裁量労働制は、就労時間を労働者の裁量にゆだねる制度であり、会社が具体的な業務遂行の手段・方法や時間配分等を指示しないものとされるが、裁量労働制を適用している従業員(デザイナーやコピーライターや企画・立案・調査等の業務に従事する者)に「休日出勤」を命じることはできるのだろうか。
これに関しては「できない」と考える経営者も多い。しかし、法律上は、労働契約(労働協約や適法に制定された就業規則を含む)に根拠規定があれば、裁量労働制適用者に対しても休日出勤を命じることは可能なのだ。もちろん、その分の休日勤務手当は支払わなければならないが。
では、「休日出勤」ではなく「休日の振替え(出勤日と休日とを入れ替える)」はできるのか。それが可能であるなら、休日勤務手当を支払わなくて良い分、コストが抑えられるので、会社としてはこちらで対応したいところだろう。
これも、理論上は可能ではある。
が、実務面から見ると、良策とは言いがたい。
と言うのも、そもそも休日に出勤してもらいたかったのは、例えば「顧客対応のため」とか、「臨時会議開催のため」とか、何かしら理由があったはずだ。であるなら、その顧客対応や臨時会議の時間に合わせて在社していてもらいたいところ、裁量労働制においては、休日を振り替えたとしても、何時に出社して何時に退社するのかは本人の裁量次第であるので、休日を振り替えた意味が無くなってしまう虞があるのだ。
この点、一般の(裁量労働制を適用していない)従業員と同じように扱えるわけではない。
つまり、休日出勤は、裁量労働制の対象としている業務にはなじまないものと理解しておくべきだ。
そういう意味で、「休日出勤は命じられない」と思っている経営者の直観は、実は鋭いと言えるのかも知れない。
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