王子の散策を終えて、さて居酒屋へ。
実はこの日、「山田屋」に行こうと思っていた。王子のこの界隈はなかなか来られない。せっかく久しぶりに来たのだから、それに相応しい店に行こうと思っていた。ところが、行ってみると、驚くことに改装の休業中(当時)だった。どういうことか。都内でも珍しい100年酒場。次代に向けた店舗を構えようとしているのか。
とあるウェブ記事によると、「山田屋」の歴史は110年になるという。王子では最も古い酒場だ。製紙工場の門前町として戦前まで、労働者に愛されたことは想像に難くない。
新装したら、また行くとしよう。
さて、どこへ行こうか。
しばらくぶらぶらしていたら、気になる酒場を見つけた。
「宝泉」。
このお店、知らない。外から店内の様子は見えず、入りにくい。看板では一応大衆酒場と謳っている。
意を決して戸を開けたら、目の前は古風なコの字カウンターだった。意外だった。まだ、王子で知らないコの字カウンターの店があったのか。
お店の人と目があったが、「いらっしゃい」はなく、席への誘導もない。こういうのが一番困る。とりあえず、壁際の空いている席についた。
飲み物のラインナップは多いが、さして安さは感じない。瓶ビール大瓶が730円。生ビールは630円。酎ハイは390円でリーズナブル。ただ、おつまみは330円が主体でかなり安価だ。値段は税込だから良心的。
さてさて飲み物。
ホッピーは生ホッピーもある。はじめ、それを知らないで「ホッピー」をオーダーしたら、お店の人が何か聞いてきて、よく聞き取れず、適当に「うん」といったら、「生ホッピー」が出てきた。580円。
通常のボトルホッピーもあるが、それは「瓶ホッピー」と呼ぶらしい。390円。メニュー表を見る限り、これはセットではなさそう。「中」はダブルが500円、シングルは250円とある。ホッピーは指数的に割高だ。
壁にかかった木札のおつまみメニューがいい。ヤマになったら、木札を外すタイプ。木札は黒ずんでおり、時の流れを感じる。330円のおつまみがずらり。その中から「ポテトサラダ」をチョイス。
ポテサラは含水率が高いねっとり系。トマトが添えられているのが嬉しい。
うまし。
メニューを眺めながら、次の展開を考える。揚げ物は「アジフライ」と「ハムフライ」の2種。ともに390円。「ハムフライ」とはハムカツだろうか。揚げ物は時間がかかるだろうから、早い段階で。「ハムフライ」をオーダーした。気になるのが、「カラミモチ」(390円)というメニュー。大根おろしと絡ませた、あのからみ餅だろうか。これが酒のおつまみになるものか、このメニューを酒場で見るのは初めてだ。
お店の雰囲気に溶け込んで、あちこち店内を眺めて驚いた。店内には2つのちゃんの字カウンターが存在した。それぞれ店員さんがいるのだが、厨房はひとつ。どういう棲み分けをしているのだろうか。店員さんにお客さんがついているのか。もう一つのカウンターには女性客が多い。
「生ホッピー」を飲み干し、次の展開へ。戦略的には390円の「酎ハイ」だろうと思い、オーダー。予想通り、焼酎が濃い。さすが労働者の街の酒場。
右隣のお父さんと話しが弾んだ。自営業を営むお父さんは月に数回、このお店を訪れるという。焼酎のボトルを入れているらしい。おつまみが300円台だから、安価に飲めるよと笑う。陽に焼けたナイスガイのおじさんだった。
「ハムフライ」もご機嫌なボリュームだった。揚げたての熱々。抜群にうまいし、「酎ハイ」によくあう。
王子にもまだまだ未訪のいい酒場があった。ボトルを入れてみようかなとも思わせる。是非また来たい。
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