雲の上には宇宙(そら)

 雪国越後にて、30年ぶりに天体写真に再チャレンジ!

こんな空でも写った「創造の柱」(M16イーグル星雲)

2015年06月15日 | 天体写真(星雲・星団)
わが越後はまだ梅雨入りしてないのですが、やっぱり天気がパッとしません。
それでも昨夜はGPV予報で雲の切れ間が出そうということで、
8ケ月ぶりにR200SSに載せ換えて南天の対象が南中するのを待ちました。

新しい鏡筒バンドのガイドシステムでの撮影は初めてなので、まずはバランス調整。

今回カラ振りに終わる可能性大にもかかわらず、設営した理由は後ほど説明します。

結局、はっきりした雲は見えないものの、モヤーッとしたひどい空。
おまけに前半は風が強く、南側電柱に取り付けた「防犯灯隠し竿」があおられてクルリンパッ。
良い時は天の川も肉眼でわかるのですが、写真でも写らないひどい夜でした。 f17mmF2.8 30秒×4枚
「防犯灯隠し竿」は手前側だけをダンボールで覆っているだけなので、道路や隣家は煌々と照らされています。

まともな画像は期待していなかったのですが、当初予定通りエクステンダーを付けて、
へび座のM16イーグル(わし)星雲のクローズアップを撮影。

M16 イーグル( わし )星雲 (へび座)
( 画像クリックで元画像の25%まで拡大 ) ノートリミング
( 上が北の方向 )
撮影DATA: 2015/ 6/ 13am 01:34’~ Vixen R200SS+純正エクステンダー(合成f=1,500mm F7.5) 露出10分×9枚
  ISO 3200 Cooled 60D (気温20~18℃ 冷却 -0.6~-2.0℃)  ガイド鏡GS-60S タカハシEM-200USD PHD2 ステライメージ7
こんな空でもそれなり写るんですから、かなり明るい対称なんですね。
ほぼ同じ機材で昨年も撮っていますが、今回よりずっとましな空でした。⇒ 昨年の記事はこちら

さて、今回カラ振り覚悟で設営した理由なのですが・・
長焦点のVC200Lをポチッて以降、ガイド精度の向上に努めてきました。
その成果としてタワミによる星像の流れはかなり抑制できたのですが、
赤経(東西)方向のブレがそのまま残っていました。
そこで昨年6月の撮影と同じ光学系を使って比較することによって、
以下の2点の検証を試みたかったのです。

検証.1 R200SS鏡筒でもタワミによる流れは抑制されるのか?
検証.2 R200SS鏡筒でもブレは同じように発生しているのか?

以下 検証結果 です。
( 各画像クリックで全体を表示 )

資料1) 10分露光一枚画像(最初の1枚)
(注)撮影画像は下が北になっています
今回の方が星像が肥大化しているのは、モヤと大気のゆらぎが大きかったため。(PHD2グラフで確認済)
共通しているのは左右(東西)方向に星が楕円に伸びていること。

資料2) 90分間での星像の移動 (9枚を比較明合成でそのまま重ね合わせ)
明らかに今回の方が星像の流れが小さい事がわかります。
露光90分間での移動量は
昨年・・・西⇒東(左から右)25.3 画素  北⇒南(下から上) 7.3 画素
今年・・・西⇒東(左から右) 5.5 画素  北⇒南(下から上) 5.5 画素
鏡筒の固定方法の強化などで、タワミによる流れはR200SSでも大巾に低減されています。

資料3) 星像のブレとタワミによる星像の移動(各画像を撮影順に下から20画素づつずらして重ねたもの)
東西(左右)方向はずらしてないので、
今年の方がタワミによる西(左)から東(右)への移動量が少ない事がわかります。
今年の画像は東西方向の移動が少ないにもかかわらず、相変わらず星が楕円になっています。
つまり、R200SSでも東西方向のブレが発生している事になります。

下はもう風が収まった最後の9枚目を撮影中のPHD2のグラフです。
RA(東西方向)のグラフの平均値がDec(南北方向)の3倍も大きく振れているのは、
私の赤道儀(EM-200USD)が旧世代のモーターのため回転ムラがあり、(メーカーHPより)
回転ムラによる進み遅れと、シンチレーション(大気のゆらぎ)とが相殺や合算によって、
大きな振れになっている・・ と、今では考えています。
(Decの振れが小さいのは普段はモータは止まっているため、シンチレーションだけと考えています。)

VC200Lに比べて、鏡筒中央部で支えるR200SSは振動によるブレが少ないのでは・・
と期待していたのですが、残念な検証結果となりました。

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R200SSでの検証データはまだ少ないのですが、
今回の結果分析が正しければ、赤道儀を改造もしくは更改するか、
それとも現行赤道儀の許容範囲内の拡大に留めるか、になります。

今、我が家の花ショウブが順に咲いています。
梅雨入り前で毎日の水やりが大変。

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14 コメント

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大きな悩みですね (いっさ)
2015-06-15 12:06:50
雲上さん、こんにちは
長焦点あきらめるかの瀬戸際ですね!

