GM傘下の自動車メーカー、サーブの更正法申請のニュースを見ながら、昨年10月3日付けの日経夕刊にこっそりと出ていた記事を今思い出しております。
今回の金融恐慌、マスコミ用語では金融危機ですが、アメリカの金融機関が主として問題視されておりますが、実は、この日経夕刊に大変重要な事実が報道されておりました。
それは、国際金融市場における資産残高は、欧州が73%を占め、米銀はたったの9.3%、邦銀は7.6%しか占めていないという事実です。
世界の金融資産は2007年末にピークを迎え、200兆ドル(1京8千兆円、1ドル=90円換算)に達しておりました。
世界のGDPが約5000兆円ですから3年分以上になります。
この200兆ドルの73%が何と欧州の銀行により保有されているのです。146兆ドルです。
この146兆ドルもの巨額の資産には預金や国債など安全とされる資産も当然に含まれておりますが、株式や社債といった、今ではリスク資産といわれているものもあります。それが何%を占めるのかは定かな数字はありませんが、2005年段階でのマッキンゼーの報告によると、およそ17%になります。
仮に17%と想定すると146兆ドルX0.17%=24.8兆ドルとなります。
2007年の世界の金融資産のうち、ちなみに米国の住宅証券の下落、社債の下落、および株価の下落は、およそ45-50%に達しております。
NYダウは2007年末の13366ドルから、昨日は7365ドルへと45%下落し、日経平均を見ても、2007年末の15308円が、昨日は7416円となり52%の下落ですので、その程度の下落は間違ってはいないでしょう。
そうなると、驚くことに、欧州の金融機関が持つ株式と社債だけのリスク資産24.8兆ドルの45%の11兆ドル程度は既に毀損していることになります。
これは株式と社債だけのデータですので、米国の住宅証券も欧州の金融機関はかなりの比率(例えば、破綻したワシントン・ミューチュアルの債務保証をするCDSを組み込んだCは、米国514本に対して欧州752本でした。)で投資していた筈ですので、むしろこちらの損失額の方が巨額になると思います。
そこでリークされているのが、去る2月10日に開かれた欧州の財務大臣が集まった会合で極秘裏に話し合われたという、欧州金融機関のリスク資産の損失額合計、23兆ドルという数字です。原田武夫公式ブログ参照。
米国の住宅ローン債権の残高は1200兆円ですが、欧州も1000兆円程度はあると思われます。そのうちの半分の500兆円(5.5兆ドル)が既に損失になっているとしても、前述の11兆ドルを加えれば16.5兆ドルにもなります。これ以外にも、商業用不動産関連やLBOに絡む資産の毀損もありますので、これらを加えて約20兆ドル程度は、確かに欧州の金融機関が損失を被っている可能性があります。
この損失額は、9兆ドル程度と言われるアメリカの金融機関の損失額に比べても2倍強です。
しかも、ヨーロッパの住宅バブルの崩壊は、アメリカの半年遅れで進行しております。まだこれからも損失額がアメリカ以上に膨らむ勘定となります。
これに対して、欧州各国は合わせて2000億ユーロの景気対策を実施すると言われておりますが、2700億ドル程度にしかなりません。アメリカの景気対策に投じる金は8000億ドル弱ですので損失額の8%に相当するのに対して、欧州のこの金額はたったの1.35%にしかなりません。
我々はアメリカの今後の対応を主として注視しておりますが、上記のような状況を考えた時、欧州発での第二次金融危機が勃発する可能性も見据えておいた方が良さそうです。
金がオンス1000ドルになりましたが、実は、欧州筋がかなり金への逃避を加速させているようです。投資需要は、2007年10-12月期の9トンから、2008年10-12月期には113トンに、何と12.5倍に増加しております。(アメリカは宝石需要と工業用需要を含めて、7%ダウンの100トン)
ドル以上にユーロも信認されていないのです。
冒頭に書いたサーブの更正法申請は、スウェーデン政府への公的資金投入要請が断られたことに端を発しております。その背景として、今回の金融危機は元はと言えばアメリカのサブプライムローン問題が発端であり、欧州各国はむしろ被害者であるという認識があります。
果たして、泥沼に嵌っているビックスリーを救おうとしているアメリカが、国としても救われるのか、それとも、泥沼に落ち込んだ企業を突き放して、そのまま沈み込むのを座視する欧州各国が国として救われるのか、今後2-3年で結果が出ていることでしょう。
それでも、明日の朝は未だ太陽は東から昇ることでしょう。しかし、太陽が45億年後に白色矮星になる頃には、この地球上には何も残されておりません。これが、確定済みの、最終的な「メルトダウン」です。
