2日前に
島根に住む96歳の伯母(実父の姉)と電話で話したばかりだが、
昨夕は、
もうひとりの96歳の伯母(実父の義姉)から電話がかかってきた。
以前このblogにも書いたが、
この2人は昔から仲が悪い。
必ず互いの悪口を私に愚痴るが、
それはそれで“長生きの秘訣”になっているようなので、
悪口を言う元気がある事に私は安心している。
ただ、昨夕の伯母の電話では
以前より弱気になっているのが気になった。
「私は、この家に嫁いで76年なんよ。
でもねぇ、長男は九州に家も墓も買ったって言うし、こっちには帰らんって言うんよ」
長男は広島にある国大を出ていて伯父夫婦の自慢の息子だった。
メガネをかけていて、優しそうな顔をしている…私より9つ年上の秀才だ。
もう何十年も会っていない。
今は九州の有名企業を定年退職して悠々自適で暮らしているらしい。
彼の悪口にならないよう慎重に言葉を選ぶ。
「そう、おばちゃんは76年も…」
と、ワザとピントのズレた返事をするが、
それを遮るように伯母は続ける…
「76年、いろいろあったよ。この家を守らにゃならんからね…」
と苦労話のアレコレを話し、
ため息をつきながら、
「はぁ…、このままじゃ、この家がなくなる」
と嘆いた。
「でも、次男のコーちゃんがいるでしょう?」
と努めて明るい声で励ますと、
「あの子は、こんな広い家は要らん、と言うんよ」
と…想定内の答えが返ってきた。
「広いもんねぇ。そういえば昔、高校の数学の先生も間借りしていたものね!」
従兄弟たちが、親の建てた家に住むことを拒否したことに納得しながらも、
話をはぐらかす。
そうだった…。
昔、私の苦手だった数学担当の若い男性教師が、
あの家の二階に間借りしていたんだった。
それ以外にも、歴史だったか化学の先生だったか、
私の通っていた高校まで、歩いて5分くらいの場所にあることから、
若い教師が2人くらい間借りしていたように記憶している。
「部屋数ってどのくらいあるの?」
と訊くと、
「寝られる部屋だけで十何部屋もあるんよ」
と伯母は答えた。
伯父が定年後に増築したと聞いていたが、
私が知っている頃でも母屋だけで、
10部屋くらいあったのに、
その後に、裏の離れを改築して、また部屋数を増やしたらしい…。
伯父は何を思って部屋を増やしたのか…。
「家を売って施設に入ろうかとも思ったけれど、部屋が多すぎて売れん」
と伯母がボヤく…。
確かに、部屋数が多い分、壁の仕切りが多くて使い勝手は良くない。
裏庭もあったはずだが、住宅街の中の家なので、狭くて駐車場を増やすこともできない。
最後に伯母は、
「誰かこの家を継いでくれないと、◯◯家が絶える、ユミちゃん、帰ってきたら顔を見せてねぇ」
と言って電話を切った。
どうしたらいいのか…
もし、私がUターンするとしたらあの家をどうするか。
何ができるかを考えてみる。
たまに、ネットで郷里の「空き家バンク」を見るが、
田舎では家が余っている。
その上、
高齢者の多い街中でも、最近は近くにスーパーがなくて、買い物も不便だと言う。
仕方なく伯母は週に一度、隣町まで次男の車で買い物に行くのだと言っていた。
空港に近い場所は発展しているが、
昔からあるこの地域は廃れていくばかりなのだと言う…
校区で高校と中学があって、静かな良い所だと思うが、
グループホームにするには、段差が多いし
設備投資に費用がかかり過ぎる。
なにか良い方法はないかなぁ…。
(~_~;)
画像は、
数年前に亡くなった叔父の記憶の中の家の中庭。