バブル崩壊後の日経平均の最安値をマークした2003年4月28日の7607円88銭を、今年の10月28日に付けた6994円90銭が下回ったということで、世の中は大騒ぎになっておりますが、実はこの数字の比較には際しては少々調整して考える必要があります。
2000年の4月21日の日経225平均の銘柄入れ替えにより、IT関連やハイテク銘柄などの値嵩株のウェートが高くなりました。そして、その後のITバブルの崩壊により、30銘柄ほどのIT・ハイテク関連銘柄の下落が大きかったため、現在の日経平均はその分、割安に出ているためです。
では、旧日経平均に置き直すとどうなるでしょうか。上場廃止銘柄もありますので、あくまでも推定値ですが、新光総合研究所の米澤忍氏の試算によれば、次のようになります。
☆2003年4月28日
旧日経平均株価:10685円(約1.405倍)
日経平均株価:7608円
☆2006年1月6日(拙ブログ参照)
旧日経平均株価:23050円(1.41倍)
日経平均株価:16363円
☆2008年1月11日
旧日経平均株価:20871円(1.479倍)
日経平均株価:14111円
3つの時点の数字しかありませんが、米澤氏のチャートをみても、ほぼ両株価の乖離幅は1.4倍程度とみることができそうです。
そうなると、ことし10月28日につけた6995円という安値は、1.4倍の9793円に置き換えて見ないと意味がありません。
ところで、現下の情勢は2003年の日本のバブル崩壊時よりも深刻でしょうか、それともまだ楽観的でしょうか。
筆者は深刻度を測る尺度がよく分かりませんので、これは勝手ながら失業率で比較させて貰います。一般には景気が悪くなると失業率が増えるのは自明ですからね。
ちょうど各国の失業率の推移を2008年10月までプロットした図がありました。
この数字も、職探しを諦めてしまった人間がカウントされないなど問題はありますが、この際、おおざっぱな傾向を掴むためには、そんな細かいことはあまり重要ではありませんので無視します。
日本の場合は他国と比べてなだらかな曲線を描いておりますが、2003年頃には5.3%のピーク値付近を付けておりますね。ちょうど日経平均の7608円の安値の時期と重なります。先ほどの米澤氏のチャートと見比べると、ちょうど逆相関の動きになっております。今年10月の失業率がまだ低止まりしているのは、株価の急落から時間差を置かないと失業率に跳ね返ってこないためです。ちなみに、各国とも株価と失業率はほぼ逆相関の関係を示しているようです。
今回アメリカが、英国を除く欧州諸国と比較して失業率という点ではいちはやく急上昇しておりますが、これは英国を除く欧州諸国は、いわゆる「ライン型資本主義」と呼ばれる資本主義であり、福祉政策を重視する度合いが、アメリカ(そして英国)の「アングロサクソン型資本主義」とは異なり、強いためと思われます。(各国の長期株価チャートはこちらを参照。)
ということは、まだまだこれから日本の失業率が上昇し5.3%にまで「戻す」とすれば、株価は少なくともその分押し下げられると考えることができそうです。
問題は、失業率の上昇によって、どこまで株価が押し下げられるかですが、旧日経平均換算での今年10月の安値が9793円近辺だとすると、現下の情勢では、ここから失業率の5.3%への回帰分だけほぼ押し下げられるのは確実なようです。
その具体的な数字ですが、これはスパコンでも駆使してモデルを作って計算しなければなりませんので、筆者の手に負えません。今日は、ざっと勝手な試算をしてみます。
10月安値の旧日経平均株価9793円は、ちょうど1982年頃の株価に相当します。(厳密ではありません。)この時の失業率は2.4%程度でした。(1980年は2%という更に低い数字でした。)すると現在の失業率3.7%はその分「割高」な数字と言えなくもありません。仮に、ここから先は単なる数字遊びですが、その失業率の変化分の1.54倍(3.7%÷2.4%=1.54)だけ、株価も調整されると仮定すると、9793円÷1.54=6359円あたりとなります。これは1.4倍割高の旧日経平均ですので、現在の日経平均に置き換えると4542円となります。
もう1つ、現在の3.7%の失業率が2003年のピーク値の5.3%にまで回帰すると単純に仮定すると、1.43倍(5.3%÷3.7%)になり、現日経平均の安値6995円は4981円と計算されます。両方とも5000円割れとなり、1973年のオイルショック時の日経平均にほぼ等しい水準となります。物価水準を考えるとかなり低めに落ち込むとの想定ですね。
最近、ボチボチと来年の株価予想なる記事が出てきており、その中で5000円という悲観的?な数字も示されているようです。これは、1973年から77年あたりにかけての株価水準を念頭においたものと思われます。
