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雲の上には宇宙(そら)
雪国越後にて、30年ぶりに天体写真に再チャレンジ!
ディザリングって 本当に必要?(NGC2903 再撮影で検証)
2021年03月10日
|
画像処理のはなし
再び積もった雪を掘って設営した先月2夜目の19日の夜。
明るい上弦の月の撮影は20時過ぎには終わり
月の高度が20度を切った23時前から春の系外銀河の撮影を開始しました。
問題は まだこの時間帯に撮れる春の系外銀河はほとんど無く、
結局 前回13日に撮ったしし座の
NGC2903
を再び撮る事に。
実は13日の撮影は効率化を図るため、
ディザリング
を省いていました。
そこで今回はディザリングをかけて撮影してみて
その効果があるのか比較検証することにしました。
(注)
ディザリング
とは
デジカメの個々の受光素子の感度のバラツキなどにより発生する背景ムラ(ノイズ)を
一枚撮るごとに わざと数ピクセルだけずらして撮影して、
後で写った星の位置を基準に画像を重ね合わせる事でムラを拡散させ、
なめらかな背景を得る手法
*検証結果については編集後記の後に記載しましたので
興味のある方はご覧ください。
ディザリングを行って撮ったNGC2903の処理画像です。
NGC 2903 付近
(しし座)
( 画像クリックで 元画像の25%サイズで表示します )
( ほぼノートリミング 上方向が 北 になります )
撮影DATA
: 2021/ 2/ 19 22:42’~ Vixen VC200L+レデューサーHD(合成f=1,386mm)
露出
10
分 ×
14
枚 +
2
分 ×
8
枚 ISO
6400
LPS-D1
EOS 6D
(HKIR改造)
タカハシ EM-200 Temma2M マイクロガイドスコープ 60 ToupCam
ステラショット2
(導入・ガイド・
ディザリング撮影
)
ステライメージ9
(画像処理)
13日夜の画像と比べて露光時間まで全く同じで、その上 ディザリングまでしたのに
前回画像には及びませんでした。
その理由は今回は月明かりがあったことと、シィーング不良が原因と思われます。
それでもせっかくの再撮影ですので2夜分露光計5時間余りを重ねて処理してみました。
( 銀河部分だけを等倍で切り出し )
左端やや下に写っている小さな銀河は PGC27115 ( 高度16.8等級 見かけの大きさ0.8分角 )
撮影時の空の状態を記録する意味で『ただいま撮影中』ショット 今回も撮っています。
( 画像クリックで元画像の30%サイズで表示します )
0時20分ごろ、まだ月が沈んでいないせいかスッキリしない空です
この時間になると冬の星座オリオンも沈みかけています
次回はこのあと朝まで撮った かみのけ座の
M100銀河付近
の予定です。
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昨日「星のふるさと館」スタッフのAKIYAMAさんから
3月9日にふるさと館に上った時の写真がメールで届きました。
記録的な降雪となった1月に上った時と積雪は同じくらいで
20日過ぎに業者さんによる排雪作業を行ってから
プラネタリウム、望遠鏡の点検 を行う予定だそうです。(4月開館)
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ここから先は
ディザリングの効果についての検証結果
です
( 興味のある方だけご覧ください )
ディザリング
による撮影は
ステラショット1.5
を購入した3年前から行っているのですが、
より枚数を撮るようになるとディザリングによるガイド安定時間が気になってきました。
オートガイド
も
ステラショット
を使っているのですが、
ディザリング
を行うと急にガイド星がズレるため
オートガイドが働いて赤道儀の向きを急いで元に戻そうとします。
この際に赤道儀の歯車の遊びで発生する
バックラッシュ
などから補正が完了するまで時間がかります。
(上のグラフでは星のズレが許容範囲まで戻るのに2分近くかかっています)
また時にはディザリングのせいでガイドが暴れだし、オートガイドをやり直すことも。
撮影できる夜の少ない新潟では、1枚撮るごとに1,2分余計にかかるので
ディザリングはできればやりたくない!
