雲の上には宇宙(そら)

 雪国越後にて、30年ぶりに天体写真に再チャレンジ!

何時になったら冷却”ON”?(乾囲送兵衛 改Ⅱ 登場)

2014年03月13日 | 機材
私のメインカメラはCooled60D、冷却デジ一眼です。
何度も冷却による結露で不具合が発生しているため、
放射冷却でカメラに霜のおりるような時期は冷却OFFで使っています。
ただ結露によるトラブルは冬だけでなく、湿度の高い時期ならいつでも発生するため、
年中湿度高めの日本海側では油断ができません。

FIL改造カメラに比べて購入価格が倍近かった事を考えると、
いつも安心して冷却ONで使えないか・・。
そこで苦し紛れに考えたのが『乾囲 送兵衛』。
名前のとおりカメラを袋で囲んで、そこに乾燥空気を送り込むというものです。

初代 乾囲 送兵衛と乾燥空気送出部
カメラ全体を袋で覆ったため、冷却ファンの空気が閉じ込められ冷却能力著しくダウンで失敗。
関連記事はこちら
当初は””だったものを途中からこっそり””に変えています。


そこで、冷却ファンの放出口を確保したのが乾囲 送兵衛(改)でした。
これで冷却能力は回復したのですが、今度はせっかく送入した乾燥空気まで排出されて”意味ないじゃん”。
関連記事はこちら

そもそもカメラを覆った袋内を乾燥空気で満たしただけで、
カメラボディ内の湿度まで下げる事ができるのか?確証がありません。
ただカメラ表面がびっしょり濡れるような時にトラブルが発生している事から、
保険代わりにはなるだろうと、しつこく『乾囲 送兵衛(改』に着手。

実は1月末には完成していたのですが、検証が先送りになっていました。
乾囲 送兵衛(改』 登場
(改)では、ファンの台座部分にある空気取り入れ口から乾燥空気が吸い出されてしまいました。
そこで(改では、空気取り入れ口も隔離できる一回り大きい枠にしました。

内側の枠は不要となったので撮影時には取り外します。

梱包用のプチッ袋を取り付けて出来上がりです。(カメラ側から見ています。)
( マジックテープで取り付けてある湿度計は取り外すことができます。 )

これで除湿効果が維持されるのか、検証を行いました。
検証中のショットです。
( 選択バサミも重要な役割をになっています。)

検証方法は次の通り
Step 冷却OFFのまま除湿開始(ON)
(ポイント) 順調に袋内の湿度が低下するか。

Step 湿度が下がったら冷却開始(ON)
(ポイント) 乾燥空気が排出されて湿度上昇にならないか。

Step 湿度の上昇が落ち着いたら除湿停止(OFF)
(ポイント) 乾燥空気の停止による湿度上昇の度合は

検証結果のグラフです。

検証結果について
Step1・・・冷却ファンが止まっているので、湿度は30分で54%から25%と順調に低下しました。

Step2・・・冷却ONによりCMOS温度は20度ほど急激に低下しています。
冷却ON時に湿度が上昇しますが、5%ほど上昇して安定しました。

Step3・・・乾燥空気を止めた事により湿度は40分で更に8%ほど上昇しますが、
予想したよりゆるやかな変化でした。(乾燥空気があまり排出されていない)

以上から冷却・除湿とも、ほぼ満足できる結果が得られました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

おまけの検証 連続撮影におけるCMOS温度の上昇について
naoponさんのブログ記事
kissX5でBackyard EOSを使って調査したところ、
ダークの連続撮影で急激な温度上昇があった事が報告されていました。
わたしも冷却オフ時のダークライブラリーも使っているので、
気になってついでに検証してみました。
Cooled60Dの冷却をオフにして常温になってから、10分露光6枚連続撮影での
CMOS温度の変化です。(ISO1600 インターバル15sec)
連続6枚終了時でも2度ほど上昇しているだけで、ダークに使っても許容範囲でしょう。
naoponさんの場合は冷蔵庫内で常温以下に冷やしている事や、
Backyard EOSの温度を測っている場所や測り方が影響しているのかも?

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今回の検証結果をもって、湿度90%を越える屋外で本番でいいのでしょうか?
これまで5,6回カメラがダウンしている事を考えるとビビッてしまいます。

雲上くもがみ
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鏡筒”たが締め”の効果はアリやナシや?