私は、画像の出来も大切ですがそれ以上に長焦点へのアプローチが快感ではまってしまいました。
話はそれますが投資で一番価値あるものは、「旅行」とお聞きしたことがあります。①計画②現地で③思い出話と3ステップ楽しめるものは他にないと。
「星撮りも3ステップ楽しめれば価値ある投資ですね。」
私の仲間でEM-200で星が丸くならないためEM-400を新品購入しました。いわく、中古価格が落ちないので一時立替をしたとのことです(笑)。
心は大方傾いていると思われますが・・・、最終点検として東から子午線は、「ウエイト側を重く」子午線から西は、「望遠鏡側を重く」と少しバランスを崩すことでRAの負荷を軽減できるとブログで記憶しています。お試しください。
長・短焦点それぞれに良さがありますが旅行の3ステップの価値がご参考になれば幸いです。




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建前意見、本音意見 (さすけ)
2015-06-15 13:35:57
■建前意見
EM-200の新品を購入してどれだけ喜びが増えるのでしょうか。完成精度はむしろ撮影環境に依る方が大きいでしょう。R200SS、VC200Lで撮るものはまだまだあります。今の状態の中でどれだけ良く撮れるかをいろいろやって見てレポートしてくれるのが雲上さんです。
■本音意見
これから天体撮影をやりたい人々に先進技術を雲上さんらしいブログで紹介して欲しいです。そのためには自動導入で作品数をどんどんふやしてさらにステラショットも導入して貴重なご意見をお願いしたいです。いっささんのご意見のように中古で売るようになったとしても価格の下落ほとんどないと思いますよ(^。^)。
あっ、中古がありました。http://urx2.nu/lLk6
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新品ポチるなら慌てることはない? (雲上(くもがみ))
2015-06-15 18:15:08
いっささん こんばんは。
わたしもシンチレーションまでどうこうする気はないのですが、
もしPHDグラフのDecがシンチレーションによるものとすれば、その3倍近くはRaがブレている訳で、
これが最新機種でどの程度改善されるかが一番の関心事です。
EM-400購入は体力的に無理ですが、EM-200Temma2Mなら70歳くらいまでは大丈夫そう。(笑)
バランスを少しくずすというのは、時々意識することがあります。
あれっ、重くするのはモーターに少し負荷がかかる方向じゃなかったでしたっけ?
赤道儀改造なら梅雨の期間にと考えていたのですが、
そちらが無理なようなので、新品をポチるなら慌てることはないですね。
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どちらにしようかな。 (雲上(くもがみ))
2015-06-15 18:32:35
さすけさんの言われる「建前」と「本音」、両方共しっかりと承りました。(笑)
たしかに現在のEM-200USDでもまだまだ改善すべき課題や楽しめる撮影対象はいっぱいあります。
現在の機材でできうる限界を求めるのもアマチュアの本来の姿かと。
そして、現在入手できる最新機種で先端技術の恩恵を受けたいという気持ちも・・
中古出るんですね! オークションでは不安なのですが30万なら買いでしょうね。
中古を売って中古を買うというのもアリですね。
返信する
ガイドのコツ RAバランス見つけました (いっさ)
2015-06-15 20:10:36
こんばんは、雲上さん

星撮りは、器材に熱が入ると若き日の歌「黄色いさくらんぼ」のような微妙な病にとりつかれたような、寝てもさめてもと皆同じですね。しかし、打ち込める趣味があることは宝ですね。

RA負荷の件ですが、拝見したHPは次のとおりです。
http://blogs.yahoo.co.jp/coachs_garage/26026868.html

記事の最後に「ガイドのコツ」として紹介されています。

すでにご承知でしたらお手間をおかけしてしまいますがご参考にしてください。

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Unknown (びっけパパ)
2015-06-15 21:07:02
一歩新赤道儀購入に近づいたようで(笑)
おりおんショットを見ると条件悪かったようですがそれでも写りますね。
今日の関東地方は晴れて暑かったですが星はダメですね。
明日は梅雨空のようです。
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私のとり違いでした。 (雲上(くもがみ))
2015-06-15 23:54:31
いっささん RAの負荷については私のとり違いでやはり回転に少し負荷をかける方法でしたね。(すみませんでした。)
紹介の記事では「Decのバランスは完璧に取る」とありましたが、
Decもバックラッシュを防ぐため、少しバランスをくずした方がいいという人もいますね。

いっささんが言われる通り、新しい器材の購入を考えるときはいつもワクワク感で落ち着かないのですが、
今回はそれが余り出てきません。
なぜなのか考えたのですが、性能は大幅に向上する高額の買い物なのに、
見た目は現行機種とほとんど変わらないからなのかなぁ。(笑)

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今年の夏は・・ (雲上(くもがみ))
2015-06-16 00:09:58
びっけパパさん こんばんは。
こちらはまだ梅雨入りしてないのですが、
晴れてても今回の記事のような冴えない空です。
うかうかしていると、イヤな蚊の季節ですね。
去年の夏は梅雨が明けても、まともに撮れませんでした。
今年はちょっとましだといいのですが・・

赤道儀の更改、どうなるんでしょう?(笑)
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Unknown (南風)
2015-06-16 11:44:59
ご無沙汰していました。
だいたいブレの本質が見えてきたようですね。
バランスを崩す方法はウオームホイルとウオームネジの歯アタリを一定に保ちレスポンスを確保する方法かと思います。シンチレーションで制御が暴れてモーターが追いつかないのでしたら、いっそガイド鏡の焦点距離を短くしてみるのはいかがでしょうか。グラフをみると私のポンコツ品(魚籠の小型)の数倍ぶれがあります。
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制御の暴れではないようです (雲上(くもがみ))
2015-06-16 12:27:27
南風さん こんにちは。
この夜は低空だった事もあり、いつもの倍くらい振れが大きくなっています。
以前はわたしもシンチレーションをトリガに制御が振り回されているのかと思った事もありましたが、
PHD2に変えて制御信号も見えるようになってからどうもそうではないようです。
となると、現在のグラフは角度(″)で表示されているので、
ガイド鏡を短焦点にしても理屈では同じ振れ幅になりそうです。
(以前のバージョンのPHDグラフではガイド用CCDの画素単位で表示だったので、ガイド鏡を短焦点にすれば振れは小さくなります。)
残った秒単位のブレについては、どうもガイド環境(含む設定)をかえるだけでは改善できないようです。
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