樹の精霊

2007年01月25日 | my favorite things
            


 我が家の庭に3メートルほどになる、銀木犀の樹があった。
オレンジ色の花を咲かせる金木犀とは違って、薄いクリーム色の花はそれほどの強い芳香はしない。
けれど、淡く甘やかな香りを、その季節になるとほんのり漂わせてくれていた。

しかし、去年の秋にとうとう枯れてしまったのだ。
何故枯れたのかは分からないけれど、あれよあれよと言う間に木肌にキノコが生え、葉が散りだすと枝先は触れただけで折れてしまった。

いつも暮れにみえる植木屋さんに撤去していただこうと思ったけれど、根っこの方はまだ生きているようにも見えた。
可哀想なので、夫が枯れた枝を落としたら、丸坊主で思っていたより何だか格好が悪い。
そこで考えたのが、みっともない切り口にヴィオラの鉢を置いて、100円ショップで買った木製の小鳥を並べた。
先日それができあがった。
このできばえ、結構気に入っている。
樹のリサイクルというところ。

大した樹ではないけれど、何だか樹木には生命が宿っている気がして、わたしはむやみに切れないのだ。
わたしの祖父がまだ50代の頃に、熱海に隠居所を建てたという。
目の前は海だけれど、木々のせいで眺望が悪かったらしい。
地元の人が御神木だからと、切る事を反対している樹を切ったら、それからすぐ亡くなってしまったという話。
樹の精霊の仕業?
この話を、母がよく話してくれた。
そんな記憶がわたしの中にあるのだろうか。


コメント
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