2014年03月11日 | それでも星は流れる
30年ぶりに天体写真を再開してから早や7年目に入ります。
古い機材でのノータッチガイドから始めて、デジタル一眼の能力に助けられながらも、
常に目の前に立ちはだかる課題は、星の流れが止まらない事。
( 特に焦点距離が長めで大きな反射鏡筒R200SSでの撮影で )
その後、中古赤道儀の購入によるオートガイドの導入。
それでも流れるので、鏡筒支持部が弱くてもガイド鏡も乗っけてしまえばと、
昨年7月からは「親亀子亀方式」に。
マルチプレート(ガイド鏡並列同架)から親亀子亀方式に

これで問題解決かと思われたのですが、改善はされているもののまだ同じ傾向の流れが残りました。
*流れの傾向・・設置場所の条件で南中過ぎの対象を撮影しているが、鏡筒が西におじぎをするかのように流れる。
そこでブログ記事 を掲載したところ。
カメラを取り付けている『接眼部のたわみ』では、というアドバイスをいただきました。

そこで今は使わなくなった鏡筒回転用バンドで接眼部付近を締め付けて見る事にしました。
(本来は入手可能な補強用裏打ちプレートを購入すればいいのですが、高かったので・・)
ファインダーの付け外し時にじゃまになるのですが・・。
( 撮影時にはバランスくずれを避けるためファインダーを外しています。)
今年に入ってからずっと取り付けて撮影しているのですが、
下のグラフはひな祭りの夜に撮ったもっとも新しい追尾結果です。
やはり星が西から東に流れるという傾向は変わりませんが、
これまで流れが大きかったRa(赤経)方向でも、1時間でわずか5ピクセルに納まっています。
位置合わせ無しで10分露光6枚を比較明合成したもの(等倍画像)
1時間露光相当ですが、ノータッチガイドの頃の2分露光より少ない星像の流れです。
10分露光の1枚だけの画像です。(等倍画像)

画像1枚あたりの流れは1ピクセル以下となっています。(オートガイドの振動によるものは除いて)
以前に、星像自体が大きさを持っていることから
R200SS(f= 800mm)の許容追尾誤差は1枚あたり3ピクセルまでとしました。
それを十分クリアした追尾精度です。

果たして、これが鏡筒の”たが締め”による成果なのでしょうか?
撮影には絶望的な天気が続いていたので、遡って調べてみた結果です。
*「ガイド鏡並列」のサンプルは、鏡筒支持部の改善を行った比較的後期のものです。

グラフからわかる事は
①.鏡筒”たが締め”の追尾精度は安定して高い。
②.”親亀子亀”だけの追尾精度はバラツキが大きい。
③.支持部を改善した”ガイド鏡並列”の追尾精度は意外に健闘。
④.緯度(Dec)の違いによる追尾精度の差ははっきり見られない。

緯度による差が見られないという結果は意外でした。
見かけの日周運動の大きさから、天の赤道付近が一番流れていると思ったのですが・・
このことからも追尾モータやガイディングソフトの問題ではなく、
機材のたわみが原因といえるのかも知れません。
それと”親亀子亀”での追尾結果のバラツキですが、思い当たるふしが・・。
今回の追尾誤差の数値は赤経(Ra)と赤緯(Dec)の合成値なのですが、
赤道儀のコネクタルーズが発生している可能性があります。
( 赤緯のルーズの発生頻度が高かった )
ルーズの原因がわかり改善されたのが今年1月下旬。
その詳細は  を参照

その恩恵を受けたのは鏡筒の”たが締め”を開始してから。
つまり鏡筒”たが締め”の追尾が安定しているのは、ルーズ解消が大きいかも知れません。

いずれにしろ、鏡筒補強が悪いわけが無く、今後も継続します。
この追尾精度が安定して得られるなら、純正エクステンダー(f= 1,500mm)で、
この春は系外銀河を思い切りアップで撮影したいと考えています。
純正エクステンダーの許容誤差は5ピクセル
グラフの”たが締め”の平均は約8.7ピクセル/H。
f=1500mm換算で約16ピクセル/Hならば、15分露光で4ピクセルで許容範囲。

