○HKの○ルクロード撮影でモーター付パラで撮影してたあれくらいかなあ。環境にもそこそこ配慮できて、超低空撮影できるからね。あれは賢いパラの使い方だったなあ。
師は、成田の実家と西葛西と、そして浦安と、熊猫居酒屋を制覇している、貴重な生き証人だな。
そして、次回引っ越したら、是非また居酒屋熊猫に来てくれ!
娘を指名してもいいぞ。おっと、指名となると居酒屋ではなくなるな。クラブ熊猫か?
しかし、指名した場合は、俺が人民解放軍のズボンを履いていたことを娘に言っちゃぁいけないよ。僅か8元の人民解放軍のズボン。結局あれは、ヴェトナムで半ズボンに切り、そして、カンボジアでは「そんなもの履いてたら、ポルポトの残党に狙撃されるゾ」と脅された思い出のズボンだよ。