今日はフランス料理教室へ行ってきました

今回は年に数回行われるフランス地方料理の回で、ロレーヌ地方のお料理を教えていただきます

ウェルカムドリンク
を頂きながら、まず1時間ほどロレーヌ地方についての講義
をお伺いして、知識を深めてからお料理の説明に入ります
ロレーヌ地方はヴォージュ山脈
を挟んでアルザス地方と隣り合ったドイツ国境に近い地域で、ドイツの影響も多く受けている地域です。
かつてロレーヌ公国を治めていたスタニスラス・レクチンスキー公が美術をこよなく愛したため、当時首都であったナンシーという街ではロココ美術が花開き、アールヌーヴォーの発祥地となりました。街中の至る所にエミール・ガレの作品があったりと、見どころの多い街だそうです
また、この地方には高級クリスタルで有名なバカラもあります

ロレーヌ地方ということで、今日はアールヌーヴォーをとりいれたテーブルコーディネートになっています。グラスはガレのアネモネの絵が描かれたペリエ・ジュエのもの
講義の後は早速お料理にとりかかります。

まずは煮込む時間が必要なメインから。今日のメインは「Potee Lorraine」。ポテとはポトフのようなお料理のことだそうです。

豚肩ロースはブロック
のまま、お湯に粗塩と砂糖を溶かして冷ました塩水に一晩漬け込んで塩豚にしておきます。こうすることでとても柔らかく仕上がるとか。

大きめに切り分けた塩豚はフライパンで焼き色をつけ、一晩水に浸けたインゲン豆・人参
・玉ねぎ・クローブ・ブーケガルニと共に鍋に入れ、水をひたひたに入れて沸騰させ、弱火で30分ほど煮込みます。
このときクローブは玉ねぎに刺しておくと、出来上がった時に間違えて食べてしまうことがないので安心です。かなり香りの強いスパイスですので…
お肉は塩豚だけでなくブロックベーコンやそセージを入れても合うそうで、ソーセージはそのままで良いのですが、ベーコンはやはり表面に焼き色をつけてから煮込むのが良いそうです

大きめに切ったキャベツとカブを入れてさらに20分ほど煮込み、最後にさやいんげんを入れて15分ほど煮て、胡椒をふれば完成です
塩味は塩豚から十分出ていますので、盛り付けてからお好みで粗塩をかけるくらいが良いそうです。盛り付け時にはディジョン・マスタードも忘れずに

続いて前菜を作ります。1品目は「Quiche Lorraine」。生地はパート・ブリゼになります。
ボウルに薄力粉と冷蔵庫から出したばかりの冷たいバターを入れて’、カードでバターを刻みながら混ぜ、バターが小豆大になったら手のひらを擦り合わせてさらに細かくします。
これを手早くしなければいけないので、フードプロセッサーにかけてしまうのが一番効率が良いそう
中央にくぼみを作って卵黄と水を流し入れ、なるべくこねないように生地をまとめてラップで包み、冷蔵庫で一晩寝かせます。

打ち粉をした台に生地を出して綿棒で型よりひと回り大きく伸ばしたら、型に敷いてフォークでピケし、余分な生地を落として、もう一度冷蔵庫で30分ほど休ませます。
パート・ブリゼは縮みやすい生地なので、よく休ませることで焼き縮みを最小限に抑えるのだとか
タルトストーンを乗せたら180度のオーブンで15分空焼きして、重石を外してさらに5分、卵液を塗って3分焼きます。

日本でキッシュ・ロレーヌというとベーコンや玉ねぎやほうれん草など色々な具材が入っていますが、本来はベーコンとグリュイエルチーズのみのシンプルな具材が伝統的な作り方。
焼きあがったパート・ブリゼに角切りのベーコンと角切りのグリュイエルチーズを並べ、卵・生クリーム・牛乳・塩胡椒・ナツメグを合わせたアパレイユを注ぎ入れたら、180度のオーブンで20分焼けば完成です
グリュイエルチーズが手に入らなければコンテやチェダーで代用してもOKです
アパレイユはフランスでは牛乳を入れず生クリームのみで濃厚に仕上げるのが一般的だそう。

前菜2品目は「Salade de pissenlits aux lardons frits」。ロレーヌでは春先にタンポポの葉が野菜としてたくさん出回るそうで、タンポポの葉とベビーリーフを合わせて白ワインビネガー・オリーブオイル・塩胡椒で和えたサラダに、カリカリに焼いたベーコンを乗せました
今日はキッシュロレーヌの付け合わせとして一緒に盛り付けます。

最後にデザートの「Baba au rhum」を作ります。ババとは日本でもよく食べられるサバランの原型になったもの。ロレーヌ公国を治めたスタニスラス・レクチンスキー公はお菓子好きでも有名で、彼がクグロフにラム酒入りのシロップをかけて食べたのが始まりだとか
卵黄と卵白をそれぞれボウルに分け、卵白を砂糖を加えてメレンゲにします。卵黄にも砂糖を加えて白っぽくなるまで混ぜ合わせたら、溶かしバターと温めた牛乳を加えて混ぜ、薄力粉とベーキングパウダーを振るって加えよく混ぜます。
メレンゲの1/3を加えたら良く混ぜて、そのままメレンゲのボウルに移してさっくり混ぜ合わせます。

バターを塗って小麦粉を振った型に生地を流し入れ、180度のオーブンで20分ほど焼いたら、鍋に砂糖と水を入れて沸かし火を止めてからラム酒を入れて作ったシロップをたっぷりと塗ります。
粗熱が取れたら生クリームやフルーツ
で飾り付ければ完成です


白や淡い色合いがベースの爽やかなテーブルコーディネートに、お料理が乗って華やかになりました

アミューズはロレーヌ特産品盛り合わせで、ジェロメチーズとヴォージュ産のモミの木のハチミツ
ジェロメチーズは日本ではあまり聞き慣れませんが、アルザスのマンステールチーズと同じもので、呼び方が違うだけだそう。
モミの木のハチミツはとても個性的なハチミツですが、とても美味しかったです

前菜はキッシュ・ロレーヌ、タンポポの葉とベーコンのサラダの盛り合わせ。キッシュ・ロレーヌはシンプルな材料なのにとても美味しく、タンポポの葉はまるでチコリのような苦味があって春らしいお料理でした

メインはロレーヌ風ポテ。お肉がほろほろと崩れるほどとっても柔らかくて、一晩塩水に浸けただけでこんなにも違うのかと驚きました。煮込んでもしっとりしていて本当に美味しかったです

デザート
はラム酒風味のババ。サバランは苦手なのですが、今日のババはラム酒を控えめにしているのでとても食べやすく、私好みのお味でした

食後の紅茶
は「マドレーヌの思い出」というフランス紅茶専門店のENCHANーTHEのものをご用意下さっていました
マドレーヌも実はロレーヌ地方発祥で、スタニスラス・レクチンスキー公のメイドが作ったものが始まりと言われています。そのメイドの名前がマドレーヌだったとか。
今日もとても美味しいお料理を頂きながらフランスの楽しいお話をお伺いして、素敵なひとときを過ごすことができました