これまでの追尾をめぐる取組み・経過については
カテゴリー それでも星は流れる でご覧ください。


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屈折鏡筒で撮影されている方には、
それほど深刻な問題ではないかも知れませんが・・

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冬の名残のオリオン再処理2枚

2014年03月10日 | 天体写真(星雲・星団)
新フラット処理が小気味いいほど決まっています。
晴れがほとんどないので、前に撮った画像の再処理を行っているのですが、
かげりやゴミの影が消えただけでなく、背景が平坦になる事により
強い画像処理に耐えるようになりました。
わたしは画像処理の最期にcanonDPPで、ホワイトバランス、彩度調整などを行っています。
たとえばこんな具合。
これまでは彩度を上げると背景が変に色づいたりしたのですが、それが無くなりました。
今回はオリオン大星雲を、わたしのお気に入りの写真集『FAR OUT』の色合いに近づけてみました。
以前の画像と撮影DATAは を参照ねがいます。

おまけで、昨年11月に撮った「燃える木と馬頭星雲」の再処理画像です。
総露光時間1時間ならこんなもんでしょう。
以前の画像と撮影DATAは を参照。

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最近オートガイドの歩留りが向上しています。
鏡筒”たが締め”による補強の効果があったのか、検証中です。
(次回の記事で検証結果を報告予定です。)

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M63 ひまわり銀河(雛祭りの夜に その3)

2014年03月08日 | 天体写真(系外銀河)
ひな祭りの夜、最後に撮った2,000万光年以上かなたにある銀河です。

見かけが小さい対象なので、エクステンダー無しで撮るかどうか迷ったのですが。
M63 ひまわり銀河 (りょうけん座)
撮影DATA: 2014/ 3/ 4am 03:36’~ VixenR200SS(f=800mm F4) バーダーMPCC MarkⅢ
露出 10分×9枚 コンポジット Cooled 60D (最低気温-3.9℃ 冷却オフ) ISO 1600 LPS-P2FIL
EM-200USD赤道儀 OrionSSAG ガイドスコープGS-60S PHD Guiding ステライメージ7 CanonDPP
銀河付近の拡大(等倍)画像です。

もう少し枚数多く撮れれば、背景のザラザラ感が改善できたのですが・・
連続撮影中に薄明が始まってしまいました。

ふたたび北斗七星付近に望遠鏡を向けて撮影しています。

M63 ひまわり銀河 のガイド星図22時です。
( 画像クリックで拡大したものを保存して、A4×2枚印刷 )

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以前に撮った画像と比べると、かなり進歩したみたいです。
機材は変わっていないのですが、ガイド精度の向上と
新フラット処理のおかげでしょうか。
3月の雪はたかが知れてますが、
そうこうしているうちに月が太くなっていきます。

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しし座の銀河トリオ(雛祭りの夜に その2)

2014年03月06日 | 天体写真(系外銀河)
貴重な新月期の晴れ間、ひな祭りの夜に撮った二つ目のタイトルです。

しし座の銀河トリオ
*画像上端ちかくの短いかすかな光跡は左下から右上に移動していました。小惑星でしょうか?
撮影DATA: 2014/ 3/ 4am 01:10’~ VixenR200SS(f=800mm F4) バーダーMPCC MarkⅢ
露出 10分×9枚 コンポジット Cooled 60D (最低気温-4.0℃ 冷却オフ) ISO 1600 LPS-P2FIL
EM-200USD赤道儀 OrionSSAG ガイドスコープGS-60S PHD Guiding ステライメージ7 CanonDPP
撮り置きのフラット画像で、周辺減光処理もFlatAideも出番なしで済みました。
上の銀河がNGC3628。下 左がM66、右がM65です。
天体導入のため作成した 『ガイド星図22時』 より
ガイドの流れは少ないはずですが、Ra方向がやけに振動して星が楕円になりました。

恒例のおりおんショットです。
時々はわたしも登場。(オオカミ男みたい)
2枚とも TAMRON Zoomf17-50mmF2.8(f=17mm F4) 30sec ISO1600 KissDX(SEO-SP2) LPS-P2FIL

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ブログ記事の事を考えると、できるだけ多くのタイトルを撮りたいのですが、
今回の銀河でも露光90分では不足でした。
結局、この夜は3タイトルしか撮れませんでした。

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