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欧州発、第二次金融危機勃発の可能性

2009-02-21 14:09:51 | 金融全般
GM傘下の自動車メーカー、サーブの更正法申請のニュースを見ながら、昨年10月3日付けの日経夕刊にこっそりと出ていた記事を今思い出しております。

今回の金融恐慌、マスコミ用語では金融危機ですが、アメリカの金融機関が主として問題視されておりますが、実は、この日経夕刊に大変重要な事実が報道されておりました。

それは、国際金融市場における資産残高は、欧州が73%を占め、米銀はたったの9.3%、邦銀は7.6%しか占めていないという事実です。

世界の金融資産は2007年末にピークを迎え、200兆ドル(1京8千兆円、1ドル=90円換算)に達しておりました。
世界のGDPが約5000兆円ですから3年分以上になります。

この200兆ドルの73%が何と欧州の銀行により保有されているのです。146兆ドルです。

この146兆ドルもの巨額の資産には預金や国債など安全とされる資産も当然に含まれておりますが、株式や社債といった、今ではリスク資産といわれているものもあります。それが何%を占めるのかは定かな数字はありませんが、2005年段階でのマッキンゼーの報告によると、およそ17%になります。

仮に17%と想定すると146兆ドルX0.17%=24.8兆ドルとなります。

2007年の世界の金融資産のうち、ちなみに米国の住宅証券の下落、社債の下落、および株価の下落は、およそ45-50%に達しております。

NYダウは2007年末の13366ドルから、昨日は7365ドルへと45%下落し、日経平均を見ても、2007年末の15308円が、昨日は7416円となり52%の下落ですので、その程度の下落は間違ってはいないでしょう。

そうなると、驚くことに、欧州の金融機関が持つ株式と社債だけのリスク資産24.8兆ドルの45%の11兆ドル程度は既に毀損していることになります。

これは株式と社債だけのデータですので、米国の住宅証券も欧州の金融機関はかなりの比率(例えば、破綻したワシントン・ミューチュアルの債務保証をするCDSを組み込んだCは、米国514本に対して欧州752本でした。)で投資していた筈ですので、むしろこちらの損失額の方が巨額になると思います。

そこでリークされているのが、去る2月10日に開かれた欧州の財務大臣が集まった会合で極秘裏に話し合われたという、欧州金融機関のリスク資産の損失額合計、23兆ドルという数字です。原田武夫公式ブログ参照。

米国の住宅ローン債権の残高は1200兆円ですが、欧州も1000兆円程度はあると思われます。そのうちの半分の500兆円(5.5兆ドル)が既に損失になっているとしても、前述の11兆ドルを加えれば16.5兆ドルにもなります。これ以外にも、商業用不動産関連やLBOに絡む資産の毀損もありますので、これらを加えて約20兆ドル程度は、確かに欧州の金融機関が損失を被っている可能性があります。

この損失額は、9兆ドル程度と言われるアメリカの金融機関の損失額に比べても2倍強です。

しかも、ヨーロッパの住宅バブルの崩壊は、アメリカの半年遅れで進行しております。まだこれからも損失額がアメリカ以上に膨らむ勘定となります。

これに対して、欧州各国は合わせて2000億ユーロの景気対策を実施すると言われておりますが、2700億ドル程度にしかなりません。アメリカの景気対策に投じる金は8000億ドル弱ですので損失額の8%に相当するのに対して、欧州のこの金額はたったの1.35%にしかなりません。

我々はアメリカの今後の対応を主として注視しておりますが、上記のような状況を考えた時、欧州発での第二次金融危機が勃発する可能性も見据えておいた方が良さそうです。

金がオンス1000ドルになりましたが、実は、欧州筋がかなり金への逃避を加速させているようです。投資需要は、2007年10-12月期の9トンから、2008年10-12月期には113トンに、何と12.5倍に増加しております。(アメリカは宝石需要と工業用需要を含めて、7%ダウンの100トン)

ドル以上にユーロも信認されていないのです。

冒頭に書いたサーブの更正法申請は、スウェーデン政府への公的資金投入要請が断られたことに端を発しております。その背景として、今回の金融危機は元はと言えばアメリカのサブプライムローン問題が発端であり、欧州各国はむしろ被害者であるという認識があります。

果たして、泥沼に嵌っているビックスリーを救おうとしているアメリカが、国としても救われるのか、それとも、泥沼に落ち込んだ企業を突き放して、そのまま沈み込むのを座視する欧州各国が国として救われるのか、今後2-3年で結果が出ていることでしょう。

それでも、明日の朝は未だ太陽は東から昇ることでしょう。しかし、太陽が45億年後に白色矮星になる頃には、この地球上には何も残されておりません。これが、確定済みの、最終的な「メルトダウン」です。