それに比べれば、今の状態の何と平和なことか。。。
今回の金融恐慌、マスコミ用語では金融危機ですが、アメリカの金融機関が主として問題視されておりますが、実は、この日経夕刊に大変重要な事実が報道されておりました。
それは、国際金融市場における資産残高は、欧州が73%を占め、米銀はたったの9.3%、邦銀は7.6%しか占めていないという事実です。
世界の金融資産は2007年末にピークを迎え、200兆ドル(1京8千兆円、1ドル=90円換算)に達しておりました。
世界のGDPが約5000兆円ですから3年分以上になります。
この200兆ドルの73%が何と欧州の銀行により保有されているのです。146兆ドルです。
この146兆ドルもの巨額の資産には預金や国債など安全とされる資産も当然に含まれておりますが、株式や社債といった、今ではリスク資産といわれているものもあります。それが何%を占めるのかは定かな数字はありませんが、2005年段階でのマッキンゼーの報告によると、およそ17%になります。
仮に17%と想定すると146兆ドルX0.17%=24.8兆ドルとなります。
2007年の世界の金融資産のうち、ちなみに米国の住宅証券の下落、社債の下落、および株価の下落は、およそ45-50%に達しております。
NYダウは2007年末の13366ドルから、昨日は7365ドルへと45%下落し、日経平均を見ても、2007年末の15308円が、昨日は7416円となり52%の下落ですので、その程度の下落は間違ってはいないでしょう。
そうなると、驚くことに、欧州の金融機関が持つ株式と社債だけのリスク資産24.8兆ドルの45%の11兆ドル程度は既に毀損していることになります。
これは株式と社債だけのデータですので、米国の住宅証券も欧州の金融機関はかなりの比率(例えば、破綻したワシントン・ミューチュアルの債務保証をするCDSを組み込んだCは、米国514本に対して欧州752本でした。)で投資していた筈ですので、むしろこちらの損失額の方が巨額になると思います。
そこでリークされているのが、去る2月10日に開かれた欧州の財務大臣が集まった会合で極秘裏に話し合われたという、欧州金融機関のリスク資産の損失額合計、23兆ドルという数字です。原田武夫公式ブログ参照。
米国の住宅ローン債権の残高は1200兆円ですが、欧州も1000兆円程度はあると思われます。そのうちの半分の500兆円(5.5兆ドル)が既に損失になっているとしても、前述の11兆ドルを加えれば16.5兆ドルにもなります。これ以外にも、商業用不動産関連やLBOに絡む資産の毀損もありますので、これらを加えて約20兆ドル程度は、確かに欧州の金融機関が損失を被っている可能性があります。
この損失額は、9兆ドル程度と言われるアメリカの金融機関の損失額に比べても2倍強です。
しかも、ヨーロッパの住宅バブルの崩壊は、アメリカの半年遅れで進行しております。まだこれからも損失額がアメリカ以上に膨らむ勘定となります。
これに対して、欧州各国は合わせて2000億ユーロの景気対策を実施すると言われておりますが、2700億ドル程度にしかなりません。アメリカの景気対策に投じる金は8000億ドル弱ですので損失額の8%に相当するのに対して、欧州のこの金額はたったの1.35%にしかなりません。
我々はアメリカの今後の対応を主として注視しておりますが、上記のような状況を考えた時、欧州発での第二次金融危機が勃発する可能性も見据えておいた方が良さそうです。
金がオンス1000ドルになりましたが、実は、欧州筋がかなり金への逃避を加速させているようです。投資需要は、2007年10-12月期の9トンから、2008年10-12月期には113トンに、何と12.5倍に増加しております。(アメリカは宝石需要と工業用需要を含めて、7%ダウンの100トン)
ドル以上にユーロも信認されていないのです。
冒頭に書いたサーブの更正法申請は、スウェーデン政府への公的資金投入要請が断られたことに端を発しております。その背景として、今回の金融危機は元はと言えばアメリカのサブプライムローン問題が発端であり、欧州各国はむしろ被害者であるという認識があります。
果たして、泥沼に嵌っているビックスリーを救おうとしているアメリカが、国としても救われるのか、それとも、泥沼に落ち込んだ企業を突き放して、そのまま沈み込むのを座視する欧州各国が国として救われるのか、今後2-3年で結果が出ていることでしょう。
それでも、明日の朝は未だ太陽は東から昇ることでしょう。しかし、太陽が45億年後に白色矮星になる頃には、この地球上には何も残されておりません。これが、確定済みの、最終的な「メルトダウン」です。
それに比べれば、今の状態の何と平和なことか。。。