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グリーンスパンの予告のケリはまだついていない

2007-04-30 13:30:34 | 金融全般
アメリカの住宅ローンのサブプライム問題に関して、2月末にグリーンスパンが言った、「問題は決して小さくない」との認識に対しては、現在は楽観論が支配しているようですが、この問題のケリはまだついておりません。

筆者が長年購読しているメルマガの最新号から数字を貰いますが、アメリカの住宅問題の真相は以下のような構図となっております。

A.アメリカの家計の負債総額:1500兆円(うち住宅ローンは1000兆円)
B.個人住宅の時価総額:2400兆円(一戸平均2500万円)
      ↓ B-A
    900兆円の余裕に見える

しかし、実際は日本でも同じですが、半分程度の人は住宅ローンも含めてわずかな借金しかないと考えられます。そうすると、Bは残りの半分(約5000万世帯)の借金と考えられますので、1200兆円に落ちます。→C

そうなると実情としては、C(1200兆円)-A(1500兆円)=マイナス300兆円となります。いずれにしても、約5000万世帯の世帯には資産がありません。

そこでサブプライムローンですが、これは最初の2-3年は低金利ですが、その後は通常の金利に戻る仕組みです。貸す方は、住宅価格が上がり続けさえすれば、支払い遅延が起きても抵当権を執行し売却すれば元がとれますのでドシドシ貸します。

さて、このサブプライムローンも含めたアメリカの住宅ローンは次のような金融連鎖を伴っております。

◆小規模住宅ローン会社→Aさんに2000万円の住宅ローンを貸し出す。
   (抵当権付き)
      ↓
 Aさんへのローン利払い請求権+抵当権=>証券化(モーゲージ証券)
      ↓
 証券の引受==>(フレディマック、ファニーメイ)+民間銀行
      ↓
 住宅ローン会社への代金の振り込み
      &
 パススルー証券の発行(AAAの格付)←米国政府の保証無し。
      ↓
 国内外の金融機関、機関投資家が購入。
  (この中には日本の金融機関、機関投資家も入っている)
              
そんな中で、4月3日にサブ・プライムローン大手のニューセンチュリーが2.8兆円の負債を抱えて倒産しました。何故倒産したかは、もちろんローンが支払えなくなった人々が増えたからです。その割合は、例えばもっとも多いオハイオ州では、2006年第4四半期で3.5%です。年間に直すと14%です。何と、住宅ローンを抱える世帯のうち7軒少々に1軒の割合で抵当権が執行されたのです。

日本のバブル期の住宅・土地の下落局面を考えてみて下さい。土地価格が上がることを前提に目一杯の借金をした方々の、その後は一体どうでしたか?

今、アメリカでその住宅価格下落の兆候が出ているということです。少なくとも上昇率がかなり低下しております。もし住宅価格が下落したらどうなるか?その逆流の流れは次の通りです。

◆住宅価格の下落
     ↓
 自宅を担保に目一杯金を借りた人の担保不足
     ↓(預金を含めた資産がないので払えない)
 超過分の借金の返済催促=>払えない。
     ↓(3ヶ月の猶予)
 抵当権の執行
     ↓
 抵当流れの中古住宅の在庫の増加
     ↓
 中古住宅の価格の下落
     ↓
 新規中古住宅の買い控え
     ↓
 さらなる価格の下落
     ↓
 フレディマック&ファニーメイ
  (ローン会社からのローン債権の買い上げ停止)
     ↓
 住宅ローン会社の倒産の増加。
     ↓
 パススルー証券の売りの増加
  (内外の金融機関や機関投資家による)
     ↓
 フレディマック&ファニーメイの格付の低下。
     ↓
 パススルー証券の下落、ファニーメイなどの債券の下落
     ↓
 世界の債券市場、株式市場への波及。
     ↓
 信用収縮の逆流の発生とバブルの崩壊

以上が、グリーンスパンが問題は小さくないといったことの背景にある、グローバル経済における金融連鎖の仕組みの一端なのですね。

では、このような破綻を避けるためにバーナンキはどうするか?フレディマックやファニーメイの破綻を避けるために特別融資を行い、短期金利を下げることをやらざるを得ません。ところが、年間100兆円の資金流入が必要なアメリカで、ユーロや日本との短期金利差を今より縮小させることは出来ません。アメリカだけ金利を下げればドル安を招き、ドル債券が売られます。ドル債券が売られれば長期金利の高騰とドル安が更に進行します。

また短期金利をさげると、世界に過剰な資金が更に出回り、現在の資産バブルが更に拡大し、日本の例を持ち出すまでもなく、最後には必ず破裂します。商品価格もNYダウも大きな調整を強いられるのは過去の歴史が示している通りです。

こうした臨界点に向かって今の世界経済が進んでいることを、マクロ的な認識としては持っておいた方が良いと考えます。
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相場の先行きについて

2007-04-30 00:01:46 | 株に出会う
28日のブログ記事、明日の注目銘柄(5.1.07)の冒頭で、各市場、特に新興市場のOSC値が4月は押しに押されていると書きました。

ところが、マザーズ指数のOSCは、4月27日段階で、たったのあれだけの上げで46%にもなっております。これは4月としては4日の52%に迫る高さです。

ここをどう読むかですが、以下のような理由から今回の上げは上値が限られているような気がします。

1.新興市場銘柄も決算発表を控えているため、短期勝負の方が多いこと。
2.NYダウが逆回転しだすと日経も更に下げ始めること。

問題は日経平均の動きです。OSCで見ると4月11日の66%をピークに金曜日は43%と下げ基調が継続中です。去年の11月24日は32%まで日経平均も調整を余儀なくされました。もし連休明けにでもNYダウの急落があれば、日経平均が連れ安するのが目に見えております。その時、新興市場が独歩高を演じることができるかどうかですが、これは病み上がりの新興株には少々無理な話かと思います。

こういった目で改めて日足データとOSCを見ると、マザーズ指数のOSCが23日に久々に25%に落ちたにもかかわらず、昨年までと違って、4日たっても大きなリバウンドがない、その理由も納得できます。そうなると新興市場株も上げ余地が当面は限られてくると見方々が大勢を占め、その結果、短期勝負にかける傾向が強まるのではないでしょうか。

結果的に、今回の小リバウンドの上げピークは、個人投資家が中心となる5月1、2日の連休の谷間の2日間で打ち止めとなるのかも知れません。連休後まで持ち越すには上記の2つ理由からも少々リスクが大きいかと思います。OSCも金曜日の49%からせいぜい55%程度まで駆け上がり、そこから2日の引けまでに手仕舞い売り優勢で、下げ傾向に転じるとのシナリオです。
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