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「よあけの里」を出て,夜風にあたりながら,市電の駅まで出た.
市電はひっきりなしに往来していて、わたしは水前寺公園まで乗っていこうと思っていたが、散歩するのも悪くないと思って、わたしは歩いてホテルに帰ることにした。
知らない街を歩くのは悪くない。
暑くもなく寒くもない。
そんな夜の見知らぬ街は刺激に富んでいた。
水前寺公園へ向かう大通りは、居酒屋が皆無だった。
「ちょっと飲み足りないかな」
と物思いに耽り、ひたすら歩いた。
30分ほどで、ホテルに着いたものの、もう少し歩いてみようと、その先を行ってみた。
もう、ここがどこなのか、全く分からないまま、しばらく行くと小さな店舗が灯りを点しているのが見えた。
覗いてみると、そこは意外や意外、立ち飲みの店だった。
ただの居酒屋すらなかったのに、まさか立ち飲み屋に出くわすなんて。
まさに立ち飲みの神様はわたしに味方をしたのである。
「国府酒店」。
実に殺風景な店内。
店番はおばちゃんが一人。
大きな保冷機がひとつ。正確には角打ちというべきか。
店に入ってカウンターに立つ。
まずは、冷蔵庫から缶ビールを出して、キャッシュオン。
もちろん、一番絞り。
酒肴は何があるかと尋ねると、冷蔵庫にあるものが全てというご返事。
もはや時刻は21時を過ぎ、肴の品数は風前の灯火。焼き魚と漬物と冷奴しか残っていなかった。
そこで、冷奴をいただくことに。
熊本市内の水は特別だ。
なにしろ、100%天然の地下水を利用しているからだ。その潤沢な地下水で作った豆腐は、さぞかし違うことだろうと想像できるのである。
豆腐好きの熊猫。
これだけでも熊本に来た甲斐があるというものだ。
豆腐の違いを見分ける能力などさらさら持っていないが、人間、気持ちの持ちかたでどういう風にでも感じることができるのは、とても幸せなんだろうと思う。
つまり、おいしいのだ。
ビールをやっつけて、焼酎に切り替えた。
もちろん、「白岳」である。
これをお湯割りで。
そしたら、冷奴と「白岳」がよくあうって。
やっぱり水って重要だよなぁ。
しばらくすると、おじさんが一人で入ってきた。
近所のおじさんで、お店の常連さん。
そのおじさんとは、熊本工業高校の話題で盛り上がる。
「最近はすっかり低迷してしまった」とおじさん。
ちょっとしんみりモード。
22時を過ぎて、店は看板に。
さて、帰りましょうか。
いいお酒、いい酒肴、そしていい話し相手。
素晴らしき酒場の三原則である。
まるで『吉田類の酒場放浪記』のようですね。
いま、たまたま読売新聞の夕刊の「しあわせ小箱」に「熱かん3杯まで」を連載しています。横浜勤務時代に
よく通った酒屋「武蔵屋」ですが、俗に「三杯屋」と呼ばれて親しまれています。
のれんも下がってないのに、常連客でいっぱいです。
このブログを読んで、無性に恋しくなりました。いまは、火・水・金曜しか開いていませんが、また酔らなくては・・・。
良き酒場は人ですね。
類さんも、太田和彦さんも、そうおっしゃっています。
わたしの家は東京新聞ですので、今度図書館にて讀賣夕刊を拝見させていただきます。
「三杯屋」。
姉妹のお店ですね。
2年くらい前でしょうか。
尋ねて行ったら、長期の夏休みをとられており、訪問することはできませんでした。
だいぶ、ご高齢とのことで心配です。
かつて住んだ地のお店を思いだし、郷愁にかられる。とても羨ましく思います。