5000円の根拠を是非示して貰いたいところですが、そのためには、せめてフィナンシャルタイムズ程度の過去の総括を、まずやって欲しいものですね。
2000年の4月21日の日経225平均の銘柄入れ替えにより、IT関連やハイテク銘柄などの値嵩株のウェートが高くなりました。そして、その後のITバブルの崩壊により、30銘柄ほどのIT・ハイテク関連銘柄の下落が大きかったため、現在の日経平均はその分、割安に出ているためです。
では、旧日経平均に置き直すとどうなるでしょうか。上場廃止銘柄もありますので、あくまでも推定値ですが、新光総合研究所の米澤忍氏の試算によれば、次のようになります。
☆2003年4月28日
旧日経平均株価:10685円(約1.405倍)
日経平均株価:7608円
☆2006年1月6日(拙ブログ参照)
旧日経平均株価:23050円(1.41倍)
日経平均株価:16363円
☆2008年1月11日
旧日経平均株価:20871円(1.479倍)
日経平均株価:14111円
3つの時点の数字しかありませんが、米澤氏のチャートをみても、ほぼ両株価の乖離幅は1.4倍程度とみることができそうです。
そうなると、ことし10月28日につけた6995円という安値は、1.4倍の9793円に置き換えて見ないと意味がありません。
ところで、現下の情勢は2003年の日本のバブル崩壊時よりも深刻でしょうか、それともまだ楽観的でしょうか。
筆者は深刻度を測る尺度がよく分かりませんので、これは勝手ながら失業率で比較させて貰います。一般には景気が悪くなると失業率が増えるのは自明ですからね。
ちょうど各国の失業率の推移を2008年10月までプロットした図がありました。
この数字も、職探しを諦めてしまった人間がカウントされないなど問題はありますが、この際、おおざっぱな傾向を掴むためには、そんな細かいことはあまり重要ではありませんので無視します。
日本の場合は他国と比べてなだらかな曲線を描いておりますが、2003年頃には5.3%のピーク値付近を付けておりますね。ちょうど日経平均の7608円の安値の時期と重なります。先ほどの米澤氏のチャートと見比べると、ちょうど逆相関の動きになっております。今年10月の失業率がまだ低止まりしているのは、株価の急落から時間差を置かないと失業率に跳ね返ってこないためです。ちなみに、各国とも株価と失業率はほぼ逆相関の関係を示しているようです。
今回アメリカが、英国を除く欧州諸国と比較して失業率という点ではいちはやく急上昇しておりますが、これは英国を除く欧州諸国は、いわゆる「ライン型資本主義」と呼ばれる資本主義であり、福祉政策を重視する度合いが、アメリカ(そして英国)の「アングロサクソン型資本主義」とは異なり、強いためと思われます。(各国の長期株価チャートはこちらを参照。)
ということは、まだまだこれから日本の失業率が上昇し5.3%にまで「戻す」とすれば、株価は少なくともその分押し下げられると考えることができそうです。
問題は、失業率の上昇によって、どこまで株価が押し下げられるかですが、旧日経平均換算での今年10月の安値が9793円近辺だとすると、現下の情勢では、ここから失業率の5.3%への回帰分だけほぼ押し下げられるのは確実なようです。
その具体的な数字ですが、これはスパコンでも駆使してモデルを作って計算しなければなりませんので、筆者の手に負えません。今日は、ざっと勝手な試算をしてみます。
10月安値の旧日経平均株価9793円は、ちょうど1982年頃の株価に相当します。(厳密ではありません。)この時の失業率は2.4%程度でした。(1980年は2%という更に低い数字でした。)すると現在の失業率3.7%はその分「割高」な数字と言えなくもありません。仮に、ここから先は単なる数字遊びですが、その失業率の変化分の1.54倍(3.7%÷2.4%=1.54)だけ、株価も調整されると仮定すると、9793円÷1.54=6359円あたりとなります。これは1.4倍割高の旧日経平均ですので、現在の日経平均に置き換えると4542円となります。
もう1つ、現在の3.7%の失業率が2003年のピーク値の5.3%にまで回帰すると単純に仮定すると、1.43倍(5.3%÷3.7%)になり、現日経平均の安値6995円は4981円と計算されます。両方とも5000円割れとなり、1973年のオイルショック時の日経平均にほぼ等しい水準となります。物価水準を考えるとかなり低めに落ち込むとの想定ですね。
最近、ボチボチと来年の株価予想なる記事が出てきており、その中で5000円という悲観的?な数字も示されているようです。これは、1973年から77年あたりにかけての株価水準を念頭においたものと思われます。
5000円の根拠を是非示して貰いたいところですが、そのためには、せめてフィナンシャルタイムズ程度の過去の総括を、まずやって欲しいものですね。