「市子」、本当の川辺市子を誰も知らない！

おすすめ度　☆☆☆★

過酷な境遇に翻弄されて生きてきた市子を杉咲花が好演。主演女優賞に輝く。

戸籍がなく、日々の生活に困窮し、難病の妹の世話をして、母の再婚相手に性的虐待を受けた市子。再婚相手と妹を殺し、行方をくらました市子。北に殺人の手助けをさせた市子。梢とケーキを食べ、キキと夢を追いかけた市子。長谷川との生活を大切に続けてきた市子。関わった人たちを通じて語られる彼女の人生。人が誰かを語る時、本人が話すよりも不思議に説得力がある。

川辺市子は3年間一緒に暮らしてきた恋人・長谷川義則からプロポーズを受けるが、その翌日にこつ然と姿を消してしまう。途方に暮れる長谷川の前に、市子を捜しているという刑事・後藤が現れ、彼女について信じがたい話を告げる。市子の行方を追う長谷川は、昔の友人や幼なじみ、高校時代の同級生など彼女と関わりのあった人々から話を聞くうちに、かつて市子が違う名前を名乗っていたことを知る。やがて長谷川は部屋の中で1枚の写真を発見し、その裏に書かれていた住所を訪れるが……。