滅多に来ない町だ。
MダのRDセンターを出て、第一京浜を歩き駅へ向かった。クルマは行き交うが、人通りは少ない。なんだか寂れた漁村の成れの果てのようにも見える。こぢんまりとした京急新子安駅。JRの駅とは比べものにならない駅の規模。でも、そんな小さな駅にも駅そばがあった。
「濱そば」だって。
聞いたことのない屋号だ。京急といえば「あきめんや」と思っていたが、そうではないようだ。「濱そば」、いいネーミングじゃないか。どれ、「かけそば」でもいただいてみるか。
蕎麦の湯切りの手つきが実にいい。チャチャッチャというリズミカルな音が気持ちよく、その手つきにしばし見惚れた。これだけでもう蕎麦がおいしくなりそう。手慣れた手つきで出来上がる「かけそば」を前にして、またもやその美しさに、じっと丼を眺めた。
いい香りだ。ふんわりとした魚出汁。お出汁の色はやや薄く見えるが、こないだいただいた新橋「かのや」の「かけそば」よりはやや濃い。
早速いただくと、その違いが分かる。かえしが違うのだ。この奥行きのある味は、もしや桜木町の「川村屋」に似てないか。
これ、間違いなく横浜の味。こころなしか、濱風のような爽やかさと海の慈愛が香りに混じる。東京の駅蕎麦にはない、濱の風味。
うまいよ。本当にうまい。
ただ一杯の「かけそば」に巡る、土地土地の風味。気のせいだって?いや、その現場で食べているのだから、間違いない。
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