そこで 昨年末から背景レベルの低い短時間露光についてはディザリングを止めました。
さらに今回はメインの長時間露光について検証してみようと思ったわけです。
先月13日と19日、同じ撮影鏡筒・露光時間でディザリングの有無を比較してみました。↓
( 露光時間は10分×14枚 )
(注)
ステライメージ
のレベル調整、マルチバンドシャープで 背景のノイズを目立たせています
単純にみれば
ディザリング あり
の画像の方がコンポジット後の背景がなめらかなのは明らかですが・・
ディザリング なし
の撮影画像はガイドエラーで星像が少し移動しています。
これを星の位置でコンポジットすると、背景に刷毛ではいたようなノイズが発生します。
これに対して
ディザリング あり
の撮影画像はガイドエラーは小さく、ディザリングによる移動のみでした。
元画像のガイドエラーに差があったのですが、これまでの経験から、
直線的な
ガイドエラーが大きいほどディザリングの効果が期待できます
。
先月13日に撮った中でガイドエラーが一番目立ったプレアデス星団(露光時間 10分×8枚)
↓
星の位置に合わせてコンポジットすると、斜め方向に刷毛ではいたようなノイズが目立ちます
今回残念な事に、ガイドエラーが小さい場合のディザリングの有無の比較ができませんでしたが、
このブログ記事を書いている途中で気が付きました。
ディザリングは星像に合わせてコンポジットする事によって効果が表れるので、
今回
ディザリングあり
で撮った画像の位置合わせ前後のコンポジット画像を比較する事で代用できるのでは・・
ガイドエラーは小さいようですが、 位置合わせなしではディザリングにより星が肥大しています (露光時間10分×14枚コンポジット)
ガイドエラーが小さくても、ディザリングの効果は明らかです。
そして更に気が付きました。
だったら、わざわざ同じものを撮って比較しなくても、
これまでに撮ったディザリングした画像だけで検証できたのでは・・
( ここまでつきあってくださいまして ありがとうございました )
コメント
今年3度目の雪堀りで がっかりな上弦の月(先月)
2021年03月05日
|
天体写真(月・惑星・彗星)
先月2月は ほぼ新月だった13日に徹夜で撮影ができたのですが、
19日夜も一晩中晴れる予報だったので、機材設置場所の裏口付近の雪堀を再び行いました。
記録的な降雪のあと雪はずいぶん減っていたのですが、その後また降ったので一汗かきました。
(今回は「灯火遮蔽パネル」を雪に直接ぶっさしました)
雪国の冬に晴れてくれるのはありがたかったのですが、
あいにくの明るい上弦の月が日が替わるまで沈んでくれません。
そこで月が低くなったら春の系外銀河を撮る事にして機材の設営をしました。
系外銀河の撮影の際に防犯灯に「防犯灯隠し箱」を被せるため、電柱までカンジキで踏み固めておきました。
今年の初撮りとなった1月20日の夜も上弦の月が出ていたのですが、
なぜか大気のゆらぎが少なくて予想外の月の静止画像を撮る事ができました。
そのときの画像は
→
こちら
今回も時間つぶしもかねて上弦の月の撮影を試みたのですが・・
月のライブビュー画像はピント位置がつかめないほど揺らいでいたので
x2倍エクステンダーをあきらめて、x1.4倍エクステンダーで撮影。(やっぱりね)
それでも全体が入らなかったため、北部・南部に分けてモザイク撮影を行いました。
月齢 7.5
上弦8時間前
( 画像クリック箇所に応じて、北部・南部 に分けて拡大表示できます )
( 見た目と同じく 上が北になっています )
撮影DATA
: 2021/ 2/ 19 19:50’~20:01 Vixen
VC200L
+
canonEF1.4x
(合成f=2,520㎜)
露出 1/40秒 × (北部32枚・南部29枚)2モザイク ISO 400 EOS kissX2 タカハシ EM-200 Temma2M
ステライメージ9
(ベイヤー・RGB変換)
ステラショット2
(導入・撮影)
AviStack
(コンポジット処理)
Registax6
(ウェーブレット処理)
画像クリックで拡大表示と書きましたが、元画像の50%縮小になります
参考に1月の撮影画像と比較してみました
良好な1枚画像の比較
2月の画像は部分的に大きくボケた画像が多く、1月の画像はほぼ同じような安定した均一画像でした
コンポジット(重ね合わせ)後の画像比較
2月は32枚コンポジットで平均化でボケてしまいました、1月は24枚コンポジット画像で平均化してもボケは少なめ
ウェーブレット処理(RegiSTax 6)後の画像比較
今回の画像でもウェーブレット処理の効果は明らかですが、1月撮影の方が顕著に効果が出ています
(注)1月の撮影画像の方が拡大率が大きいので、描画画素数を揃えるため70%縮小して比較しています
この後、月が沈むまで待てなくて23時前に春の系外銀河の撮影開始しました。
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家の周りの雪が消えてきたので昨日は折れた庭木の片づけを。
燃えるゴミに出すため束ねたら7束にもなりました。
我が家の裏で一番に春を告げてくれる梅の木も・・
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めったに星の見えない雪国で、30年ぶりに天体写真に挑戦しています。
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