それに比べれば、今の状態の何と平和なことか。。。
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市場概況(2.20.09)

2009-02-21 08:26:22 | 市場概況
テクニカル用語の簡単解説  赤字部は21日朝更新

2月20日(金)の市場概況です。

◆日経先物:7380円(-190円)、OSC31%(+1%)2月19日の30%から揉み合い中。
◆日経平均:7416円(-141円)、OSC28%(+1%)2月18日の25%から底値模索中。
◆日経平均指数値倍率:135(+3)数字が増えるほど下降傾向を示します。昨年10月27日の139ポイント以来の悪化。
◆TOPIX:739.53(-12) OSC30%(+1%)2月17日の26%からコンバージェンス継続。
◆マザーズ指数:297.3(-4.86)、OSC27%(-6%)2月17日の27%に並ぶ。
◆ヘラクレス指数:459.12(-11.06)OSC31%(-10%)ついに、昨年10月10日の29%以来の低さ。
◆国債先物:139.5円(15銭安)OSC41%(-1%)方向感なし。まだ漂流中。
◆ドル・円:93.32円(92銭円高)OSC70%(-4%)19日の74%から下降に転じる。更新
◆日経先物イーブニングセッション:7280円(大証終値比-100円)
◆シカゴCME日経先物:7260円(円建て)更新
◆NYダウ:7366ドル(-100ドル)OSC44%(+7%)19日の37%から切り返したか?更新

しかし、今日の後場のような停滞したジメジメした相場は久し振りです。完全にやる気をなくす値動きです。

前場に持ち越した8591オリックスも、後場早々の急激な先物の梯子外しの篩い落とし技に、もう嫌気が指し損切り。その後、もう1回だけ入るも、今度は下降線の流れに巻き込まれ、これまた損切り。

引けまでに我慢強く持ちこたえていれば、いずれも買い玉は利益が出ておりました。自分のアホさ加減に言うべき言葉もありません。

しばらく休みたい気分です。何も市場には良い材料はありません。

少し上がったところを売りから入る以外にはありませんが、そう簡単に自らの投資スタイルを変更する訳にもいかず、また、変更してうまくいく保証もなく、ここまで相場の地合が押されたなら、ここは、超低位でのじり貧揉み合い相場と観念して、トコトン、下がったところを根気よく拾うことに徹する以外には、勝つ術はなさそうです。

いずれにしても、稀に見る嫌らしい相場です。負けている人は吐き気を催すほどに嫌になったことでしょう。

-------21日朝のコメント-------

NYダウは続落。一時200ドル超の下落から半分程度に戻した理由は、米財務省が来週金融安定化プランの詳細を公表する見通し、と述べたことです。またバンカメがその理由はない、と国有化の噂を否定したことも背景の1つ。

注目点は、一気にドル安が進んだことです。ドル・円も一時93円割れ。もっともこれは、昨日ドル・円のOSCが74%にも達しておりましたので、テクニカルな反発が一気にストップロスオーダーも巻き込みながら起きてしまったためと見ております。

春によく起こる表層雪崩と同じ理屈ですね。

今の株価の動きを見ていると、いうまでもなく金融経済の深層部分で何かが蠢いている、その不気味な胎動に株式市場がおののいている姿と言えるかと思います。それを「金融機関の国有化」という言葉で市場は語っておりますが、もちろん、国有化すれば金融機関の株主が持っている株価の価値がなくなるので下げている訳ですが、それ以前に、この資本主義社会で、かつてのソ連のような国有化をすることの意味と影響と今後の展開について、もっと冷静かつ正鵠を射た議論があっても良いと思います。

そのあたりが、まだ筆者も整理できておりません。1つ言えることは、バブル崩壊後の日本は公的部門が国債発行により支えながら、当時はまだその他世界の経済が好調だったので、輸出で立て直すことが出来た訳ですが、今回は世界同時不況です。そして、財政出動を行う余地が先進国にはあまりないということです。

というのも、GDPがマイナスに陥り、金融機関が瀕死の状態になる中で、日本のように1500兆円もの金融資産がない国、或いは貯蓄がない国といっても良いのですが、こうした国は財政出動のための国債発行が出来ないためです。

しかし、公的部門が一身に、収縮する過剰負債を吸収しなければ、他にそれを行うことが出来るセクターはありません。

となると、各国の財政当局はいわば「捨て身」の覚悟で、例え成功確率が80%でも、座して何もせずに100%失敗するよりもましだ、と考え行動せざるを得ません。現にラガルドというフランス財務相がそう述べております。

つまり、このままでは「死に至る病」に陥る世界経済を何とか蘇生させるためには、例え副作用が強烈に出ようとも、ここは公的セクターによる財政出動を行わざるをえない訳です。

これが、じわりと昨日NY金が、昨年3月以来のオンス1000ドルに乗せた理由です。
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