久しぶりに、これぞ路麺という店を見た。チェーン店が跋扈する路麺や駅蕎麦にあって、恐らく大資本の後ろ盾を持たない店が今も脈々と伝統の味を受け継いでいることに感動を覚えた。既に腹は満たされていたが、次にいつ成増に来られるか分からないので、入ってみることにした。
店の名前はてっきり「どん」かと思っていた。店の外観には平仮名で「どん」しか書いてなかっから。けれど、正式な店名は「どん亭」らしい。看板の「亭」の文字がどっかにいっちゃったのかな。古い店だとよくある事。店の外観も結構キテた。末広町の「きぬそば」や今はなき「六文そば」ほどではないが、ビルが古く、そのビルもプレモダンな作りで陳腐化しており、くたびれていた。
「かけそば」。
ほう。
黒いつゆに外殻が入った黒めの蕎麦。さすが成増。思わず、そう叫びたくなる一杯。いや、皮肉を込めた訳ではない。自分好みの蕎麦が来たからだ。その黒いつゆはやや辛め。蕎麦粉の比率は挽きぐるみ気味でやや高いとは思うが、ぶよぶよ。でも、逆にそれがいい。
一言で言えばチープ。けれど、その安っぽさが路麺らしい。近年は生蕎麦の本格派が多い。中学生時代、高校時代に食べた茹で置きの麺の方が路麺らしい。その懐かしい味が「どん亭」にはある。
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